衆院選で歴史的大敗を喫した中道改革連合が、党再建に向けて動き出している。小川淳也代表ら新執行部は、選挙総括に向けて落選した候補者からのヒアリングを開始した。

この中で、落選者からは党の財政難による支援への不安、立憲・公明両党の合流問題など様々な課題について意見が出た。報道陣に非公開とされた部分のヒアリング内容について、関係者への取材などで迫った。

野田氏に落選者から「失敗と言って」

「かつてない厳しい戦いだった。皆様の胸中にも様々な思い、考えがあるかと拝察している。これを全面的に今後に生かすための前向きな議論として、しっかり執行部を挙げて受け止めたい」

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会議の冒頭、中道改革連合の小川淳也代表は、衆院選で落選した候補者にこう呼びかけた。

立憲民主党と公明党の衆院議員が合流して結成された中道は、選挙前の172議席が49議席と、3割以下に減らす歴史的大敗を喫した。これを受け、2月28日、落選者から意見を聞く会議を「時間無制限」として開催した。

午後1時から始まった会議は、オンライン形式で全国から約170人が参加。小川氏や階猛幹事長ら党執行部に加え、新党結成を決めた野田佳彦・斉藤鉄夫両前共同代表も出席した。

報道陣に公開された会議の冒頭、小川氏は「前に進むための極めて必要で大切な作業で、忌憚のない意見表明を心よりお願いを申し上げる」と呼びかけた。

その後、会議は非公開で行われ、約3時間が経過した午後4時頃、いったん休憩となった。この時、記者団の取材に応じた階氏は会議の様子について次のように語った。

「完全にこの党自体を間違いだからなくしてほしいという人は1名ぐらいだった」

取材に応じる階氏
取材に応じる階氏

階氏は「惜敗された方はいずれも旧立憲の方だが、公明党の皆さんへの感謝の声はほぼ皆さんから寄せられた」とする一方で、「中道という理念や方向性は肯定しつつも、『戦略としてどうだったのか。一緒の党になるのがどうだったのか』という意見はあった」と述べた。

そして、出席者から「選挙協力にとどめるべきではなかったか」などの意見が出たのに対し、野田・斉藤両氏が「選挙協力や“オリーブの木”と言われる比例代表の統一名簿を作るなど色々なことを検討したが、最善の策として両党が一緒になるという道を選択した」「一緒の党になることがベストな方法だった」などと説明したことを明らかにした。

さらに階氏は、公明党出身者が上位に掲載された比例代表の名簿順位については、「あり方、順位、決めるプロセスにも疑問、不満の声はあった」と述べた。

階氏によると、出席者からは「ほぼ復活当選のめどが立たず、支援者も含めて意欲をそがれた」「公示日に初めて聞いた」などの疑問や不満の声が相次ぎ、野田・斉藤両氏は「決して公明党を優遇したということではない」などと説明。小川氏は「これからは基本的に皆さんが納得できるような形にしていく」と述べ、理解を求めたという。

また、会議の中では、立憲が最長2年間限定としていた「食料品の消費税率ゼロ」が、中道の公約では突然「恒久的」となったなどとして、党の意思決定のあり方に疑問を呈す声も相次いだ。

FNNの取材では、会議の非公開部分で、出席者から野田氏に対して厳しい非難の声が上がったことが判明した。

報道陣が退出した後、発言の順番が回ってきた野田氏は、落選者に対し謝罪した。

「大敗の大きな責任は私にある。改めて皆様には深く深くお詫びを申し上げたい。お詫びの言葉だけでは済まないということもよく分かっている」

報道公開時の野田前共同代表
報道公開時の野田前共同代表

その上で、野田氏は「これまでの経緯をきちんと説明しながら、これからの方向性については皆様の判断をあおぎたい」と続けた。

さらに野田氏は、選挙区のすみ分けは時間がかかること、比例代表の統一名簿では小選挙区との重複立候補ができないことなどを踏まえ、新党結成を決めたことを説明。これに対し、出席者からは次のような厳しい意見が上がった。

「責任を取るということは間違ったと認めることだ。私が間違った、私の失敗だと言わない限り、それは責任ではない。その言葉を一度も聞いていない。私の失敗だったと言ってほしい」

これに対し、野田氏は、「意思決定のあり方、その他全て含めて結果を出せなかったことは私の失敗だと思っている」と応じた。

一方、他の落選者からは新党結成の決断について、次のように評価する声も上がったという。

「なぜ高市さんが選挙を急いだのか。まとまって走り出したら怖いからだ。中道を作る怖さが自民党にあったからこそ急いだのではないか。決して両前共同代表がやったことは間違っていない」

新党結成主導の2人に説明求める声

今回のヒアリングには、新党結成を主導した前共同幹事長の安住淳氏や前共同選挙対策委員長の馬淵澄夫氏は参加しなかった。出席者からは、安住・馬淵両氏に対し、公明党との交渉の経緯などについて説明を求める声が相次いだ。

2月の衆院選で落選した安住氏と馬淵氏
2月の衆院選で落選した安住氏と馬淵氏

会議に参加していた愛知10区で敗れた藤原規真元衆院議員はSNSに投稿し、自身の発言などについて、次のように明らかにした。

「野田氏は中道改革連合の結成に際し、敗れれば『重たい政治判断をしたい』と明言され、開票日には果たして『万死に値する』と締めくくられた。二度と党のあり方を決めていただきたくない上に、事実上の影響力も行使していただきたくない」

敗戦の弁を述べる藤原規真氏 2月
敗戦の弁を述べる藤原規真氏 2月

その上で、藤原氏は現執行部や野田氏に対し、「野田氏は顧問に就かれているが、『万死に値する』との言葉に鑑み、確約をいただけるか」と迫った。

これに対し、小川氏は「野田氏については、至って静かに見守っていただいている。一切の関与をお控えいただいている」と述べ、野田氏も「今後、党の方向性について関与することは決してないと明確に申し上げる」と応じたという。

