東日本大震災の発生からまもなく15年。特集は「日本で暮らす外国人の防災」についてお伝えします。

震災の翌年、2012年からの宮城県内で暮らす外国人の人数の推移です。

グローバル化に伴い右肩上がりで増加し、今年1月時点で、「3万2386人」。「宮城県民100人のうち1人」が外国人です。言葉や文化の違いを踏まえた防災への備えを考えます。

仙台市青葉区で暮らす田須ルーマさん(42歳)。2008年に夫の仕事の都合でバングラデシュから来日。3年前に日本国籍を取得し、夫と息子の3人で暮らしています。

田須ルーマさん(42歳)
「東日本大震災のときはカップラーメン1つを夫と2人で食べました。これと同じもの。(カップラーメン1つが)1日の食べ物でした」

2011年3月11日。青葉区のアパートにいた時、大きな揺れが襲いました。当時は来日3年目で、日本語も得意ではなかったといいます。

田須ルーマさん(42歳)
「避難所という言葉も分からないし、そこで集まってごはんを食べるとか、食べ物がもらえるとか、そういう避難所の習慣も分からなかった。本当に思ったのは家にいるしかないかなと思っていた」

これは宮城県が震災の翌年、震災を経験した宮城県内の外国人を対象にしたアンケートの結果です。「避難所に行った」と答えたのは全体の「3割」でした。その中からは「言葉や文字が分からず、情報を得られなかった」「周りの人の態度が冷たい」という意見も寄せられました。

田須ルーマさん(42歳)
「外国人が避難所で『ご自由にどうぞ』と言われたら、いくつも取っていいと思ってしまって2本3本も取ることもあるかもしれません。それは外国人なら絶対あり得る。でも日本人から見ると『ご自由に』と書くと1人1本ずつ。それは『文化の違い』。それが外国人が苦労するところだと思います」

言葉や文化の壁をどう乗り越えていくのか…仙台市はある取り組みを行っています。

仙台観光国際協会の職員
「仙台ではどんな災害が起こるかということ、仕事の日に地震があったらどうしますか、どんな準備をしますか、今からできますかということをお話します」

この日、行われたのは、仙台市内の介護の現場を支える外国人を対象とした「防災講座」です。多文化共生の推進や、外国人支援などを行う仙台観光国際協会の職員が日本で発生する災害や防災グッズ、最寄りの避難所の場所などを、クイズを交えて紹介します。

職員「手回し充電式ラジオにはライトが付いています。ラジオが付いています。回すと電気を作ります」
外国人参加者「へ~」
職員「充電をためるときにいいんですよ。へーですよね(笑)それでラジオを聞くことができたり、電気が付いたりします」

仙台市が今年度、市内に住む外国人を対象に行った調査では、災害に対する心配な点について、「何をしたらよいか分からない」「逃げる場所などが分からない」が、それぞれ20%を超えましたが、そもそも「不安はない」も35.5%で最も多くなりました。

インドネシア出身
「このイベントに参加してウェブイトを教えてもらったので、そこで避難所を探しておきます」

ミャンマー出身
「大きな地震(東日本大震災)でいっぱい亡くなったのはびっくりしました。自分で地震に備えたら、あまり亡くならないと思いました」

仙台観光国際協会多文化共生課 堀野正浩係長
「外国人の人口は増えていますので、次に大きな災害が起きた時、どうすればいいかということを、今一度真剣に考えて準備を整えていかなければいけない」

誰一人取り残さない防災に向けて、準備も進んでいます。

仙台市防災計画課 庄子 学係長
「こちらがハラル認証のアルファ米です」

仙台市は2020年度から日本人を含む、イスラム教の住民が増えていることから、避難所に戒律に従った食品を示す「ハラル認証」を受けた非常食を導入。イスラム教徒は戒律上、豚肉やアルコールが禁じられていますが、この認証がある食品は安心して食べることができます。

こうしたハラル認証を受けた非常食を「用意している」と回答した自治体は宮城県内35自治体のうち10。徐々に広がりを見せています。

東北大学のゲルスタ・ユリア准教授は、日本における災害伝承や、外国人の防災啓発を研究しています。外国人を「災害弱者」にしないために、ともに防災を学ぶ場を「日本人側がいかに作り出せるか」がカギを握ると話します。

東北大学 ゲルスタ・ユリア准教授
「町内会での避難訓練であったり、地域コミュニティと一緒に訓練することがやはりまだ難しくて、避難訓練の情報が来ないという事も多いし、そこもやはり言語の壁があります。外国人のなかでも日本語がペラペラな人もたくさんいるし、あとは優しい日本語、手とかで話してみても色んな情報が通じるので、日本人側も、その勇気が必要かなと思います」

「地域とともに防災への理解を深めること」が、重要だと指摘するゲルスタ准教授。3年前から、仙台観光国際協会などと、宝さがしゲーム形式で地域の避難所などを回るイベントも開いています。

東北大学 ゲルスタ・ユリア准教授
「外国人住民も参加するし、最近日本人も多くなってきましたが、防災というのが、やはりちょっと固いイメージがあって、ちょっと参加しにくいイメージもあるかもしれないんですが、宝探しなので、そこで遊びながら普段の話もできるし、地域を知ってもらう。そういう設定も必要だと思います」

来日3年目で東日本大震災を経験したバングラデシュ出身の田須ルーマさん。「日本人と外国人の橋渡し役になりたい」と『仙台市災害時言語ボランティア』に登録し活動しています。

田須ルーマさん(42歳)
「それぞれ日本人、外国人だけではなくて、両者が一緒に頑張らないといけないかなと思います」

東日本大震災の発生から15年。情報通信技術の普及で、言葉の壁は低くなりつつあります。それでも、災害時には、ひとりでも多くの命を救えるように、普段から互いを知る努力が求められています。

仙台放送
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