東日本大震災をきっかけに生まれた子供たちのオーケストラが26日、演奏会を行いました。
「イット!」では、「東北ユースオーケストラ」の団員の皆さんの思いを取材し、3月10日にも放送しました。
今回は、東日本大震災から15年がたち、オーケストラとして節目を迎えた演奏会を取材しました。
26日、東京・港区のサントリーホールでは、本番に向けて最後のリハーサルが行われていました。
東日本大震災の復興支援を目的に、世界的音楽家の坂本龍一さんが立ち上げた「東北ユースオーケストラ」。
岩手・宮城・福島から集まる団員たちを宮司愛海キャスターが取材したのは2月のこと。
本番の演奏会を迎えた意気込みを聞きました。
バイオリン担当・駒井心響さん(16):
わくわくと成功できるかなという不安が入り交じってる。
トランペット担当・我妻世音さん(20):
被災地の方に笑顔になっていただくことがこの活動の理由でもある。少しでも笑顔になってもらえたら。
学生までで構成される東北ユースオーケストラでは、毎年この演奏会をもって団員が卒業します。
そのうちの1人が、1期生から続けてきた福島市出身の菊野奏良さん(21)です。
奏良さんに2月に話を聞いた時は、オーケストラの活動を「ある種の語り部みたいな形ですかね。音楽の活動を通じて、他の被災地とか被害を受けた方々と連帯するという役割を担っているのではないかな」と話していました。
1つ下の弟・碧大さん(20)が2024年に、末っ子の斗環さん(11)は2025年、オーケストラに入団。
今回、最初で最後の兄弟3人そろっての演奏です。
奏良さん:
3人で同じステージに乗るのが初めてなので、うれしい部分もあります。
碧大さん:
今まで練習してきた成果と、支えてくれるみなさんに感謝の思いを込めたい。
斗環さん:
初めてユースで演奏するから、頑張りたいです。
奏良さん:
(Q.アドバイスは?)ぴしっと立ってね。
斗環さん:
わかった。
様々な思いを胸に演奏会の幕が上がりました。
練習を重ねてきたベートーベン交響曲第5番「運命」など、約2時間の演奏会は拍手に包まれて幕を下ろしました。
来場者からは「一体となった演奏を聞かせていただいた」「小学生も頑張っていて、エネルギー、生きる力をもらった」などの声が聞かれました。
今回の演奏会では、第1期から指揮を執ってきた柳澤寿男さんも東北ユースオーケストラから離れることを発表。
柳澤さんは、一緒に活動してきた団員たちの成長を「(団員たちは)ずっと支援されているというより、自分たちが支援する側になる。自分たちで困難を乗り越える力を付けていく。すごいことだな、たくましいなと思っています」と語りました。
兄弟3人そろっての演奏を終えた菊野さんたち。
初めてステージに立った斗環さんは「ステージで曲を演奏する中ですごく楽しかったから、これからも続けていきたいと思います」と話していました。
幼いころに震災を経験した奏良さんと碧大さん。
一方で、斗環さんは震災後に生まれました。
演奏会を見届けた3兄弟の母・千晶さんは、東北ユースオーケストラが震災を伝える貴重な場になっていると感じています。
母・千晶さん:
家でも震災の話など、悲しい思い出でもあるからあまりしなかったりするんですけど、家族としてとか同じ地域で暮らす人間として、経験はなくても知っておいてほしい。東北ユースオーケストラに所属することで(震災の)経験なくても寄り添っていけるようになるのかな。
東北ユースオーケストラを通して震災を見続けてきた奏良さんは、その先の未来を「震災を覚えてる団員の方が少ない状態になっている。現役の団員としては離れるんですけど、今度は支えていく立場にまわれれば」と語りました。