さらに、藤原氏は安住・馬淵両氏について、「比例近畿で優遇された馬淵氏には優遇をいつ伝えたのか。実務を担ったのは安住氏だと推測できる。その安住氏が雲隠れ。我々、死屍累々(ししるいるい)の落選者の前に両氏が姿を現すことはないのか」などと述べたと明らかにした。

これに対し野田氏は、公示前日に自らが馬淵氏に対して比例順位を伝えたと説明。小川氏は「必要に応じて、名前のあがった諸先輩方については、野田氏に指導をいただきながらヒアリングを検討」との考えを示したという。

それでは、安住・馬淵両氏の説明を求める声に対し、執行部はどのように対応するのか。

先述の取材の中で、階氏は、記者団から安住・馬淵両氏に会議参加を打診したのか問われると、「打診はしていない。現職の方でないということで今回は控えた」とした上で、次のような考えを示した。

「総括の過程でヒアリングすることは当然考えている。加えて、ヒアリングに直接来ていただくべきかどうかということについては、きょう出た意見も踏まえて執行部で考えていきたい」

また、党内から上がる旧執行部への批判に対し、落選者の1人は次のように苦言を呈する。

「安住氏は誰よりも党のことを自分事として考えていた。高市内閣の高い支持率を受けて、党として追い込まれていた。旧執行部もこれしか選択肢はないと思って判断したのだろう。それぞれの議員は自らの判断で新党に参加したはずだ。今さら批判するのはおかしい」

課題は落選者の資金面での支援

落選者へのヒアリングを通じて、喫緊の課題も浮き彫りとなっている。

まずは落選者への資金面での支援だ。議員数の大幅な減少は政党交付金の額にも影響するため、次の衆院選での当選を目指す総支部長に対し、立憲時代と同様に活動資金を支給できるのか、不安視する声はある。

先述の取材の中で、階氏は「惜敗者がこれから立ち上がるためには、お金の面での支援は重要だということで、いつ支援が行えるのかといったことも多数の方からあった」とした上で、次のように伝えたことを明らかにした。

「幹事長として今、資金面での精査をしているところで、交付金が入ってくるのは4月というタイミングなので、今しばらく待ってほしいということは申し上げた」

ヒアリングの中では、執行部に対し、資金面を含めた支援策を速やかに示すよう求める意見が相次いだほか、関係者によると、次のような切実な声も上がったという。

「企業・団体献金の廃止というところから政治資金パーティーが悪みたいなことがあった。後ろから鉄砲を撃つような発言、企業・団体献金がよくないからパーティーはやるなみたいなことを言うのは絶対にやめてもらいたい。本当に資金が詰まってしまう」

さらに、課題としては、暗礁に乗り上げている立憲・公明両党の中道への合流問題もある。参院議員や地方議員が残る立憲・公明両党は、早期の合流について、それぞれ党内から慎重論が出ており、当面、合流は見送る方針だ。

こうした状況を受けて、ヒアリングの中では、中道からの離党の意向を明確に示した出席者はいなかったものの、「中道は組織も整ってないし、立憲に籍を置いた方が日常活動はしやすい」として、当面は立憲で活動したいといった意見も出ている。

約5時間半にわたって行われた会議終了後、再び記者団の取材に応じた階氏は、「全体で35人の意見を聞いた」として、複数の出席者から次のような提案があったと言及した。

「合流を急ぐよりは、持ち株会社みたいな形で1つの塊として活動するという方法もあるのではないか。“連立野党”という形もあってよいのではないか。違う3つの党であったとしても、塊として行動するためのやり方はあるのではないか」

そして、階氏は2027年の統一地方選に向けて、「どういう体制で臨むのか、色々な方から意見、質問はあった」として、次のように伝えたことも明らかにした。

「それぞれの候補者が最大限、力を発揮できる体制を作っていきたいが、今すぐこのタイミングで合流、1つの党になるというのはなかなか現実的には大変だと思う。選挙の結果をよりよくするための色々なことを考えていきたい」

さらに、今回のヒアリングについて、階氏は次のようにその意義を強調した。

「そもそも中道を立ち上げたことに対する不満、批判が出てくるかと思ったが、そういったことよりも、どうやればうまくいったかという建設的な意見が多かった。これからの総括、今後の党の運営に非常に生かせる内容がふんだんにあったということで有意義なヒアリングだったと思っている。方向性としては間違ってないという認識を得た」

ある落選者は「茨の道ではあるが、この新党を育てていくしかない。高市首相が選挙で勝ったのは覚悟を見せたからだ。我々もこの道しかないと覚悟を決めて前に進んでいくべきだ」と苦しい胸の内を漏らす。

また、衆院選での大敗を踏まえ、ヒアリングの中で、落選者の1人が次のように訴えている。

「今回の選挙結果は戦後日本の政治史の中でも最大級の衝撃を野党に与えるものだ。政権交代可能な状況どころか、野党が雲散霧消して、与党のみの政治情勢になりかねない極めて危険な状態だと思っている。こうした中だからこそ、我々は今この塊を維持し、さらに進化させる取り組みを、歯を食いしばって行うべきだ」

中道は今後も落選者へのヒアリングを重ね、5月頃をめどに選挙の総括を取りまとめる方針だ。

敗因をどのように分析するのか、そして党再建の道筋をどのように示すのか、まずはその総括の内容に注目したい。

(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久) 

木村 大久
木村 大久

フジテレビ政治部(野党担当キャップ・防衛省担当)、元FNN北京支局