2024年に3校が統合して誕生した秋田・鹿角市の鹿角高校で、全員1年生の演劇部が全国大会への切符をつかんだ。同じ学年だからこそ生まれる本音の創作で顧問の書き下ろし作品に挑戦し、県大会で最優秀賞を勝ち取った。鹿角の地で芽生えた若きチームが、いま大きな舞台へと歩み出している。

受け継がれた演劇の灯

教室に響くのは、演劇部のメンバーによる力強い発声練習。

発声練習に励む鹿角高校演劇部の部員
発声練習に励む鹿角高校演劇部の部員
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鹿角市の花輪高校、十和田高校、小坂町の小坂高校が統合して2024年4月に開校した鹿角高校では、花輪高校から受け継いだ演劇部が活動を続けている。

現在の部員は7人。全員が1年生というフレッシュな構成だ。

“本音”が作品を強くする

部員たちは、登場人物の心情や物語の背景を丁寧に掘り下げながら、意見をぶつけ合い作品づくりを進めている。

「本音を言えることが納得の作品につながっている」と語る高橋果穂さん
「本音を言えることが納得の作品につながっている」と語る高橋果穂さん

高橋果穂さんは、同学年だけのチームだからこそ生まれる空気について「みんな同じ学年だから本音を言えるし、気を使わずにいられる。それが、自分たちが納得できる作品につながっている」と語る。(※高橋さんの「高」は「はしご高」)

稽古中も話し合いを重ねる部員たち
稽古中も話し合いを重ねる部員たち

互いの演技を見つめ直し、何度も試行錯誤を重ねる日々。自然な会話の表現、笑いの“間”、場面ごとの空気感など、細部へのこだわりが作品を磨いていく。

顧問の書き下ろし作品に挑む

部員たちが今回挑んだ作品は、顧問の黒澤恵一先生が書き下ろした『きおくのき』。

顧問書き下ろし作品『きおくのき』の稽古
顧問書き下ろし作品『きおくのき』の稽古

物語は、高校1年生の主人公が初めて彼氏を自宅に招くという初々しいコメディー調の前半から始まる。しかし後半は一転、認知症を患う祖母との関係を軸に、深いテーマへと進んでいく。

部長の兎澤柑奈さん
部長の兎澤柑奈さん

兎澤柑奈部長は「日常の自然な会話を演技で表現したり、気になるところをどんどんブラッシュアップしたりするのが一番大事で、同時に難しいところ」と語る。

県大会“最優秀賞” そして全国の舞台へ

第56回秋田県高校演劇発表会(2025年11月)で最優秀賞を受賞した『きおくのき』の一場面
第56回秋田県高校演劇発表会(2025年11月)で最優秀賞を受賞した『きおくのき』の一場面

丁寧な積み重ねは、2025年11月の県高校演劇発表会で実を結んだ。鹿角高校演劇部は最優秀賞を受賞し、2026年7月26日から8月1日まで秋田で開催される第50回全国高校総合文化祭(愛称:あきた総文2026)への出場が決定した。

「県代表として応えられる舞台を作りたい」と語る顧問の黒澤恵一先生
「県代表として応えられる舞台を作りたい」と語る顧問の黒澤恵一先生

黒澤先生は「全国大会に出られるのは大変栄誉あること。貴重な経験ができる機会に恵まれたことをうれしく思う。同時に秋田県代表としての責任も感じているので、応えられる舞台を作りたい」と語る。

高橋さんも「この劇と同じ境遇の人もいると思うので、そういう人たちがいることを多くの人に知ってほしいし、少しでも心に届くものがあればうれしい」と作品に込めた思いを口にする。

次の舞台に向けブラッシュアップに励む部員たち
次の舞台に向けブラッシュアップに励む部員たち

2026年で創部3年目を迎える鹿角高校演劇部。鹿角の地から生まれた一つの物語が、全国の観客にどんな響きを届けるのか。

仲間とともに作り上げた感動を胸に、7人の挑戦は新たな舞台へと踏み出していく。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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