習主席“熱烈歓迎”の裏で……北マダム3人衆に“異変”

カテゴリ:ワールド

  • 記念撮影から消えた金与正氏……「最高指導者の妹」待遇に変化?
  • イヤホン着用の玄松月氏……楽団団長から儀典担当か
  • チマ・チョゴリ姿を初披露……李雪主夫人のニューファッション

“普通の関係”をアピール……国家元首として初訪朝

中国の習近平国家主席が20、21両日、同国最高指導者として14年ぶりに北朝鮮を訪問した。これまでの4回の首脳会談はいずれも中国で開催されていたことから、金正恩朝鮮労働党委員長は自らがホストとなって習氏を平壌に迎える日を熱望していた。

今回は中国で言う「国事訪問」、つまり国家元首として国賓待遇を受ける公式訪問となる。実は中国の国家元首としての北朝鮮訪問は初めてだ。

どういうことか?

これまで中朝は、朝鮮戦争を共に戦った「血の友誼」で結ばれた特別な関係を強調し、党と党の交流を優先してきた。そのため、双方の首脳は党のトップとして往来するのが慣例となっていたのだ。

今回初めて国家元首としての訪問に踏み切ったのは、北朝鮮との関係はもはや“特殊”ではなく“普通”の関係であるとアピールする思惑があったと言える。

それでも金委員長は習主席を大歓迎した。

自ら李雪主夫人と共に空港に出向いて、習近平、彭麗媛夫妻を直接迎えただけでなく、マスゲーム並みに市民を大量動員し熱烈歓迎を演出した。

北マダム3人衆に注目……金与正氏の地位に変化?

空港の歓迎行事には金委員長の妹、金与正氏も姿を見せた。幹部が居並ぶ中、与正氏は、一時粛清説が流れた金英哲氏に続く7番目に習主席と握手を交わした。

与正氏の次は金秀吉朝鮮人民軍総政治局長だった。この順番も注目される。

党副委員長の金英哲氏と政治局員である金秀吉氏の間に立ったとすれば、与正氏の地位がそれまでの政治局員候補から政治局員になった可能性があるからだ。

一方、21日に習夫妻が党政治局幹部と記念撮影をした際には、その姿はなかった。

もっとも今年4月に政治局幹部が交代した際の記念写真にも写っていなかった。そもそも「特殊な地位」なのだ。

その与正氏は、ハノイでの第2回米朝首脳会談に同行した後は50日以上も動静が伝えられず、「謹慎中」との報道も出ていた。しかし、6月3日に金委員長がマスゲームの開幕公演を観覧した際には与正氏も同行した。李雪主氏の隣に座っていたことから、むしろ地位が上がったのではないかとの指摘も出ていた。

また、韓国の金大中元大統領の李姫鎬夫人が亡くなると、板門店を訪問し弔意を伝えるなど、平昌オリンピック以来となる金委員長の名代を務めた。与正氏の地位にどのような変化があったのか、最高指導者の妹という立場だけに、その解明が急がれる。

楽団団長から儀典担当か……玄氏の役割に変化?

習氏の歓迎行事の際の映像には、あのマダムがこれまでと違う形で登場していた。

三池淵管弦楽団の団長で、金委員長の外遊にも同行してきた党中央委員の玄松月氏だ。
空港での歓迎行事の際、玄氏は黒のジャケットとスカートにパンプスという正装だった。
耳にはイヤホンをはめ、金委員長の動線を確認しながら動き回る姿が確認された。
両首脳がレッドカーペットを歩く背後で、また習氏が花束を受け取る際にも、遠目に付きそう玄氏の姿がカメラに捉えられていた。
歓迎式典の間に、金委員長の執事である金昌鮮・国務委員会部長に耳打ちする姿も見られた。

黒のスーツ姿の玄松月氏

それまでの重要行事の際、金委員長に影のように付き従い補佐してきたのは与正氏だった。今回は玄氏がその役割を担った形だ。

ただ、与正氏のように金委員長に接近するのは難しそうで、今後、本格的に儀典役を引き継ぐことになるのかも焦点だ。

チマ・チョゴリ姿を初披露…夫人のファッションに変化

空港では紺色のスーツで出迎えた李雪主氏

金委員長同様、李雪主氏にとってもホームグラウンドでのホステス役は初めてだ。
空港では紺色のスーツで習氏夫妻を迎えた。
この時はタイトスカートとパンプスという定番スタイルだった。

だが、続く晩餐会とマスゲーム鑑賞では意外な服装に着替えて登場し、目を引いた。
薄いブルーの上着に紺色のスカートのチマ・チョゴリ――。
李雪主氏が外交舞台で伝統衣装を着用したのは初めてだ。

彭麗媛氏が白地に青い花の刺繍が入ったチャイナドレス風のワンピースだったため、両夫人のファッションはマッチしていた。

中朝首脳会談の本当の狙い

平壌で開かれた中朝首脳会談では、両首脳が非核化に連携して取り組むことを強調した。中国側の報道では習氏が「北朝鮮が有する合理的な懸念を解決するためにできるだけの手助けをしたい」と表明。また「中朝関係の本質的な属性(役割)は共産党が指導する社会主義国家を守ること」と発言するなど北朝鮮側へのリップサービスが目立った。

一方、金委員長は「過去1年あまり、緊張を避けるため様々な措置を講じたが、我々が望むような関係国の積極的な反応は得られなかった」と、名指しは避けながらもアメリカへの不満を隠さなかった。その上で「忍耐を保ちながら、関係国が歩み寄り、成果を得られることを希望する」と米朝交渉の再開に期待を示した。

北朝鮮を対米交渉のカードに使いたい中国と、習氏にアメリカへのメッセージを託したい北朝鮮。双方の思惑が交錯した。

首脳会談で両首脳はどこまで具体的に対米共同作戦を練り上げたのか……。現時点では全体像はうかがい知れない。

主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)での米中首脳会談が朝鮮半島情勢を前進させる契機になるのか、目が離せない。

【執筆:フジテレビ 解説委員兼報道センター室長 鴨下ひろみ】

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