“トランプ吊し上げ写真”も各国でこれだけ違う!?世界のSNS外交事情

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  • “トランプ吊し上げ写真”も七国七色~各国SNS外交事情 
  • 各国が活用!SNSによる外交発信 
  • 官邸が力を入れるインスタグラム発信 

ドイツが公開したG7首脳写真の反響

冒頭の写真は、6月にカナダで行われたG7サミット=主要7カ国首脳会議で撮影された一枚です。

貿易分野を中心にG7の首脳宣言の取りまとめが難航した中、この写真では、文言に難癖を付けるトランプ大統領に対し、ドイツのメルケル首相を中心に各国首脳が同意を迫っているように見えます。

画面中央に映る日本の安倍首相は腕を組んで困った表情、また両隣の日本政府関係者(左は西村内閣官房副長官、右は外務省の山崎審議官)も険しい面持ちで、厳しい雰囲気が伝わってきます。

実は、この写真はドイツ・メルケル首相の公式インスタグラムに載せられていたもの。

写真は「真実を写す」と言うだけに世界的に大きな反響を呼びましたが、その後、ほかの各国も、この場を別の角度から移した写真をSNSに掲載したのです。

各国がSNSに投稿した写真は千差万別

こちらが、アメリカ政府の公式アカウント(ホワイトハウスのソーシャルメディア担当高官)に載せられている、同じ場面の写真。

ホワイトハウスのソーシャルメディア担当高官Dan Scavino氏のツイッターより

こちらの写真には、トランプ氏の後ろで笑うカナダのトルドー首相の様子も写っていて、“トランプ大統領を中心に和やかに議論が進んでいる”ようにも見えます。

さらに、他の国の公式アカウントの写真を見てみましょう。まずは日本

首相官邸インスタグラムより

安倍首相が真剣な表情で身を乗り出し、トランプ大統領とメルケル首相の間をとりもっているように見えます。ドイツの写真では、腕を組んで傍観しているように見えるのに比べ、積極的に働きかけているイメージです。


続いてイタリア、フランス、カナダの公式アカウントの写真を見てみましょう。

イタリア・コンテ首相のインスタグラムより
フランス・マクロン首相のインスタグラムより
カナダ・トルドー首相の公式カメラマンAdam Scotti氏のツイッターより

イタリアの写真では、メルケル氏の後ろで腕を組むコンテ伊首相の存在が強調された角度、フランスの写真ではマクロン仏大統領がメルケル氏の隣で身を乗り出している瞬間、カナダの写真では、トランプ氏の後ろにトルドー加首相がクールにたたずむ瞬間を切り取っています。


つまり、どの国の公式アカウント写真を見ても、共通して言えるのは、自国のトップが議論の中心にいるように見えるということです。

本当のところ、どのリーダーが議論の中心にいたのかは分かりませんが、各国の公式アカウントは、単に進行中の出来事について伝えるだけではなく、写真を通じ世界における自国のプレゼンスも高めようとしているようにみえます。

各国が力を入れるSNS外交発信

こうしたSNSを駆使した外交戦略は、各国とも積極的に取り組んでいます。

先般の米朝首脳会談でも、アメリカやシンガポールが「ツイッター外交」と言われるように、SNSをふんだんに活用していました。

シンガポール外相のツイッターより

日本政府の「公式アカウント」

日本政府も様々なSNSアカウントを運用していますが、海外への発信も視野に内閣が活用しているのは、主にインスタグラムとFacebookです。

首相官邸インスタグラムより:新幹線車内の安倍首相

官邸インスタグラムは2018年1月から運用が始まり、首相の動きや官邸のオフショットなどを写真と動画で掲載しています。

また官邸Facebookでは、インスタグラムに掲載されている主な写真のほか、首相会見の全篇動画、外遊のまとめ動画などを掲載。さらに英語版のページも設けられていて、日本の対外的な諸政策や首相発言などを英訳し、海外向けにも発信しています。

政府のSNS発信 最新の戦略は?

関係者によると、日本政府がSNSで情報発信を行う上で、以下の3点を心掛けているようです。

1.「ストーリー」を活用
インスタグラムの「ストーリー」機能は、投稿内容が一定期間で消える仕組みです。永続性がない分、気軽に投稿できるうえ、すぐに見てもらえるという特性があるので、有効活用しています。官邸インスタグラムのストーリーへ投稿はフランクなものも多く、報道陣が入れない場所で撮影された秘蔵映像も掲載されています。

外遊での首相動静を紹介する「ストーリー」

また、下の画像のように、フィギュアスケートのザギトワ選手への秋田犬贈呈の生中継を宣伝するなど、インスタグラムを起点に他の投稿や公式サイトへ誘導して、情報拡散を図ったりもしています。

後刻行われるライブ配信へ誘導する「ストーリー」

2. 最後まで見てもらえるよう、動画は1分めど

近頃、意識しているのは投稿する動画の長さのようです。首相の公式日程には原則として公式カメラが帯同し、一部始終を記録していますが、その内容を延々と載せても冗長でつまらない内容となってしまいます。
そのため、動画の尺は、気軽に観てもらえるよう、原則として1分程度の長さにすることを心掛けているようです。加えて、最近はテレビカメラだけでなく、インスタグラムにすぐ載せられるようiPhoneでも撮影しています。

3. シャッターチャンスを逃さない

インスタグラムに携わる官邸関係者は、ヘリの中での首相のオフショットなど「あらゆる機会を見つけてシャッターチャンスを逃さないように心掛けている」と語っています。
トランプ大統領が来日した際、ホワイトハウスのSNS担当者らがトランプ大統領の様子をiPadで片っ端から撮影し、投稿していました。
こうした他国の取り組みも参考にしているのでしょうか。

首相官邸インスタグラムより

19日夜に行われたFIFAワールドカップ日本代表の初戦でも、官邸インスタグラムは首相の応援メッセージを投稿。歴史的勝利を飾った後もすぐさま祝福のコメントを載せるなど、機敏していました。政府の主張を発信するためのみならず、首相の親しみやすさを演出するためにも活用されているようです。

この先、政治と外交におけるSNSの果たす役割は、ますます大きくなりそうです。


(政治部 官邸担当 山田勇)