卒業シーズン、進学や就職などこの春、新たな道へ進むという方も多いと思います。
宮城県内の大学を卒業し大学での学問とは全く違う道へ進む、22歳の挑戦です。
駅前通りの目の前にできた、6席のみのいわゆる「劇場型カウンター」の店。
店のメニューは、その日仕入れた魚介で作る、おまかせ20品のコース料理だけの「一本勝負」です。
切り盛りするのは、高橋華乃さん。この春、大学を卒業したばかりの22歳です。
店の名は、「仙臺牡蠣女将」。3月5日にオープンしました。
店の名の通り、コース料理の主役は、和洋さまざまに仕立てた、「カキ」。
利用客は
「カキのネタ自体、すごく大きくてボリューミーだが、くどくなくて量も食べられてしまうようなおいしさがあった」
高橋さんが店を開いたきっかけは、カキの魅力に惚れ込んだことでした。
仙臺牡蠣女将 高橋華乃さん
「牡蠣の魅力は、まずおいしさと、産地によって味や漁の仕方が変わっているところ。知っていくと結構面白いなと思って」
この日、高橋さんが訪れていたのは、三陸海岸の入り江に位置する、桃浦漁港。
仙臺牡蠣女将 高橋華乃さん
「ずっと店にいたので、カキの実入りとか現場の状況を知りたくて、勉強しに来た」
穏やかな海を利用した、いかだ式の養殖が盛んで、店の仕入れ先の一つでもあります。
仙臺牡蠣女将 高橋華乃さん
「(桃浦のカキは)基本的にぷっくりしているイメージがあって、クリーミーというよりかはあっさりしている感じがあります、自分は」
料理人の道を歩み始めた高橋さんですが、もともとは、「全く別の夢」があったそうです。
仙臺牡蠣女将 高橋華乃さん
「人を笑顔にしたり、喜ばせたりする仕事がしたいと思って、子供も好きなので、『小学校教員』になりたいと思って大学に進学したんですけど、カキに出会っちゃって…」
高橋さんは岩手県出身。宮城の大学に進学し、小学校の先生を目指して勉強していました。教員免許も取り、卒業後は教壇に立つつもりだったそうです。
そんな高橋さんが、一念発起して料理人を志したのは、忘れられない経験があったからです。
仙臺牡蠣女将高橋華乃さん
「(大学時代の)カキ専門店でのアルバイト経験がきっかけ。(それまで)自分はあまりカキを食べてこなかったが、カキを食べて笑顔になって帰るお客さんを見て、『カキってこんなに人を笑顔にする力があるんだ!』と思って」
大学1年生で始めたアルバイトを機に、「カキの魅力」に引き込まれていったという高橋さん。
その姿を見逃さず、飲食の世界へ熱烈に誘ったのが、今でも「師匠」だという、アルバイト先の大将でした。
三陸うみのおきて 相馬慶一大将
「寿司もそうだしカキのむき方も全部そうだが、早いですよね、覚えるのが。最初は興味なくてもこれだ!って決めたらそこにいくのがすごくいい。途中何回も断られて、曖昧な返事もされたんですけど…」
仙臺牡蠣女将高橋華乃さん
「やっぱり、先生になろうとしていたので楽しそうだけど、うーん…と、迷いや揺らぎがあったが、『一緒にカキの世界を変えないか』と(大将に)言われた時に、『変えましょう!やりましょう!』と思って、その時に決意したかな」
その後、大学4年生の夏休みには、都内の高級寿司店で修行を積んだ高橋さん。技術を磨き、覚悟を固めた先にあったのが、アルバイト先の「社内独立制度」を利用して店を開くという決断でした。
三陸うみのおきて 相馬慶一大将
「本当であれば就職、一般企業に入るような子が、こうして飲食、生産現場に入って来てくれると楽しみ。」
3月19日、高橋さんの姿は大学にありました。
高橋華乃さん
Q.卒業おめでとうございます
「ありがとうございます!」
Q.学校生活どうでした?
「学校生活は本当に充実していて、(きょうは)いっぱい写真も撮れて、素敵な友人に囲まれたなって本当に思いました」
学びやを巣立つ、高橋さんの晴れ姿を見届けようと、岩手から、家族が駆けつけていました。店を開くと聞いた当初は、どう受け止めていたのでしょうか?
高橋さんのお母さん
「すごく不安でした。自宅では料理をする人ではなかったので、食べ専門の子が自分で調理するとは思ってなかったので…。でも東京にも行って成長したのが見られたし、本人の気持ちが固まってきてるんだなとも見られたので、親としては応援するしかない」
一番の応援者だからこそ、「これからが大事」と引き締めの言葉を贈ります。
高橋さんのお母さん
「今は興味本位で来る方とか、インスタ見たよ、という方々が多いと思うが、やっぱりリピートして、お店の味がおいしいからまた行こうという人たちが来ていただけるといいのかなと思う」
高橋華乃さん
「うんうん」
カキに魅せられ、「料理人」という人生に舵を切った高橋さん。「周囲の支え」と「カキへの愛情」を力に、その名の通り、「牡蠣女将」として歩んでいく覚悟です。
仙臺牡蠣女将 高橋華乃さん
「また来たいって思っていただいたり、カキを通して宮城、仙台の魅力を感じていただけるお店にしたい」
「仙臺牡蠣女将」は日曜・祝日が定休日で、完全予約制となっています。※その他、不定休あり
予約は、専用サイト、「TableCheck」で受け付けているということです。