アニサキス症になった人は、その痛みについて「これまでに体験したことがないくらいみぞ落ちのあたりが押されているような激痛だった」などと表現している。 

胃に刺さる場合と腸に刺さる場合があり、それぞれ「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」と呼ぶ。 

食べた直後に発症することもあれば、数日後に発症することもあるとのこと。 

「特に腸のアニサキスの場合は半日や数日遅れて発症することもあります。やはり胃の場合と同様に激しい痛みがある場合がありますが、原因がわからないまま食あたりと診断され、自然に治ってしまうこともあります。時間が経つと寄生虫は死んで脱落するため、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)をしても多くは見つからないからです」 

ワサビや醤油では死なない 

痛みに七転八倒するアニサキス症は怖いが、それでも刺身はおいしくいただきたい。そんなニーズからか、ネットでは、「ワサビや醤油と一緒に食べるとアニサキスは死ぬ」「よく噛んで食べる」などと検索されている。このような説は事実なのだろうか? 

「ワサビと醤油では、死滅させる効果はほとんどありません。よく噛んで食べるという噂については、確かにピンポイントで寄生虫を噛めば死にますが、それは何百メートルも離れた的を射抜くくらいの確率だと思うので、ほぼ無理でしょう。徹底的に加熱するか業務用冷蔵庫で凍らせるのが安全です」 

なお厚労省は、70℃以上で加熱する(60℃台で1分間加熱でも可)か、-20℃で24時間以上冷凍することを推奨している。

「救急受診もやむなし」 

では、アニサキス症の疑いがある場合はどうすればいいのだろうか。鈴木さんは、次のように話す。