25年前、たった1人でミャンマーに渡り、貧しい家庭の子どもたちの医療支援を始めた認定NPO法人ジャパンハートで最高顧問を務める小児外科医の𠮷岡秀人さん。

2004年に「ジャパンハート」を設立し、6カ国でのべ24万件の治療を無償で行ってきた。

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「先の戦争の日本人慰霊団の人たちに『ミャンマーで医療をやって欲しい』と頼まれて。僕にとって大切なのは、どこの国の人を救うとかそういうことではなく、そういう人のために働くこと。そこが僕の人生にとって大切な部分だった」

拠点病院には高額な医療費が払えなかったり、治療を断られた人たちが訪れる。中には、腫瘍を限界まで放置してしまう患者も珍しくない。それでも決して見捨てない。

全身やけどを負った女性は、「先生が『治療できるよ』って言ってくれて勇気をもらった」と話す。

こうした活動を支えるのは、ボランティアの医師や看護師たち。物資やライフラインが不安定な中、知恵を絞り、仕事の幅を広げて乗り切る力が必要だという。

ボランティアの看護師は、「日本だと自分たちもやらないことをやらないといけない」「人間性も成長できる」と話した。

患者の人生を救い、最後の砦を守る。こうした思いで活動している𠮷岡さんは、「貧困層の人たちが無料でかかれる巨大な病院を作りたい。現代の時間からこぼれ落ちた人たちを拾っていくのが自分たちの作業だと思っています」と期待を込めた。

知識だけでなく知恵も必要

こうして発展途上国の貧しい人たちに無償で医療を届けてきた𠮷岡さんは、2018年から人手不足に悩む国内の離島や僻地の病院に看護師を派遣するプロジェクト「RIKAjob(リカジョブ)」を始めた。

その理由について「僕らにとって支援する先は、僻地の僻地なんです。ボランティアというよりは、研修なんです。その地域の文化を学ぶ、考え方を学ぶ。まず自分が地域を理解しなければ最善の医療なんてできっこない」と話す。

助産師の大竹さん
助産師の大竹さん

鹿児島県・奄美大島の中核病院「名瀬徳洲会病院」では、足りない看護師を派遣会社に頼っているため、そのコストが病院の経営を圧迫していた。

そこで「RIKAjob」を導入し、今は11人の看護師が派遣されている。「RIKAjob」から派遣された看護師たちは出身地もキャリアもさまざまだが、現地の看護師と同じ給与体系で働き、志も高い。

助産師の大竹さんは、関東の大学病院などを経て半年前に島に来た。患者の生活や家族関係にまで踏み込んだ“島ナース”のケアに多くを学んだという。

大竹さんは「人と人がすごく近い感じがあって、患者のバックグラウンドを見ながらケアすることの大切さを感じるようになった」と話した。

「もっと成長したい」という思いが支援につながっていく。

𠮷岡さんは「田舎に行くと知識だけじゃダメで、知恵も働かさないといけなくなる。人生にとって大切なのは知恵の部分だから、一生使えるものを受け取ってほしいと思っている」と話した。

ジャパンハート
https://www.japanheart.org/

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