俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」。今回訪れたのは、神戸市長田区です。

■「ソースは4、5個ある」という地元住民

大東駿介さんは「長田エリア全く未知の世界かもしれない」と語ります。神戸の中でもどこか懐かしい下町情緒が残る昭和レトロな町・長田区。神戸の中心街・三宮の西側に位置し、海と山に囲まれた町です。

【大東駿介さん】「長田ってソースで有名って聞いたんですけど、ご自宅にソースありますか?」

この質問に長田の住民は当然のように答えます。

【地元の方】「焼きそばソース、とんかつソース、あとウスターソース、お好み焼きソースとか、たこ焼きソース」

地元の子どもたちにたずねると「4、5個ある」と即答。長田の人々にとって、用途別にソースを使い分けることは日常なのです。

■「ソースの専門店」は驚きの品揃え

さらに取材を進めると、地元の方から「ユリヤさんに行ってみたらいい」とアドバイスを受けます。

たどり着いた「ユリヤ」は全国的にも珍しいソースの専門店。神戸を中心に関西各地のソースが約200種類も並んでいました。

【ユリヤ店主・中島さん】「神戸はソースの発祥とされてまして」

【大東駿介さん】「え、もうソース自体が神戸が発祥?」

実は明治時代に日本で最初にソースを作ったのが今も神戸にある「阪神ソース」だと言われています。神戸は港町として栄え、他の国から上質なスパイスが集まっていたため、ソース作りも神戸で始まったのです。

■日本初のウスターソースの秘密

【ユリヤ店主・中島さん】「安井敬七郎さんというご医者さんが、ギリシャのウスターシャー州で勉強されて戻って来られて作り出した」

【大東駿介さん】「ウスター州のウスターソース。そこから来てるんですか?」

現在も当時と同じレシピで作られたソースがあると知った大東さんは、実際に味わってみます。

【大東駿介さん】「めっちゃスパイシー。でもさっぱりしてます。さらっと流れるような香りが立ちますね。ちょっと薬膳のような香りですね」

■「どろソース」で味の革命

長田で愛される「神戸長田ソース」には独特の製法があります。ソース作りの過程でスパイスを大量に入れると沈殿が起こります。

【ユリヤ店主・中島さん】「ソースを作る時にどんどんスパイスを入れて溶けきれないぐらい入れます。それが沈殿していく。それのソースのことをいわゆる“どろソース”って言うんですけども」

【大東駿介さん】「スパイスをいっぱい入れて沈殿したもの?(鍋の)底に溜まってるものは要はスパイスが密集してる場所?」

【ユリヤ店主・中島さん】「そうです。それと野菜とか最初にかきこんだ旨味もあって辛味もあって」

【大東駿介さん】「ソースの旨味が凝縮してる」

大東さんが実際に「どろソース」を試すと、その深い味わいに驚きます。

【大東駿介さん】「ソースとと言われればソースやし。漢方と言われれば漢方やし。何十構造になってんのやろ。旨みが順々に来ますね」

■長田発祥「そばめし」誕生秘話

長田はソースを使ったご当地グルメ「そばめし」発祥の地でもあります。大東さんは長田の商店街を歩き「そばめし発祥の店」を探します。

【地元の方】「あそこが一番美味いから」

たどり着いたのは「お好み焼き青森」。この店の初代店主である章子さんが「そばめし」を考案しました。青森は1957年に長田で創業し、現在は孫にあたる3代目の功樹さんが店の味を守り続けています。

「そばめし」は文字通り、焼きそばとご飯を一緒に炒め、さらに甘辛く炊いた牛すじとこんにゃくの「ぼっかけ」、キャベツを加えて地元のソース2種類をブレンドした特製ソースで仕上げる料理です。

■震災からの復興、そして未来へ

「そばめし」誕生のきっかけは、地元の靴職人たちの要望でした。長田はケミカルシューズの製造が盛んで、出来高制で給料を得ていた職人たちは休憩時間も惜しんで働いていました。

【店主・青森さん】「働いてる人が、まだ電子レンジのない時代に自分の弁当のご飯を鉄板の上で温めながら焼きそばをここで頼んでおかずにしてお蕎麦とご飯で食べよったんですけど、早く戻って早く仕事がしたいので一生懸命に混ぜてくれって言われておばあちゃんが作ったらしいです」

1995年の阪神・淡路大震災で長田は壊滅的な被害を受けましたが、「お好み焼き青森」は震災後わずか3週間ほどで営業を再開。

【店主・青森さん】「3月の初めから、プロパンガス買ってきて、『ちょっとでもあったかいもん食べてもらおう』と言いながらお昼だけ開けてました」

店主によると、お客さん同士が「お前も生きとったんか」という会話が交わされることもあったそうです。

小学4年生の店主の娘さんの将来の夢は「お好み焼き屋」だといい、夏休みには手伝いに来ているそうです。

長田のソース文化と「そばめし」の伝統は確実に次世代へと受け継がれています。

■ソースの奥深さを実感した大東さん

【大東駿介さん】「大阪、言うても粉もんの街、ソース文化のある街に育っていたにもかかわらずソースがこんなに奥深いもんだっていうことは知らなかったですね」

神戸・長田のソース文化は、震災という困難を乗り越え、今も地元の人々に支えられて発展を続けています。まだ知られていない「ソース革命」の地を訪れてみてはいかがでしょうか。

(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」2026年1月22日放送)

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