福岡・志免町の志免西小学校体育館に入場して来た6年生の子どもたち。2026年2月13日、この日、行われた学校の行事は“入学式”。卒業を間近に控えたはずの6年生が、なぜ? そこには、子どもたちの特別な思いがあった。

コロナ禍でできなかった学校行事の数々

新型コロナが猛威を振るい始めた2020年。当時の安倍晋三首相が緊急事態宣言をしたのが、その年の4月7日のこと。

そしていまの6年生の子どもたちが、小学校に入学したのも2020年4月だったのだ。そのため入学式は執り行われなかった。

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6年担任の中野時広教諭は当時について「集団で入学式が出来ず、クラスで個人写真を撮って、集団で1回だけ写真を撮って、そのまま家に帰った」

「その後もオンライン授業が続いた子たちだったので、実際にクラスの子たちが一同に顔を合わせたのは、その数か月後」と思い出しながら話す。

『緊急事態宣言』下で入学式が実施されなかった6年生。そこで「自分たちの手で入学式を実現したい」と立ち上がったのだ。

販売会の売り上げは何と60万円

子どもたちは手作りの雑貨を販売し、その売り上げで入学式の開催を目指すことに。製作資金や材料は地元の企業などから支援が集まったものだ。

慣れないミシンに悪戦苦闘する子どもや慣れない接客に戸惑う子ども。近くの商業高校の生徒からコツを教えてもらいながら何とかかたちにしていく。

慣れないミシンに悪戦苦闘
慣れないミシンに悪戦苦闘

そして迎えた販売会の当日。商業施設の店頭には子どもたちが作ったクッションやティッシュカバー、そしてキーホルダーなどが並んだ。

販売会(イオンモール福岡)
販売会(イオンモール福岡)

買い物に訪れた女性は「いい企画だと思いました。購入したことで応援が、ひとつでもできたかな」と雑貨を手にしていた。

4日間に渡り開かれた販売会は大盛況。売り上げ金は何と約60万円だった。

果たして、どんな入学式になるのか。

“入学式”には6年前の先生の姿が…

2026年2月13日。体育館に「1年生が入場します。多くの拍手でお迎え下さい」と流れるアナウンス。大勢の保護者が見守るなか、少しはにかみながらの子どもたちが入場する。

会場を彩る飾り付けや壇上の花々は、全て販売会の売り上げで購入したものだ。

学校からいきなりのサプライズがあった。式の冒頭、壇上に上がった校長先生は、6年生が1年生だった当時の陶山嘉一校長先生だ。

「ご入学おめでとうございます。きょうから志免西小学校の1年生になる皆さんに校長先生から『西っ子の皆さん!』と声を掛けますので『はい!』と元気よくお返事をして下さいね」と祝辞を述べた。

さらに「それでは皆さんが楽しみにしていた担任の先生を発表したいと思います」と登場したのは、当時の担任の先生。この日の“入学式”に駆け付けてくれたのだ。

当時の担任教諭の1人は「あれからもう6年が経つんですね。きょうはこのような皆さんの思いが詰まった素敵な式にお呼び頂き、本当にありがとうございます」と挨拶。また別の教諭は「小さかった皆さんが、こんなに大きく立派な姿になっていて感動しました。でも面影が残っています」と挨拶した。

子どもたちからのサプライズは、保護者には内緒で計画していた『感謝の会』。販売会の売り上げで購入した、お茶や駄菓子を振る舞い手紙や花を手渡した。

6年越しの“入学式”に参列した保護者の1人は「よかったです。感動しました。泣かないでおこうと思ったけど…、まさかこんな…、すごく頑張ったなと思いました」と涙を拭いていた。

また別の保護者は「タイムスリップしたような感じもあって懐かしくもありながら、成長したなというところの恩返しをしてもらったような感じで、感動しました」と笑顔に溢れていた。

それぞれが新たな旅立ちへ

こどもたちも楽しいことも苦しいこともさまざまな経験をし、成長した6年間だった。

「楽しかったです。やっぱり出来て良かったと思います」(宮木善詩くん)。

「親に感謝を伝えられたこともですし、コロナ禍でできなかった入学式をやっとできて1年生の後ろ姿をずっと見ていたので、いいなと思っていたのでよかった」(小野愛莉ちゃん)。

「思っていたより感動しました。今よりかは親に迷惑をかけない中学生になりたいです」(井上晴登くん)。

志免西小学校の6年生187人。あの日できなかった入学式を自分たちの力で実現し、春には学び舎を巣立っていく。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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