法改正に伴い2025年から導入された拘禁刑。受刑者の更生を重視した刑事罰だが、従来の禁錮刑や懲役刑とは何が違うのか?刑務所の現場から見つめる。

刑事罰をめぐる”大改革”

約400人が収容されている静岡刑務所。刑期が10年未満という初犯の受刑者がほとんどを占めている。

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受刑者に対する刑事罰をめぐっては2025年、大きな転換が図られた。

従来の禁錮刑と懲役刑を廃止し、新たに拘禁刑を創設するという改革だ。

背景には受刑者の特性に応じたきめ細やかな処遇の実現により、効果的な更生や再犯防止につなげるという狙いがある。

食事中も私語は許されぬ懲役刑

詐欺の罪で懲役6年の有罪判決を言い渡され、静岡刑務所に収容されている男性受刑者A(50代)。

いわゆる特殊詐欺の受け子をしていて、「最初は知らなかったが、度重なるうちに段々“そうかな”と気づいた。ただ、辞められない状況が続き、その結果、逮捕された」と振り返る。

刑務所では午前6時35分に起床し、日中は印刷工場での作業に従事したあと、午後9時には消灯となる毎日で、作業中はもちろんのこと、食事の際も私語は厳禁。

規則正しい生活と強制的な労働により、規律や責任感、さらには勤労意欲を身に着け、社会復帰させることが懲役刑の目的だからだ。

収容当初の自身について、男性受刑者Aは「刑務所がどういうところで、どういうことをするのかまったくわかっていない状態だったので、本当に不安で、寝ていてもすぐに目が覚めるすごく不安で寂しい状態だった」と話す。

何が違う?拘禁刑

法務省によれば、約5割に上ると言われる刑法犯の再犯率。

このため再犯の防止は喫緊の課題であり、拘禁刑の創設につながった。

拘禁刑では高齢者や外国人、依存症など、受刑者を24種類の特性に分類した上で、それぞれにあった更生プログラムを展開する。

この日、この男性受刑者Aが参加していたのはコミュニケーション能力等向上作業。

受刑者がチームごとに分かれ、オリジナルの自由帳の開発に向けたプレゼンをする。

コミュニケーション能力等向上作業の様子
コミュニケーション能力等向上作業の様子

従来の作業とは違い受刑者同士で“コミュニケーションを取る”プログラムで、講師からアドバイスを受けながら、商品を買ってくれる人を思いやる心や仲間を尊重する気持ちを育んでいく。

プログラムの最後に、男性受刑者Aが「相手を思う気持ちと相手になり切ることが大切だと学んだ。私たちがいま刑務所にいるということは、その気持ちが欠如し、他人を思いやる気持ちがなかったということを今回の研修を通じて思い知った」と感想を口にすると、静岡刑務所の本永中 所長は「社会に戻ってからもより多くの人たちとつながりが生まれてくると思うので、その際、今回学んだこと、気づいたことを活かしてもらえれば、この作業を受けてもらった意義がある」と声を掛けた。

2025年の法改正以降、現在までに拘禁刑を言い渡された受刑者は全国で1400人ほど。

ただ、静岡刑務所では拘禁刑が創設を見越して3年前から試験的にコミュニケーション能力を育むプログラムを導入している。

コミュニケーション能力等向上作業の様子
コミュニケーション能力等向上作業の様子

これまでに研修の大きな成果や効果を感じられるまでには至っていないものの、受刑者には変化が見られるといい、青木謙輔 主任矯正処遇官は「ある受刑者でいえば、受講後の感想を述べる場面でこれまであまり笑顔を見せるタイプではなかったが、ちょっと笑みを浮かべながら感想を述べる部分があったのがすごく印象的だった。静岡刑務所に限ったことではないと思うが周囲と円滑にコミュニケーションを図ることができなかったために犯罪に至っているケースが多いことを踏まえれば、コミュニケーション能力等向上作業をもっと多くの受刑者が受講していけるようになれば、円滑に社会復帰できる人も増えてくるのではないかと思う」と強調する。

男性受刑者Aによれば、初めてコミュニケーション能力等向上作業に参加した際、講師と”まともに”会話することができなかったことが深く印象に刻まれているという。

その理由を自分なりに分析した結果、「刑務所は拒絶された空間であり、”離された”空間であるため、自分が今まで出来ていたことが出来なくなっていることを思い知らされた」との答えに行き着いたそうだ。

その上で、「その意味でコミュニケーション能力等向上作業は、自分が失ったものを埋めていくという点ですごく有効的。今まであったスキルを思い出し、これから“外”で生きていく中でもすごく重要になるという感想を抱いている」と述べた。

拘禁刑の創設に伴う様々なプログラムや研修の導入が再犯率の低下につながるのか…今後の動向が注目されている。

テレビ静岡
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