物価高が続く中、2026年4月から公立小学校の給食無償化が始まる予定です。しかし、自治体ごとにかかる費用は違います。学校で作るのか、給食センターで作るのか、そこから地域が抱える課題もみえてきました。

■給食が好きになる!?「見える給食室」

愛知県犬山市の犬山南小学校、子供たちの大好きな給食の時間がやってきました。

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この日のメニューは鶏肉たっぷりの“チキンチキンごぼう”に、かきたま汁です。

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児童たち:
「ご飯がおいしいし、肉もすごい美味しい」
「卵とかがたくさん入ってておいしい」
「給食の人が心込めて作っているものなんで、全部食べられます」

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“心を込めて”作られた給食。犬山市では、小中学校の給食を学校内で作る自校方式をとっています。

給食室の前には大きなガラス窓があり、廊下から調理の様子を見ることができます。

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児童たち:
「学校で作っているところ見られるし、おいしさでわかります」
「手振ってきてくれたりするんですよ、調理員さんが。家の野菜はちょっと苦手なんですけど、給食の野菜めっちゃおいしいんです」

犬山市学校教育課 足立衣里さん:
「子供たちが毎日生活する学校に給食室があるので、五感を使って給食ができていく様子を感じられるのがとても良いかなと。積極的に子どもたちにどんな風に給食つくっているのかを見せていきたい。見ることで知って、より給食のことを好きになってもらいたい」

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愛知県の自治体で、犬山市のような自校方式は少数派です。全54自治体のうち、自校方式のみを採用しているのは7つの自治体で、給食センターで作って配送している自治体は39あり、その割合は増えているといいます。

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自校方式が減っている理由は、コストがかかることです。犬山市では学校ごとのオリジナルメニューもあり、食材の一括購入や配送ができないため、割高になるといいます。

■「無償化」なのに…保護者負担のケースも

2026年4月からは、全国の公立小学校を対象に、給食費の無償化が始まる予定です。

しかし、去年12月にまとまった自民・維新・公明3党の合意では、当初掲げていた「給食無償化」から「抜本的な負担軽減(いわゆる給食無償化)」と表現が変わりました。

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児童1人あたり月額5200円をめどに補助しますが、足りない分は各自治体の判断で、自治体や保護者の負担となります。

愛知県弥富市では、国の補助だけでは無償化は難しいとして、4月以降も不足分として1食あたり約60円を保護者負担とする方針です。

名古屋市では、不足分は市が負担し、保護者に負担を求めないとしています。

犬山市でも、小学校の1食分の食材費は340円と、国の補助では約30円足りず、年間では1人あたり約5700円高くなります。

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犬山市学校教育課 足立衣里さん:
「国から示されたのが『全国一律で』って形だったので、どういうふうに地域差を埋めるのかなって不安があった。国の5200円ですと、少し犬山の給食費には満たないところがありますので、市からの持ち出しという形で給食を4月から行っていくかと思います」

新年度については、国からの別の交付金でまかない保護者負担は0円ですが、今後もやりくりに頭を悩ませることになります。

それでも、学校での調理にこだわるのには理由があります。

犬山南小学校で栄養教諭として働く、佐々木幸香さんは、給食センターでも働いたことがあり、自校方式ならではの良さを感じているといいます。

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栄養教諭の佐々木さん:
「子供たちの様子の変化とか反応とか見ることができると、献立にも生かすことができますし、すぐ声をかけられることも魅力だと思っています。魚を苦手な子がいて、焼き魚は苦手だけど、揚げたら食べやすいんじゃないのとか、サイズを小さくした方が食べやすいじゃないかとか、そういうのを見て献立を変えたり、工夫するなどします」

■中学校でも”無償化”…背景には「過疎化」

国の給食無償化に合わせ、新たな子育て支援を始める自治体もあります。人口約7万2000人の岐阜県中津川市では、小学校だけでなく中学校の給食も無償化することを決めました。

中津川市教育委員会 花田成文 学校教育課長:
「小学校の無償化は国の方で決まってきましたので、その流れに合わせて、同じタイミングで無償化をしたいと」

中津川市ではすでに幼稚園や保育園などの給食費の一部を無償化していて、今後は、切れ目のない支援が実現できるといいます。

手厚い支援の背景にあるのが、深刻な過疎化です。中津川市では2025年度までの10年間に小中学生の数が約2割減少しました。

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中津川市教育委員会 花田成文 学校教育課長:
「毎年学校規模が本当に小さくなって、統合も進んできております。そういった面でも過疎化は実感として感じているところです。長い目でみれば、中津川市は子育て支援が充実しているということで、移住していただける方が増えるとか、そういう効果も期待できるのでは」

子育て世代は・・

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双子の母親:
「今すでにめちゃくちゃよく食べるので、ここからどうしようって怖くて、これからどうなっていくんだろうって不安がすごいので、無償化は本当にありがたい」
3児の母親:
「無償化になるのはすごい助かるなと思う一方で、しっかり子供がお腹いっぱい食べれて、栄養とれる給食になるのかなっていうのが一番心配」

■給食を守るには…センター建設で”賛否両論”

同じく人口減少に悩む愛知県新城市では、2024年に学校給食センターが新たに完成しました。

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市内ほぼすべての小中学校の給食を作り、配送していますが、一番遠い学校までは車で40分ほどかかります。児童数が少ないため、トラックではなく普通車で運ぶ学校もあります。

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給食センターができるまでは、新城市でもそれぞれの学校で給食を作っていました。しかし、設備の老朽化やアレルギーへの対応などで、継続が難しくなったといいます。

新城市学校学校給食課 菅野裕也課長:
「各学校の調理室には1、2人しか調理員しか配置がされていなかったので、インフルになったらお休みしてしまうと、給食ができないという状況がありました。募集はしてたんですが、なかなか集まらない、集まったとしても離職が多かったのも背景にあります。給食を途切れなく安定的に出すためには最終的にセンターにするしかないって流れが、結論として出ました」

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一方で、将来子供の数の減少が見込まれる中、給食センターの建設には反対の声もありました。

元市議会議員 カークランド陽子さん:
「お母さんたちは、顔が見える距離感で作ってくれてる、においがしてる、そういったところも教育や食育の1つと考えている方も多いと思いますし、当然近い方が良いですし、規模が小さい方が安全管理もしやすいと思うんです」

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カークランドさんが市民に行ったアンケートでは180人中、およそ8割が「自校方式を残してほしい」との回答だったといいます。

また、センター化により必要な調理員の数は、これまでの3分の2に減ったものの、給食を配送するドライバーの人件費などが新たにかかり、コストは逆に増えたといいます。

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新城市民:
「お金の面も『増えたの?』って。先が分かっているのになぜそうなっていくんだろうという不満というか、説明があってならまだいいんですけど」

新城市の小学校の給食費は月に5320円(2025年度)で、給食無償化の補助金5200円では賄いきれません。

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新城市学校給食課 菅野裕也課長:
「『無償化』と最初にうたわれて、進んできたので全額カバーしてくれるとありがたかったです。それが率直なところ。自校方式の給食に劣らない給食を出すことで、(市民に)納得いただけるような道になったらいいと思っています」

『給食無償化』とひとことに言っても、地域ごとに事情は大きく異なります。物価高や過疎化など、さまざまな困難に向き合いながらも、子供たちにおいしい給食を届けようと、現場の奮闘が続きます。

東海テレビ
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