高額献金や子供への「宗教虐待」が社会問題となった旧統一教会に対し、東京高裁は解散を命じました。
判断を見守っていた関西の”宗教2世”の思いと、今もなお進まない補償の現状を取材しました。
■宗教法人格を失い「清算手続き」へ
東京高裁の三木素子裁判長は4日、「信者らによる不法行為を防止するための実効性のある手段は、旧統一教会の解散命令以外に見当たらない」などとして、世界平和統一家庭連合(=旧統一教会)に対し解散命令を出しました。
旧統一教会をめぐっては、安倍元総理の銃撃事件をきっかけに、高額献金や子どもへの“宗教虐待”が社会問題となり、3年前に文科省が解散命令を請求。
去年、東京地裁が解散を命じましたが、教団側は即時抗告し「不法行為の存在を裏付ける具体的事実はない」などと反論していました。
しかし東京高裁は、多くの人に多額の財産上の損害や精神的苦痛が発生し、結果が重大で解散命令はやむを得ないと判断。
教団側は最高裁に特別抗告できますが、今回の決定をもって宗教法人格を失い、清算手続きが始まることとなります。
■「信教の自由を守り抜くため闘い続ける」と教団
【松本洋平文部科学相】「この清算が円滑かつ確実に進められ、被害者の救済がなされることを期待するとともに、清算人の求めに応じ関係府省庁と協力し、可能な限りの支援をしてまいりたい」
教団は「我々はこの不当な司法判断を決して容認せず、特別抗告を含め、信教の自由を守り抜くため闘い続けます」とコメントしています。
■元信者の宗教2世「親にもお灸が据えられたな」
解散を“宗教2世”たちはどう受け止めたのでしょうか。
合同結婚式で結ばれた両親の下に生まれた“宗教2世”で、近畿地方に住む元信者の平井さん(仮名)。
両親は収入のほとんどを献金し、平井さんは約1500万円の金銭的援助をしてきました。
【平井さん(仮名)】「遅かったけど良かったと思います。苦しむ人もいなくなるし、親にもお灸が据えられたなと思います。僕自身は社会でなんとか復帰できてますけど、復帰できていない人たちはいっぱいいるので、お金で補償するしかないんじゃないですかね」
一方、今も教団の教えを守る2世は…。
【現役信者の“宗教2世”】「突然、自分が信じている信仰が変なこととして扱われてしまって、今まで自分が信じてきたものが否定されて、私の人生までもが否定されるような思いでした」
■334件の請求に対し返金は“11件”のみ
残された課題もあります。
関西テレビの取材で、教団が去年設置した補償委員会に対し、334件の請求があることが分かりました。
しかし、このうち返金されたのは11件のみで、11件の返金額およそ1億6000万円のうち1億円は関西に住む1家族に対しての返金だというのです。
被害救済のために活動してきた弁護士は、返金額の少なさや対応の遅さを批判します。
【全国統一教会被害対策弁護団・阿部克臣弁護士】「春には解散命令の高裁の決定が出るというスケジュールもある程度見えていた中で、補償委員会としても審査をスピーディーにやって支払いをしていると思っていた」
■残された「教団と政治の関わり」問題
そしてもう1つは、「教団と政治の関わり」です。
取材を続けてきたジャーナリストの鈴木エイトさんは「政治との関わりはまだ十分に解明されていない」と話します。
【鈴木エイトさん】「今回司法がきっちり解散を命じましたけど、これまでの被害を及ぼしてきた政治家が何の責任も問われていないのは、少しアンバランスを感じますね」
鈴木さんは、今後も宗教団体としては存続し、勧誘活動なども続くのではないかと話しています。
■「清算人の権限の限界」鈴木哲夫氏指摘
この決定で清算手続きが始まることになりますが、被害者の救済は進んでいくのでしょうか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「清算人の権限の限界」を指摘します。
【鈴木哲夫氏】「『清算人の権限』というのが、どうしても限界があって。旧統一教会側がいろいろ財産を持ってるとか、これだけ献金があったとかも全面的に協力しなければ、なかなかつかみに行けないんですよね。財産を明らかにして救済していく大変な作業だと。だからこれかなり時間かかるというのが1つ。
それと『政治と旧統一教会の問題』実は、今回解散命令が出たことで、ご破算になっちゃうのかなと。それじゃダメでしょ。国会で追及していくのかどうか分かりませんけど、この問題ははっきりさせる。メディアも含め、国会の野党含めて、明らかにしていく作業が残ってると思います」
(関西テレビ「newsランナー」2026年3月4日放送)