プレスリリース配信元:公益財団法人東京観光財団
公益財団法人東京観光財団は、増子美穂氏(東洋大学 国際観光学部 教授)とKiwiPR合同会社の3者で共同研究「東京のアートツーリズムの可能性~東京のポテンシャルを最大化する戦略の考察~」を実施しました
研究実施の背景と目的
世界のアートツーリズム市場は2024年時点で約450億米ドル(約7.1兆円)とされ、2030年まで年平均約3.0%で成長すると予測されている。近年はアートワークショップや地元アーティストによるガイドツアー、体験型の美術館など、体験を重視した観光として広がり、旅行者とデスティネーションの関係を深める機会を生み出しています。
東京都の令和6年「国・地域別外国人旅行者行動特性調査」では、訪都観光客の約20%が訪都目的として「美術館・博物館の訪問」を挙げており、東京におけるアートへのニーズの高さがうかがえる。一方で、東京は多様なアート資源を有する都市であるにもかかわらず、ロンドンやニューヨーク、パリ等と比べるとアート都市としての認知は十分とは言えません。
そこで本研究では、内外比較や旅行者行動、識者インタビューを通じて、東京のアートの観光活用が進まない要因を整理し、都市の魅力的な観光コンテンツとして認識を高める方策を考察します。
研究概要
本研究は以下5つのステップで分析を行いました。
1.基本概念の整理(アートの分類とアートツーリズムの概念整理)
2.東京のアート資源整理と他都市分析(都内におけるアート資源の可視化とソウルとの比較)
3.識者に聞く「東京のアートツーリズム」の現在地(識者11名へのインタビュー調査)
4.東京のポテンシャル調査(おでかけウォッチャー、THE TOKYO PASS等を活用したデータ分析)
5.提言まとめ(東京におけるアートツーリズム推進の方策提案)
1.基本概念の整理
- アートツーリズムはアート先進都市で主流の「芸術鑑賞型」、日本型である「地域実践型」、都市で展開されている「都市型」の3類型に区別され、都市や地域理解を深める手段として活用されている
- 上記3つの類型が重なり合う部分を「東京モデル」とし、東京ならではのアートツーリズムの模索と追及が重要である

アートツーリズムの概念整理
2.東京のアート資源整理と他都市分析
- 観光客の主要行動範囲である「東京23区=Walkable Area」で切り取ると、その集積度はソウルとほぼ同水準であり、 ニューヨークよりも密度が高い
- 一方で、SNSでの情報発信は国内向けの日本語発信が中心で、英語発信を行う施設は限定的である。多言語発信やSNS活用の面で海外都市に比べ改善の余地がある
3.識者に聞く「東京のアートツーリズム」の現在地
施設、メディア、イベントプロデューサー、ブロガー等、様々なジャンルで活躍している識者11名に対してインタビューを実施し、東京におけるアートのポテンシャルと指摘事項が可視化された。
- 日本美術と西洋美術、伝統と現代、鑑賞と没入体験が一つの都市で完結できるアート密度が高い都市は珍しい。充実した、クオリティの高い多様な選択肢等もユニークポイントという声も
- 多数のアート資源がありながら、企画展が中心で常設展が弱く、また情報発信の弱さもありその価値が十分に”届かず・伝わらないこと“が東京の最大の”もったいなさ“である
- 外国人が東京でのアートに求めているものは、作品そのものだけでなく、 “空間・ストーリー・作品との出会い”が重なる、日本だからこその体験そのもの
- 情報の一元化、施設間連携、ナイトタイム強化など“都市としての仕組み”を整えることで、 東京のアート体験が外国人へも広がりをみせていくという声が多い
4.東京のポテンシャル調査
- 情報収集の手法として、リアルのタッチポイントはあるが、旅行者は活用していない。ウェブサイトやSNSを利用して情報を探しているが、実際に美術館・博物館に訪れた人が約5.3%という結果から、それが出来ていない可能性が高い。タビマエ・タビナカにおいて、分かりやすく情報を整理して発信することが重要
- また観光客は上野エリアに集中しており、東京に点在する多様なアート資源やエリアごとの魅力が十分に認知されていないことが課題と考えられる
5.提言まとめ
本研究を通じて、東京の強みである「多様なアート資源」と「都市の重層性」を活かし、都市生活と結びついたアート体験の発信が重要であることが明らかになりました。東京ならではのアートツーリズムを実現するための3つのポイントは以下の通りです。
- 東京のアートを「点」から「面」へ。エリアで物語化し、都市全体を体験させる
- これを見れば「東京のアートの全てが分かる」信頼できる唯一の入口を構築する
- キャンペーン的な打ち出し方をして、都市型アートツーリズムを定番化させる
本レポートが、今後の都市観光における課題整理や議論の一助となれば幸いです。報告書は下記リンクからご覧ください。
「東京のアートツーリズムの可能性~東京のポテンシャルを最大化する戦略の考察~」共同研究報告書
【東京観光財団について】
東京の観光振興に関する各種事業を推進する東京都の政策連携団体。「世界から選ばれ続けるTOKYOへ。」を組織理念に掲げ、様々なパートナーと連携しながら、旅行者やビジネスイベンツを誘致するとともに、地域の観光振興や受入環境を向上するための取組を幅広く展開。
組織名:公益財団法人 東京観光財団
理事長:上條 努
所在地:東京都新宿区西新宿二丁目3番1号 新宿モノリス15階
設立: 2003年10月15日
URL:https://www.tcvb.or.jp/jp/
【本件に関する問合せ先】
公益財団法人東京観光財団 総務部総務課(企画調査)小峯・井上
電話:03-5579-2680 メールアドレス:sanjyokaiin@tcvb.or.jp
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