海で溺れたら「浮いて待て!」 と注意喚起。ただし川では…

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  • 消費者庁が「子どもが海などで溺れたときの対処法」をツイート
  • 浮いて待つことによって救助される可能性が高くなる
  • ただ、川では「浮いて待て」の状態を維持するのは困難

子どもの事故防止に関する情報を発信する消費者庁の公式アカウント「消費者庁 子どもを事故から守る!」が5月18日にしたツイートが話題となっている。

海などの水中で溺れたり流されたりしたら、浮いて待て!

「浮いて待て!」とは、衣服を着たまま、無理に泳がず、救助されるまで仰向けで力を抜き、大の字で漂流する対処法。それを子どもが実行して、救助された事例があります。


これは、消費者庁、海上保安庁を含む「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議」が5月21日から実施する「子どもの事故防止週間」の一環のツイートで、子どもが海などで溺れたり、流されたりしたときの対処法として「浮いて待て」と注意喚起している。 

子どもが溺れた場合、慌ててもがいてしまったり、何とか泳ごうとしたりということが想像されるが、そうではなく衣服を着たまま、無理に泳がず、救助されるまで仰向けで力を抜き、大の字で漂流するという対処法を薦めていて、これを子どもが実行して、救助された事例も実際に報告されている。

【救助事例】
子ども4人でビーチで磯遊びをしていたところ、1人が深みにはまり流されてしまった。
しかし流された子どもは、救助されるまでの間、テレビ番組で見た、流された場合の姿勢(仰向けで力を抜いて大の字になる。)をとって漂流。友人が近くにいた大人に救助を求め、同人が消防に通報。その後、ビーチ救難所の水上オートバイにより救助された。
(海上保安庁 事故発生:2018 年3月、12 歳)

 

浮いて待つことによって救助される可能性が高くなる

海上保安庁によると、2008年から2017年までの10年間で14歳以下の子どもが海で事故に遭った数は574人に上る。
月別にみると、7月に181人、8月に334人と、海水浴シーズンの2か月間に集中して発生している。

「子供の事故防止に関する公表資料」より

海水浴シーズンを前に、なぜ「浮いて待て」が、子どもが海などで溺れたときの対策として有効なのか、今回のツイートは海上保安庁の情報を基にしているということで、海上保安庁の海難防止対策官に聞いた。



――なぜ、「浮いて待て」が、子どもが海などで溺れたときの対策として有効なのでしょうか?

ライフジャケットを着用していなくても、浮いて待つことによって救助される可能性が高くなるからです。


今回のツイートにはイラストがついているが、海上保安庁のホームページにも、浮いて待つときのポイントが掲載されている。

1.手足を大の字に広げる。
2.靴ははいたまま。軽い靴は浮き具代わりに。
3.大きく息を吸い、空気を肺にためる。あごを上げて上を見ると呼吸しやすい。
4.手は水面より下に。ペットボトルなど浮くものがあれば胸に抱える。

浮いて待っている子どもを見つけたときの対処法

――浮いて待っている子どもを見つけたとき、大人はどう対処すればいいのでしょう?

① まずは、118番、119番、110番のいずれかに連絡してください。
② そして、多くの人に子どもが溺れていることを知らせる。
③ また、救命浮環、ビーチボール、ペットボトルやクーラーボックスなどの浮くものやロープにつかまらせることも対処法として考えられます。


――子どもが溺れたときの対処法、「浮いて待つ」以外に何かありますか?

ライフジャケットを着用することです。
可能であれば、溺れた子供自身が溺れていることを周囲に知らせてください。


ただし、川では「浮いて待て」の状態を維持するのは困難

警察庁によると、2012年から2016年までの5年間で、中学生以下の子どもの海、河川、プールなどにおける死者・行方不明者数は244人に上り、発生場所別にみると、「河川」が125人と最も多くなっている。

「子供の事故防止に関する公表資料」より

死者・行方不明者数の多い、川でも「浮いて待て」は有効な対処法といえるのか?
川の事故に詳しい「河川財団」子どもの水辺サポートセンターの担当者に話を聞いた。


――「浮いて待て」は川でも有効な対処法なのでしょうか?

「浮いて待て」は、主に海や流れのないため池などの静水域で有効と考えています。
一般的に、川には流れがありますので、「浮いて待て」の状態を維持するのは難しいのです。

水難学会によると、真水1に対する人の比重は0.98。そのため、真水だと体の2%程度が水に浮くことになります。2%だと浮くのは頭のてっぺんのみ。仰向けになり、バランスをとって、2%を口と鼻に集中させるのは難しく、訓練が必要。

しかも、流れがあると、その体勢を維持すること自体が難しいのです。


「河川財団資料」より

――では、子どもが川で溺れたときの有効な対処法は?

ライフジャケットを着用すること。これ以上に効率的・効果的な対処法はありません。
ライフジャケットを着用すれば、真水でも10%程度、浮くことができます。
10%は頭部全体にあたり、頭が出れば、呼吸が確保できるので有効な対策といえるでしょう。

――目の前で子どもが川で溺れたとき、大人はどう対処すればいいのでしょう?

まず、そうならないように子どもにライフジャケットを着用させてください。川の事故は瞬間的に発生し、溺れて息ができなければ約1分で致命的な状況になります。浮いてさえいれば救助の時間がかせげます。

溺れた人を救助しようとした場合、主に陸上でできるのは以下1~3の3つ。 4~6は水の中に入る救助法になります。

①  声をかける(どう流されれば安全などのアドバイスをする)
②  棒や釣り竿などの長い道具を差し伸べる
③  ペットボトル、クーラーボックスなどを投げる
④  カヌーなどで近寄る
⑤  川に入り、泳いで近寄る
⑥  水の中を引っ張って戻る

ただ、数字が大きくなるにつれて、危険度も上がっていきます。
度々ニュースで報じられていますが、川の中に飛び込んで助けに行くのは、危険度レベル最上級の救助法です。自身の身を守るためには救助する側もライフジャケットを着用することが有効です。

川には流れがあり、環境や天候によってリスクが大きく変化します。事前の装備や知識を得ることによってそれらのリスクを回避することが重要です。

「河川財団資料」より

今回の取材で聞いた話を総合すると、「浮いて待て」は海や流れのない池などで有効な対処法のようだ。
そして、これからの海水浴シーズン、事故のリスクを減らすために、あらためて対策や知識を事前に確認しておくことも重要だ。