今や節分の風物詩として定着した恵方巻ですが、ことしはある重大な変化が起きている。
調査によると2026年の恵方巻の経済効果は約728億8138万円と、かつてない規模に拡大。
しかし同時に、物価高騰の影響と大量廃棄による約16億円もの食品ロスという、深刻な課題も浮き彫りになっている。
■「経済効果約728億円」大きな市場に成長した恵方巻
関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、2026年の恵方巻による経済効果は、およそ728億8138万円に上るという。
関西大学 宮本勝浩名誉教授:2026年の恵方巻の経済効果ってのは約728億8138万円という、過去に類がないような非常に大きな経済効果をもたらすであろうと。
今や国民的行事となった恵方巻だが、実はその歴史は意外と浅いものだ。実は約50年ほど前に大阪で広まったという恵方巻。
関西の地域文化に詳しい専門家によると、恵方巻は大阪を中心とした関西地方が発祥と言われている。
神戸国際大学 中村智彦教授:諸説あるから、ムチャクチャ難しいですけど、恵方巻自体は、『関西が発祥や』と、よく言われる。
節分のときに巻き寿司を食べるという習慣は、一部の色街とかそういうところで大正時代ぐらいからあったが、広く知られるほど大きなものではなかった。
1970年代ぐらいから、寿司店で『これをやればうれるんちゃうか』と思いついてやったところがポツポツ出てきた。

■バブル崩壊が契機に「全国区」へ
関西の地域文化から全国区へと広がった背景には、バブル経済崩壊後の時代背景があった。
神戸国際大学 中村智彦教授:バブルが崩壊した1992~1993年に、東京の寿司店が大阪の寿司組合と交流したときに、大阪の寿司店が『大阪では年1回、巻きずしが売れる、しかも切らんでええ』と。『それいいな。景気悪いから東京でもやったら、どうか』ということでやったと聞いた。
その後、コンビニエンスストアが商機を見出して参入したことで全国に急速に広まったという。
「日本人好きなんやと思う。行事にみんなで楽しんでやろうみたいなのが」と中村教授は日本独特の文化的背景を指摘する。

■物価高騰の波が直撃、価格上昇11.7%
ことしの恵方巻は、原材料の高騰により価格上昇が避けられない状況だ。
大丸梅田店の広報担当者は「お米の高騰もありまして、(価格が)5%から10%対前年比アップしています」と語る。
調査会社帝国データバンクによると、恵方巻の平均価格は去年と比べて11.7%も上昇しているということだ。
この状況を受けて、寿司店の現場では深刻な対応を迫られている。
「シャリ(米)上がってるし、海苔も値段上がってるんで、ほぼほぼすべてのもんが値段上がってますね、今は」と丸万寿司本店の城戸正宏さんは説明する。
米は去年より30%以上、さらに海苔も卵もエビも軒並み値上がりしていると言う。
それでも地元客を大切にしたいという思いから「値段上げず、そのまんまですね、据え置きで」と厳しい経営判断を強いられている実情がある。

■豊富な品揃えと価格帯でニーズに対応
大丸梅田店では、「節約志向の方から、ちょっとぜいたくしたいなという方まで選べるように、540円から1万1880円までご用意しております」と幅広い価格帯の商品を用意。
穴子入りの恵方巻から、から揚げが入った変わり種まで、約70種類もの品揃えで消費者のニーズに応えている。
大手スーパーでは、米も海苔も使わないタコス恵方巻まで登場するなど、物価高に対応した新しい試みも見られる。

■16億円の食品ロスという「闇」
経済効果の大きさとは対照的に、恵方巻には深刻な問題も存在する。
宮本名誉教授の試算によれば「2026年は私の計算では約16億4890万円の食品ロスが出る」と巨額の損失が生じるという。
なぜ廃棄が減らないのか。その背景には小売業者の切実な事情がある。
関西大学 宮本勝浩名誉教授:スーパーでお客さんが夕方買いに来た時に、『売り切れて無いですよ』と。品数が少ないという先入観を持たれると、次からなかなか来てくれなくなる。『廃棄を覚悟で、常にある程度一定の恵方巻を置いておかないといけないんです』と。
国は予約販売を増やすなどの対策を促しているが、小売店の現場では「売り切れ」を避けたいという商売上の判断が優先される実情がある。
(関西テレビ「newsランナー」2026年1月29日放送)

