「三つ子の魂百まで」ということわざがあるが、脳の発達も3歳までが大切だということが脳生理学の研究からわかってきた。

しかし子育ては理論通りにはいかず、同じ親が同じように育てても、兄弟姉妹で性格は異なり、興味の対象も違ったりする。

そうなると親としてまずできることは、人間として生きるための「体作り」ではないだろうか。3歳くらいまでの味覚が一生の好みを決めるとも言われている。

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生命の基本となる「食」が子どもの健康にどう影響するのか。また日本人の死亡原因1位のがんから身を守るために心掛けたい食事は何か。慶應義塾幼稚舎と横浜初等部で食育教育に励む、医師の菅沼安嬉子さんに話を聞いた。

腸内細菌は3歳までの食事が大事

生まれたばかりの赤ん坊の大腸に菌はいない。
しかし母乳や離乳食、兄弟の存在やペットの有無などによって腸内環境は大きく変わっていく。

腸内細菌は人体の細胞の37兆より多く、100兆近い1000種類の菌が共生して人間の体の働きに深く関与している。さまざまな植物が群生している様子に似ていることから「腸内フローラ」とも呼ばれている。

菅沼安嬉子医師
菅沼安嬉子医師

「『人間は腸に支配されている』と言う研究者がいるくらい、腸内細菌はあらゆる病気に関係しています。

通常の大人の腸には、善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割いるといわれています。日和見菌は善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢な方に加勢するので、常に善玉菌優位の状態を維持する必要があります。

そのためには毎食、肉、魚、卵、乳製品、大豆のどれかでたんぱく質を摂り、その3倍の野菜を食べるようにしましょう」