中国の大型連休「春節」がまもなく到来。

ことしは過去最多となるのべ95億人が大移動すると予測されるなか、例年上位だった旅行先の日本は「ランキング外」に転落する異変が起きています。

現地では「政府の呼びかけに応じて日本に行かない」「反中感情が強いと聞いて安全面を考慮した」との声が。

冷え込む日中関係が「春節」の旅行動向にどう影響し、日本にどのような影響をもたらすのか、現地を緊急取材で実態に迫ります。

■春節で移動する人 過去最多ののべ95憶人 しかし日本が旅行先トップ10の圏外に

3日、取材班が向かったのは中国・上海の人気テーマパーク。

【記者リポート】「上海ディズニーランドのランドマークお城の前ですが、赤い灯籠が飾られていて春節の雰囲気にあふれています」

上海のミッキーマウスは、まもなく訪れる「春節」のお祝いモードに!

また夜には…次々と花火が打ち上げられ…街中がお祝いムードに包まれる旧暦の正月、「春節」。

ことしは、2月15日から23日までの9連休となっていますが、中国政府の予測では、2日から3月13日までの春節に伴う40日間で移動する人の数は、なんと過去最多ののべ95憶人!

すでに2日から始まっている観光客や帰省客の大移動で駅はすでに多くの旅行客でフロアが埋め尽くされています。

しかし、今年の春節にはある異変が起きているのです。

【上海市民】「最近、日本では反中感情が強いと聞くので、安全面を考えると…(行かない)」

【上海市民】「政府の言うことを聞きます」「国の方針に従います」

実は、近年、「春節」期間の海外の旅行先として上位だった日本。日本でも「爆買い」「中国人観光客が殺到」など、春節のたびに報じてきました。

しかし、中国の旅行会社によると去年3位だった日本がことしは、トップ10から圏外になったというのです。

■「日本への渡航を控えるよう」多くの書き込み

実は、1月26日、中国外務省が「ここ最近、日本の社会治安は安定しておらず、当分の間は日本への渡航を控えるように」と日本で犯罪が多発しているなどとし、日本への渡航を控えるよう呼びかけを行いました。

政府の発表を受け、中国のSNSには「春節期間は日本に行くな」と、日本への渡航を控えるよう多くの書き込みが。

政府の呼びかけに街の人は。

【上海市民】「やはり彼ら(中国外務省)の考えに従います。関係が改善されてから行ってもいい」

【上海市民】「いいと思います。なぜわざわざ外国の経済を発展させるの?お金は中国で使えばいいんです」

■冷え込む日中関係 日本への影響は

中国情勢に詳しいジャーナリストの近藤さんに日本への渡航自粛の背景を聞くと…。

【講談社特別編集委員 近藤大介さん】「高市総理が台湾有事と存立危機事態のことを国会で答弁して以降、中国が非常に敵対視している。中国外務省が公式に『日本に行くな』と強い姿勢を表しているんだろうと思います。

非常に忖度の働く社会主義国ですので、政府の勧告を押し切って行くというのは、現実問題としてなかなか厳しいと思う」

やはり去年、高市総理が国会で集団的自衛権の行使を認める「存立危機事態」をめぐる発言をしたことが大きく影響しているとみられます。

冷え込む日中関係…さらに日本にとってあまりよくない影響があるといいます。

【講談社特別編集委員 近藤大介さん】「今、国際環境が割と中国に味方をしているということがある。こういうことが中国に自信をつけさせている。日本だけを孤立させても、そのバックにアメリカとかG7がつかないことを見切って、日本だけに敵対視をやっているというところだと思います」

