「おやき」や「おぶっこ」など長野市の「粉もの文化」が、世代を超えて受け継がれてきたとして、文化庁の「100年フード」に認定されました。食文化を次の世代につないでいこうと、市や生産者は魅力発信に力を入れています。

■長蛇の列!お目当ては粉もの

3月19日、長野市役所にできた長蛇の列!

そのお目当ては―。

(アナウンサー)
「信州の郷土食、おやきやこねつけが並んでいます。種類も豊富でどれを買おうか迷ってしまいます。おいしそうですね」

信州を代表する郷土食の「そば」に、市内7店舗の「おやき」も。「粉もの」のグルメを集めたイベントです。

購入した人:
「いっぱい種類があったので、見てみようかなと。お昼前に食べようかな」
「(何を買った?)おやきです。特にリンゴが好きなので、『リンゴマリアージュ』を食べるのが楽しみです」

こちらは「わさび野沢菜」のおやき。

(アナウンサー)
「いただきます。おいしい!たっぷりの野沢菜にピリ辛のわさびがアクセントになっています。かめばかむほど小麦の味が広がるもっちりした皮で、とてもおいしいです」

ドイツから来た2人は、購入したおやきを朝食に―。

ドイツから来た2人:
「キャベツなどの野菜が、とてもおいしい」
「とてもシンプルだけど、おいしい」

■世代超え愛され「100年フード」に

市民はもちろん、外国人にも人気の「粉もの」グルメ。

実は―。

(アナウンサー)
「すいとんやにらせんべいなど長野市の粉もの文化が、この度100年フードに認定されました」

「100年フード」は、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を文化庁が認定する制度です。

県内では、これまでに伊那市の「ローメン」や飯綱町の「やたら」、上田市の「美味だれ焼き鳥」などが認定されています。

■小麦粉消費額は全国1位のワケ

市によりますと、長野市は、急峻な地形の影響などで、昔からコメの収穫を補うために小麦やそばの栽培が盛んに行われてきたということです。

家庭でも、おやきやにらせんべい、すいとんなどの「粉もの」が作られてきました。

最新の家計調査で小麦粉の消費額が全国1位の長野市。「粉もの文化」が根付いていることも、要因の一つと考えられます。

市は、この食文化を次の世代につないでいこうと文化庁に申請し、2026年2月に「100年フード」に認定されました。イベントは、認定の記念で開いたものです。

長野市 農業政策課・山口力 係長:
「日常で親しんでいる味だと思うのですが、一方で市民の皆さんにとっては当たり前すぎて、この価値に気づかれていない。認定を契機に改めて光を当てて、この味を味わってほしい」

■老舗おやき店主も認定に誇り

生産者も「100年フード」の認定を喜んでいます。

せいろの中にあるのは、ふかしたての「おやき」。青木島町にある1987年創業の「ふきっ子」です。「野沢菜」など定番の具材はもちろん、「ふきのとう」や「綿内れんこん」、「雪菜」といった、季節の食材や伝統野菜を使ったおやきも並びます。

客:
「きょうはふきのとうと野菜ミックス。皮もおいしいですよ」

店主の小出陽子さん。約20年前に母の冨貴子さんから店を受け継ぎました。

ふきっこ・小出陽子さん:
「おやきって、粉ものの中ではそばと並んでダントツだと思う。認定を受けたということは、とても誇りだなと思います」

■伝統の「焼きふかし」を未来へ

小出さんが作るのは「焼きふかし」のおやきです。ふかす前に、表面を軽く焼くのが特徴で、小出さんの地元の篠ノ井地区に伝わる作り方だと言います。

ふきっこ・小出陽子さん:
「私も母の作るおやきを食べて育った人間として、私が食べて育ってきたおやきをまたつなげていきたいという、その思いだけです」

14分、芯まで蒸らして―。

店頭販売のほか、県内のホテルなどにも卸していて、1日に作るおやきは、700個から800個ほどに上ります。

定期的におやきの作り方講座も開いている小出さん。今回の認定を励みに、受け継いできたおやきを未来につないでいきたいとしています。

ふきっこ・小出陽子さん:
「長野の四季をきちんと包めるおやきにすごく魅力を感じていて、やっぱり長野の郷土食として育ってきたものなので、長野のおいしい食材を包んで未来につなげていくというのが、おやきの使命でありたいなと」

■おやき×おぶっこ 新たな魅力も

長野市中条の道の駅のレストランにも「粉もの」メニューがあります。

一番人気の「おぶっこ」です。

客:
「おいしいです。毎月食べてます。これ食べるために仕事している」

客:
「ほっとする味ですよね。おみそもおいしいし、野菜おいしい。ここでおぶっこを食べるのが楽しみで来ています」

「おぶっこ」は長野市の西部・西山地域の郷土料理で、みそ仕立ての汁でたっぷりの野菜と平たい麺を煮込んだものです。

「おぶっこ」を看板メニューとしている道の駅にとっても「100年フード」認定は明るいニュースでした。

道の駅中条・石川大哲さん:
「(おぶっこは)地元の家庭で長い間で引き継がれてきた郷土料理。(『100年フード』認定は)率直にうれしい」

道の駅では最近は、こんな新商品も作りました。おやきの中におぶっこを入れた「おぶっこおやき」。2つの「粉もの」がコラボした唯一無二の商品です。新たな魅力も加えながら伝統の食文化を発信しています。

道の駅中条・石川大哲さん:
「地域の方がつないでくれた食文化、郷土料理でこれからもいろいろな人に食べてもらいたいし、広がっていけばいいなと」

■「100年フード」の味を次世代へ

「100年フード」の認定を受け、市内の協力店では、ロゴ入りの記念シールを貼った商品を販売しています。また、市は、2027年春に行われる善光寺御開帳のプレイベントとして「粉もの文化」に関するさまざまなイベントを開く予定です。

長野市 農業政策課・山口力 係長:
「申請をして、認定を受けたということはうれしかったですが、日頃から親しんでいる味ではあるので、当たり前、当然かなと。次世代の子どもたちにもこの味を受け継いで引き継いでいってもらいたい。そんなきっかけになれば」

長野放送
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