かつて”茶どころ”として名をはせた静岡の凋落が止まらない。今や荒茶の生産量で鹿児島に抜かれるなど苦境が続く静岡茶。現状打開に向けて様々な取り組みが進められる中、”超”高級路線に挑む老舗がある。

高級酒?いいえ、緑茶です

1本(750ml)で税込み2万4840円。

ただ、これはワインや洋酒の値段ではない。

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特別な製法によって茶葉のポテンシャルを最大限に引き出したリキッドタイプの高級茶、ボトリングティーに付けられた価格だ。

なぜ、これほどにまで高価な茶を販売するに至ったのか?

凋落続く静岡茶 復活のカギは?

静岡県内の茶業界に衝撃が走ったのは今から2年前。

荒茶の生産量で鹿児島に抜かれ、初めて首位の座を明け渡したからだ。

2025年には一番茶の生産量においても統計開始以来、初となる2位に転落した。

理由として考えられているのが価格の低下に加え、農家の高齢化に伴う生産量の減少。

このため、鈴木康友 知事も茶業における構造改革が必要との認識を示していて、「稼ぐ茶業・強い茶業を目指す。その結果として生産量も増えていく」と強調する。

こうした中、静岡茶の価値を見直す“リブランディング”に取り組んでいるのが島田市にあるカネス製茶の小松元気 取締役だ。

カネス製茶・小松元気 取締役
カネス製茶・小松元気 取締役

もともと茶に関わるスタートアップ企業で働いていたが、4年前に実家へ戻るとボトリングティーのブランドを立ち上げた。

小松取締役は「茶が“トーンダウン”する中でも、何かまだやれることがあるのではないかと思った」と振り返る。

産地ごとに個性が違う静岡茶をワインと重ね合わせたという小松取締役。

単価を上げることで茶をワインのようにじっくりと味わい、産地や生産の背景にも興味を抱いてもらえるのではないかと思ったと話す。

“あの”2万4840円するボトリングティーの茶葉には「つゆひかり」や「金谷いぶき」といった香りや味わいが特徴的な品種を使用。

何でも、口に含んだ瞬間「これ、違うわ」と思ってもらえる商品を作りたかったそうで、低温で淹れた時にしっかりと旨味を感じられる茶葉を敢えて選定したという。

ウェブサイトでの販売に加え、高級レストランにも商品を卸すことで2025年までの3年間における売り上げは約8000万円。

今後は海外展開にも力を入れる考えで、小松取締役は「みなさんが海外の高級レストランへ行った時、当たり前のように”ジャパニーズグリーンティー”が選択肢の中に入っている状態を目指したい」と強調する。

静岡茶の”リブランディング”へ

こうした取り組みは茶業の先行きに不安な思いを抱えている農家にとっても希望の光となっていて、石間悦郎さんは「今までのように農家だけで取り組むのではなく、製茶や流通の関係者とタッグを組み、しっかりとした方向性を持たなければ生き残りは難しい時代になっている。茶をこのように売ることができるのだと本当に驚いた」と目を丸くした。

石間悦郎さん(右)
石間悦郎さん(右)

有名デザイナーの佐藤可士和 氏をプロジェクトリーダーに起用するなど、県としても力を入れている静岡茶のリブランディング。

再び黄金期を築き、知事が掲げる稼げる茶業を実現できるのか、今後の動向が注目されている。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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