たしかに年末年始にかけてカナダやフランス、イギリスの首脳たちが次々と訪中し、習近平国家主席と会談。中国に歩み寄る姿勢を見せています。

■人気の旅行先は韓国・ソウル

今回、人気の旅行先1位となったのは韓国・ソウル。現地を取材すると…。

【記者リポート】「韓国で人気の観光スポット“景福宮”ですが、こちらでも最近、中国人観光客が増えているんです」

多くの中国人観光客の姿がみられました。さらに、こちらの飲食店の店主は…。

【飲食店 店主】「中国の方はたくさん来ています。道路沿いに観光バスがずらっと並んでいるのですが、その人たちは皆ツアーできた中国人です」

やはり、日中関係の影響があるのか?中国人観光客は…。

【中国人観光客】「(日中関係の影響は)当然あると思う。私は気にしないけど、家族や年配の人は『日本に行くな』という」

【中国人観光客】「日本で遊びたいとも思ったけど、日本はいま封鎖が厳しい。ツアーや航空券がないので、本当は日本も韓国も選びたかったけど、日本をあきらめて、韓国に来ました」

■「ピンチをチャンスに」例年中国人観光客でにぎわう大阪は…

すでに中国からの渡航自粛の影響が出ている日本。

2日、大阪の街を取材してみると、大阪の観光名所・通天閣では、中国人観光客が減少しているということです。一体、どれほどの影響がでているのでしょうか。

【通天閣観光 高井隆光社長】「全観光の中での中国人の割合が約10%あり、そこが非常に落ち込んでいる」

通常、春節の時期は、多くの中国人観光客でにぎわうものの、ことしは“例年通り”にはいかないのではと危惧しています。

【通天閣観光 高井隆光社長】「ビリケンさんに祈願をっていう絵馬なのですが、例年に比べると日本語であったり、ほかの言語が多い印象を受ける。例年この時期ですと、本当に中国語で(いっぱい)」

しかし、このピンチを高井社長は…。

【通天閣観光 高井隆光社長】「中国に依存しているマーケットの危惧は感じていたので、今回、ピンチをチャンスに変えるように中国以外の方に来ていただく。“チャイナショック”でも、リカバリーしていきたい」

■この状態は「1年はやめない」と専門家

一体、この状態はいつまで続くのか。近藤さんはこう推測します。

【講談社特別編集委員 近藤大介さん】「(去年の)11月の時点で日本に対する“敵対視政策”をはっきりとさせているので、その時点で約1年は少なくとも、日本に対する敵対国行為をやめないだろうと予想はつきました」

揺れる日中関係、その影響はまだ続きそうです。

■「MからSへ」安田教授の提言

去年の訪日客数のランキングでは1位は韓国、2位が中国で、どちらもおよそ900万人以上が日本を訪れています。

しかし、消費額については、1位が中国でおよそ2兆円となっています。これは日本のインバウンドの消費額全体のおよそ2割以上占めている額です。

政策研究大学院大学の安田洋祐教授は解決策として「MからSへ」と提案しました。

【安田洋祐教授】「高市政権が続く限り日中関係は残念ながら冷え込んでしまう。そうなると、中国からのインバウンドが落ち込んだまま。日本としてどうするべきかなんですが、『MからSへ』。これ2つの意味をかけています。

1つは物(M)からサービス(S)です。中国に限らず、インバウンドの方の主な消費先は、“爆買い”ではなくて、体験・サービスに移っています。その中でも、中国からの観光客の方は、まだ物を買ってくれていた。そこが一気に減るので、これはサービス化を一気に進める好機としてもいいんじゃないか」

■マス(M)からセグメント(S)へ

【安田洋祐教授】「もう1つは、マス(M)からセグメント(S)です。どういうことかというと、多くの日本の観光地、お店はどんなお客さま(マス)に対しても、質の高いサービスを心がける。それはそれですばらしいことなんですが、セグメント、特定の例えば所得層だとか、宗教であったり、趣味というピンポイントなターゲットにする。

人数は少ないかもしれないけど、高いお金を落としてくれるサービスに特化していくと。そういった観光のあり方へとシフトしていくことで、インバウンドをより成長産業にしていけるんじゃないか」

さらにもう1つの意味も紹介してくれました。

【安田洋祐教授】「守り(M)から攻め(S)へ。先ほどのセグメントへのターゲティングと近いんですけれども、今まで受け身でいいサービス、いい商品だったらみんな来てくれるという状況から、積極的に『このターゲットにたくさんお金を落としてもらうんだ!』という形に政策を展開していくということです」

(関西テレビ「newsランナー」2026年2月3日放送)

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