「胃や腸に症状があれば、胃腸科や消化器内科へ。夜間や休日、夜中であれば救急外来への受診もやむを得ないでしょう」

鈴木さんによれば、緊急で検査が実施可能な病院では、胃カメラで検査を行い、アニサキスが見つかればそのまま取り除く。ただし、胃や十二指腸よりも下部の腸壁にもぐり込んだ場合は緊急の胃カメラの検査では届かず、取り除けない。その場合、アニサキスが死んで抜け落ちるまで1週間程度待つ。その間は鎮痛剤や胃腸薬で症状を抑えるという。

内視鏡の先端に装着された鉗子でアニサキスの幼虫を摘出する(画像提供:国立感染症研究所)
内視鏡の先端に装着された鉗子でアニサキスの幼虫を摘出する(画像提供:国立感染症研究所)

しかしそれだと、アニサキスが抜け落ちるまでは相当痛そうだ。それに、命にかかわることはないのだろうか。 

「腸に穴が開いて緊急手術で生命をとりとめた事例は過去に報告されているのであなどれません。しかしアニサキス症の症状は激しい痛みを伴うこともある割には、ほとんどの場合は自然に治ってしまいます。それに私が知る限り、アニサキス症で命を落とした方はいません」  

そう聞くと少しほっとする。ただし、鈴木さんによれば、アニサキスによる健康被害には、食中毒であるアニサキス症以外にも「アニサキスアレルギー」というものがあるという。後半では、鈴木さんにアニサキスアレルギーについて詳しく聞いていく。 

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【鈴木 慎太郎】
昭和大学医学部医学教育学講座、医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門准教授。医学博士。日本アレルギー学会専門医・指導医。専門は食物アレルギー、アニサキスアレルギー、アナフィラキシー、動物・昆虫アレルギー、薬物アレルギー・過敏症、気管支喘息など。重症のアナフィラキシーを生じた患者や、アナフィラキシーを繰り返す患者、アニサキスアレルギーの患者の診療を行う。中学生~高校生・思春期の食物アレルギー、ぜん息の患者も受け入れている。

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