「満点ママ」のコーナーです。
23日は、呉市の大崎下島にある自然豊かな集落。
島の内外から人が集まる魅力的な空間を紹介します。
今回訪れたのは豊島から橋を一本渡った大崎下島、島の中央部に位置する久比地区です。
およそ330人が暮らすこの場所で早速、気になる建物をみつけました。
【村上 果穂リポーター】
「うわっ、お店?学校?えーなんですか?可愛らしい建物が。こんにちは。お邪魔して大丈夫ですか」
【後東 航さん】
「はい」
出迎えてくれたのは、後東 航さんです。
気になる建物について聞きました。
【村上リポーター】
「ここはお店ですか?」
【後東さん】
「そうです。ここは『まめな食堂』といって、地域の方の個食とか、毎日来てもらって、美味しいご飯を食べてもらって、元気になってもらうということを目的とした地域食堂になっています」
【村上リポーター】
「食堂と言ってもっていう、このなんかおしゃれな家具と外も見える感じ。そしてかわいいソファがあったり」
【後東さん】
「もともと病院だった場所で、診察室があったり、手術室があったりっていうところを改修して、こういう食堂という形で利用して」
【村上リポーター】
「なるほど」
島の外から来た人でも利用することができるこの食堂は「まめなコモンズ」という活動の一環で運営されています。
【後東さん】
「ものをみんなで共同で管理して、その恩恵をみんなで享受するっていうのがコモンズなんですけど、コモンズっていうものに属している人間が、その中でこの久比という場所を使って、自分のやりたいことをやるっていう。ここは久比っていうところを使った社会実験の場として、みんなが利用しているっていう形ですね」
「コモンズ」の活動では郷土史の研究や音楽会、菓子店の開業、農業など様々な取り組みが行われています。
そうした取り組みに参加するため、島の外から訪れる人が利用できる宿泊施設も用意されています。
【後東さん】
「ここは病棟だったんですけど、四畳半の部屋が5つ並んでて、ここがそれぞれ客室になってます」
【村上リポーター】
「後藤さんはなんでまめなコモンズに、あれですか、入るきっかけとなった何かあったんですか」
【後東さん】
「きっかけは、大学生2年生の春休みに、ちょうどここの病棟の漆喰を塗るワークショップがあって、それに参加したのがきっかけになった出来事で。その時にこの島に塾がなくて、子供たちの学び場を大学生でチームを組んで作ろうっていう話があって、大学、僕が教育学科だったので、それに興味があって参加しました」
それから5年、すっかり島の住民となった後東さんに、この地区の魅力を教えてもらいました。
【後東さん】
「地域にも、僕は暮らしの達人って呼んでるんですけど、そのもうその島で生きる上での必要な知識、それこそ野菜の育て方だったり、何々が咲いたらこの種をまこうとか、そういう知恵とか工夫みたいなのがすごく地域の人たちは持ってて、そういったのもすごく魅力に感じましたね」
甘夏の木の間を抜けていくと…立派な建物が見えてきました。
【後東さん】
「こちらは崎原学舎っていって、子供から大人までが集まって、例えば音楽会を開いたり、小学生とかが放課後集まってここで遊んだり、いろんなワークショップがここで行われています」
こちらも「まめなコモンズ」の活動拠点です。
立派な母屋の隣には、「長屋門」と呼ばれる元々、みかん倉庫や家畜小屋などがあった建物があるのですが実は後東さん、ここであるお店を開いています。
【村上リポーター】
「おお、素敵。何でしょう、一気に空間が変わりましたよ。なんて素敵なバーなんでしょう」
店の名は「バー邂逅」。
後東さんは2022年から、バーテンダーとして店に立っています。
【後東さん】
「もともとここは、まめながバーにするっていうのは決定事項としてあって、当時改修中だったんですけど、初めてこの中を見たときに、もちろん当時何にもなかったんですけど、この壁にある板、これ船板なんですよ。木造船の廃船になった後に、それを再利用して使ってて。これ当時のままなんですね。この雰囲気がすごく気に入って、もう絶対バーだなと思って。それまで小学校の先生になろうと思ってたんですけど」
【村上リポーター】
「教育学部って言われてましたもんね」
【後東さん】
「なんですけど、もうそれを辞めて、その日に大学に電話をして、『先生になるのを辞めます』って言って。一応卒業もして免許も取ったんですけど、そこからバーとは?っていうところから始まりました」
まさに人生を変えたお店。
バーテン姿の後東さんに、この地区ならではの一杯を出してもらいました。
大きな氷が入ったグラスに注いだのは、ノンアルコールジンとポンカンの果汁。
トニックウォーターも加えて…
【村上リポーター】
「はー、おしゃれです。もう香りがすごいですね。ふわっと。いや、結構ガツンとかな。もう飲んでないけど、結構香りしますね」
【後東さん】
「結構香りますよね」
【村上リポーター】
「うん。はぁー、香ります。レモンをかけてたあの香り」
【後東さん】
「レモンの皮を潰すとミスト状に油分が出るんですけど、それがグラスにまとわってる感じですね」
【村上リポーター】
「だから口に運ぶ前に爽やかな香りがするのはそれですか」
【後東さん】
「それです」
【村上リポーター】
「なんかもういい夜ですね」
【後東さん】
「ありがとうございます」
路地の奥に、ひっそりと佇む素敵なバー。
店に訪れる2割が地元の人だということです。
【村上リポーター】
「地元の方はどんな方が来られるんですか?」
【後東さん】
「圧倒的に女性が多くて、地域のおばあちゃんがまだバイトとかされてる方だと、バイト代が入るとここにバイト代を握りしめて来てくれたりとか」
【村上リポーター】
「ご褒美の場所なんですね」
【後東さん】
「そうなってるみたいです」
【村上リポーター】
「どんな会話をするんですか?」
【後東さん】
「もうちょっとしたら人参をまかないといけないよねとか、ジャガイモの土寄せしたん?とか、そういう野菜の話だったり、なんか今度あそこにお店ができるらしいから一緒に行こうとか、そういう話ですね。いつもおじいちゃん、おばあちゃんからはあんたから元気もらっとんじゃって言われるんですけど、こっちもすごく元気をもらってて、僕も頑張らないといけないなという気持ちにはいつもさせてもらってますね」