緊張で迎えた世界選手権デビュー
ボストンに現地入りした佐藤。
練習を見ていた宇野さんは、少し佐藤の状態に不安があるような見方をしていた。

公式練習を終えた佐藤に宇野さんがインタビューする。
「会場に圧倒されましたが、滑ってからは氷の感触もつかめて、すごくいい練習ができたかな。試合自体を楽しんでいないなと思ったので、今大会は一番緊張する試合だとは思いますが、それ以上に初めての大会でもあるので存分に楽しんでいければ。それをテーマに掲げていこうかなと思っています」

「楽しみたい」とは言いながらも佐藤の緊張を察した宇野さんは、「緊張もあると思いますが、僕はシニアにあがってから、一回もノーミスせずに引退したので気負わずに頑張って」と笑いかけ、緊張をほぐしていた。
心の余裕が現れたコンビネーションジャンプ
迎えた男子ショート。
佐藤は、冒頭の4回転ルッツを完璧に決めてみせた。

続く2本目のコンビネーションジャンプでは、4回転トゥループで手をつくも、2回転トゥループをつけコンビネーションに。大きな減点になる可能性もあったが、確実につけた。
ショートは91.26点で5位、逆転の表彰台がみえる位置についた。

ショートを終えた佐藤にダブルトゥループをつけた判断を聞くと、「いい判断だったと思います。いつもだったら行っていましたが、冷静にダブルにしました。すごく緊張しましたが、冷静にルッツも決められたのでよかった」と緊張しながらも冷静さもあったと振り返った。

佐藤のコンビネーションジャンプの判断について、日下匡力コーチにも聞くと、彼の成長ぶりを感じていた。
「ダブルトゥループにしたのは大きいです。3回転トゥループにしていたら、転倒も考えられます。そこで自分をコントロールできたことは、本当に経験値です。活かされましたね」