ロシア大統領選でプーチン大統領が87.28%の得票率で圧勝し、投票率は77.44%と史上最高を記録。しかし、約2200万票が不正に上乗せされたと指摘。選挙不正を示唆する映像も公開され、選挙の公平性を疑問視する声が上がっている。

約7600万のうち約2200万票が不正との分析結果も

ロシア中央選挙管理委員会は21日、大統領選の集計結果を確定し、投票率は77.44%、プーチン大統領の得票率は87.28%だったと発表した。いずれもソ連崩壊後のロシア大統領選で過去最高だ。

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プーチン氏の得票数は、約7600万票だった。民間の選挙監視団体は、プーチン氏に約2200万票が不正に上乗せされたとの分析結果を公表したが、ロシア中央選挙管理委員会は「非常にクリーンな選挙だった」と総括した。

プーチン大統領が9割近い票を獲得する圧勝で「クリーンな選挙だった」と強調しているが、様々な不正を指摘する映像も出てきている。今回の再選で、プーチン大統領がどう変わるのかを詳しく見ていく。

プーチン大統領は、選挙結果が確定したことを受けて、21日のビデオメッセージで「選挙結果はロシアがひとつの家族だと示している」と国民に感謝を示した。

また選挙管理委員会は立派な仕事をしたとも発言し、選挙は公正なものだったとプーチン氏はアピールしているが、反体制派への弾圧などもあり西側からは「不公平」「民主的ではない」と批判の声が上がっている。

ロシアの民間選挙監視団体は、プーチン大統領が獲得した約7627万票のうち約2200万票は不正に上乗せされた疑いがあると指摘しており、票数の操作は「史上最大規模」だと主張している。

そんな中、ロシアの独立系メディアは、不正の現場を撮影したとされる映像や音声を公開している。

ロシア大統領選の投票用紙には、4人の候補者の名前が並んでおり、プーチン大統領は2番目に名前がある。有権者は投票したい人の一番右側の四角にチェックを入れ、投票する形になっている。

ロシア北西部のレニングラードの開票作業中に撮影された映像を見ると、係の女性が投票用紙を1枚ずつ確認していき、手にしていた全ての投票用紙をプーチン大統領への票がまとめられた場所に置いた。

しかし、先ほど女性が仕分けしていた紙を見てみるとプーチン大統領ではない一番上の候補者にチェックが入った投票用紙が含まれていた。この映像からだけでも複数枚、確認できた。

開票場は厳重な監視下にある訳でもなく、かなりラフな感じで緊張感がない。こうした不正は常習的に行われていたのではないかと思われる。

さらに、選挙管理委員会の会話の音声も公開されている。

そこでは、無効票が多すぎる事が判明したため、それをプーチン大統領の票に追加することが話し合われていた。

「裏切者を忘れずに、その名前を特定しろ」

プーチン大統領は、自らを守るために、ますます攻撃的になるだろう。つい最近、こんな発言があった。

プーチン大統領は、今週行われた治安当局との会議で「裏切者を忘れずに、その名前を特定しろ」と指示を出した。そして「裏切者がどこにいようが、時間がどれだけかかろうが彼らを罰する」と話している。

この発言は反体制派への強烈な威嚇だ。
獄中死したナワリヌイ氏の夫人であるユリアさんは、ベルリンで投票する姿が確認されたが、今もYouTubeでプーチン批判を続けている。プーチン氏の発言は、海外にいる反プーチン派にも恐怖感を与える狙いだ。

最近1年ぶりにモスクワを訪れた人に話を聞くと、経済制裁の効果はなく、町にはものが十分揃っているという。つまり経済的な市民の不安はないため、反プーチンの声が強まるのは難しい状況かと思われる。

また1年前と比べて「戦争をやっている国」感が増しているという。以前あまりみられなかった兵士募集のポスターが空港や市街地などいたるところに張られている。 

兵員不足が考えられる一方で、より軍事国家としての側面を強めていくことも懸念されている
(「イット!」 3月22日放送より)

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