静岡県伊豆市の80年続く町工場で先週、卒業式が開かれました。卒業したのは70代の職人兄弟。半世紀以上に渡り、町工場を支えてきた2人の思いとは?
3月27日、退職の日を迎えたのは79歳の伊藤弘さんと76歳の登紀夫さんの兄弟です。
伊豆市にある伊藤金属総業。
金属の箱と扉をつなぐ蝶番を主に製造・販売しています。
5人兄弟の次男と三男にあたる2人は、それぞれが別の工場で下積みを経験した後、弟の登紀夫さんが1969年に、兄・弘さんはその次の年に父親が創業した会社に入社しました。
伊藤登紀夫さん:
この会社が80年だから、戦後まもなく。親父が東京から疎開してきて、それからちょっと経って別の場所で小さいところから始めて、大きくするためここに来た
その後、26歳で社長に就任した兄を支え続けた2人。
オイルショックやリーマンショックも乗り越え、ものづくりの基盤を築き上げてきました。
定年後も再雇用で勤務し、後を引き継ぐ職人たちにものづくりの技術と心構えを伝えてきました。
しかし、それもこの日が最後です。
伊藤弘さん:
寂しいようなほっとしたような。やはり寂しい
伊藤登紀夫さん:
もっとやりたかったけど、社長が辞めろっていうから。何とか80歳くらいまでやろうと思っていたけど
伊藤弘さん:
きょうまで皆さんと一緒に仕事をして、いろいろなことを学び、それらのことを忘れない
伊藤登紀夫さん:
根がそそっかしいものですから、よく兄貴には怒鳴られました。それでも何とかここまで来ました。皆さんもこれから頑張ってください
これからを担っていく若い世代からも感謝が伝えられます。
長男の孫・大稀さん:
登紀夫さんは時にはうるさいと思うこともあったが、それも今後なくなると思うとやっぱり寂しい
弘さんの次男・浩二さん:
「この後任せとけ」なんて僕は言えないが、これから先、まだ長く元気に生きて過ごしてください
職人兄弟が半世紀以上にも渡り、守り続けてきた町工場。
その匠の技と職人魂は次の世代へと引き継がれていきます。