30年変わらない小沢一郎の手法

1月24日 自由党の小沢一郎代表(左)と国民民主党の玉木雄一郎代表(右)が党首会談
1月24日 自由党の小沢一郎代表(左)と国民民主党の玉木雄一郎代表(右)が党首会談
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国民民主党と自由党が参院で会派を組む、というニュースを聞き、むむ小沢さん、いまだ死なずだな、と驚いた。

参院での野党第一党争いがきっかけなのだが、とりあえず数だけ取って、それから中身を色々考えよう、という小沢さんの政治スタイルはこの30年変わらない。

ただ自自公連立にしても、民由合併にしても、小さい方の小沢さんがいつのまにか大きい方の相手を食っていた。これは国民の玉木さんは注意したほうがいい。いやもう遅いかも。

他にも野党内でいくつか動きがあった。

国民と自由の連携に対抗して立憲民主と社民が参院で会派を組んだ。社民は辺野古騒ぎで民主党との連立を離脱したので、立憲が「辺野古反対」に修正したから「復縁」した。一応筋は通っているが、こういうことをしていると政権交代がますます非現実的になる気がする。

民進党が分裂した時に、希望にも立憲にも行かず無所属で出た人が何人かいたが、このうちの岡田克也さんらが立憲の会派に入った。もともと立憲に近そうだったので驚かなかったが、その中で野田佳彦さんら何人かが無所属に留まったのには感心した。

野田さんは首相の時に消費増税を決断したので、増税に反対する立憲とは組まなかったのだろう。野田さんは先日の代表質問で統計の不正調査について、「民主党政権でも見過ごしていたことを猛省する」とちゃんと言っていた。こういう人は信用できる。

細野豪志という政治資産

自民党の二階派入りを決めた細野豪志議員
自民党の二階派入りを決めた細野豪志議員

もう一つ驚いたのは細野豪志さんの自民党二階派入りだ。いずれ入党するらしい。昨年暮れに酒席で「いつまでも無所属だと細野豪志という政治資産の無駄遣いだ」と僕が絡んだ時には黙って聞いていたが、あの時にはもう自民入りを決めていたのだろう。

細野さんは民主党政権誕生の際はまだ30歳代で、首相補佐官や原子力担当相など要職を歴任したが、下野後は、民進党をぶっ壊した。あの若さでこれだけの浮き沈みを経験した政治家は他にいない。

 1つだけ彼をかばうと、よくある批判として「そこまでして議員を続けたいのか」というのがあるが、彼は選挙も強く、集金力もあるので、別に無所属でも困らない。

ただ無所属だと国会で質問もできない。47歳という若さで隠居するのは勿体ないと思う。

コソコソやるな!胸を張ってやれ

国会での質問と言えば、昨日の産経新聞に、予算委で立憲民主が統計の不適切調査を追求したが、質問した3人のうち党所属は「1人だけ」だったという記事が載っていた。問題なのはこのうちの1人が旧希望の党から比例当選した人なのだ。

2月4日の衆議院予算委員会で質問にたった小川純也議員
2月4日の衆議院予算委員会で質問にたった小川純也議員

比例議員は党を移れないが、会派移動を禁止する法律はないので、こういう抜け道移動が立憲には他にも3人いる。
いずれも優秀で弁がたつ議員なので、「政治資産を効率的に活用」しているということなのだろうが、法律を作るのが仕事の人たちが、こういう脱法的なことをしてはいけない。せめて国会に出てくるのは次の選挙まで待つくらいの慎ましさを持ってほしい。

再来年には安倍首相の自民党総裁任期が切れ、衆議院の任期も切れるので、野党にとっては政権交代のチャンスだ。

2大政党制の下では、政治家の離合集散はある程度やむを得ない。問題は、コソコソやるのではなく、胸を張ってできるのか、ということなのだ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。