公開手配からわずか5日、国内最大のスカウトグループのトップが逮捕された事件。
年間44億円を超える巨額の金を稼ぎだし、暴力団との関与も疑われるスカウトグループの実態とは。
女性たちを“甘い言葉”で誘う風俗スカウトの手口と、夜の街に潜む「風俗スカウト」の実態に迫りました。
■ついに“ナチュラル”会長逮捕「風俗斡旋」で荒稼ぎ
国内最大のスカウトグループ「ナチュラル」の会長・小畑寛昭容疑者(40)は3年前、繁華街でスカウト行為をするために、暴力団組員に60万円の「みかじめ料」を払った疑いが持たれていて、警察の調べに対し、容疑を否認しています。
小畑容疑者は約1年間行方をくらましていましたが、警察が公開手配をした5日後、潜伏先の鹿児島県・奄美大島で逮捕されました。
「ナチュラル」が稼いだとされる金額は、1年間で約44億5000万。その巨額のカネを生み出した手段が「風俗店への斡旋」です。
警察によると、約1500人のメンバーを擁する「ナチュラル」は、女性を風俗店に紹介して、「スカウトバック」と呼ばれる紹介料を受け取っていました。
■“風俗スカウト”は繁華街でも
そもそも風俗のスカウトとはどんなものなのか。取材をすると、大阪・ミナミでも風俗店へのスカウトが相次いでいることが分かりました。
【スカウトされたことがある人】「普通にナンパみたいなノリで、『お姉さんお姉さん』って来る。『稼げてる?』とか聞かれたり」
(Q.どんな仕事か言われる?)
【スカウトされたことがある人】「あんまりはっきり言わないですけど、ふわっと『夜の仕事』と言われることもあります」
【スカウトされたことがある人】「『仕事探してる?』とか、『お金困ってない?』とか、そんな感じで。仕事内容とかは、直接店とのやり取り。店まで連れていってくれる。LINE交換して『じゃあ後日』と別れることが多い」
全く知らない人からSNSで、メッセージが届くこともあるといいます。
【スカウトされたことがある人】「(SNSの)DMとかから来るときもあります。『どんな仕事でも紹介できるんですけど、興味ありますか?』、『風俗とかキャバクラとかなんでも紹介できるよ』って」
■“路上でのスカウト”をきっかけに風俗店で働いた女性は「出会わなければよかった」
スカウトの誘いの先には何があるのでしょうか。
取材班は“路上でのスカウト”をきっかけに風俗店で働いた女性に話を聞きました。
【はるなさん(仮名・22)】「居酒屋だけの給料じゃホストに行けないから、手っ取り早く稼げるなと思って」
はるなさんは2年前、新宿・歌舞伎町を1人で歩いていたところ、男性からスカウトを受け、風俗店で働くことになりました。
【はるなさん(仮名・22)】「デリヘルだったらオプションありなしとか。対面でその場で決めて。(後日)LINEで『この日(店に)行きましょう』みたいな」
紹介された日以降、男性とのやりとりはLINEのみで店に来ることもありませんでした。しかし、実際に働き始めると説明された内容とはまったく異なる現実が待っていました。
【はるなさん(仮名・22)】「『1週間で保証が7万円ある』と言ったけど、実際、支払われたのは3万円」
さらに「できるオプション、できないオプションを伝えたのに、全部できると伝わってて」と話します。
スカウトにLINEで連絡を取り続けたところ、「うざがられたのか、(LINE)ブロックされてた。路上スカウトは出会わなければよかったな」と後悔していることを明かしました。
■なぜ風俗店はスカウトを使うのか 風俗店とスカウトの“切り離せない関係”
一方で、風俗店とスカウトには“切り離せない関係”があるといいます。
関西で風俗店を経営していた男性によると、大手の風俗求人誌では、掲載料が100万円ほど必要ですが、掲載しても女性の応募がない時もあるといいます。
【風俗店の元経営者】「サイト媒体を使って求人募集をかけるが、不安定でコストも高いですし、スカウトの場合は、働きたい女の子の情報が来て、働いてからの支払いなので」
(Q:スカウトは女性紹介後に金を払うので、掲載料が無駄になるリスクが減る?)
【風俗店の元経営者】「そうですね」
お金を払えば“確実に女性を集めることができる”というスカウトシステム。
男性の店では、売上の10~15%の金額をスカウトバックとして払っていたといいます。
■スカウトバックが違法になったが…関係経つと「嫌がらせ」
しかし、風営法が改正されてスカウトバックが違法になり、スカウトとの関係を絶つと、「嫌がらせ」が始まったといいます。
【風俗店の元経営者】「1日3~4回『金払え』の電話が時間を問わずにありますし、宅急便で頼んだことがない商品が代引き送ってきたりとか、SNSや書き込みサイトなどで『店に行くと性病になるぞ』など拡散されたり」
店舗側にとって今やスカウトと付き合うことは“リスク”となっていますが、関係を続ける店もあると話します。
【風俗店の元経営者】「法改正で受け入れる店がなくなっていくだろうと認識していたが、半年たっても、店舗を構えていない店では、(スカウトによる)派遣が続いているとよく聞く。大阪の繁華街でも、まだスカウト活動しているみたいなので」
■“風俗スカウト”経験者「なくならないと思います」
さらに取材をすすめると、違法な風俗店への斡旋の疑いで逮捕された男性から話を聞くことができました。
(Q:今後“風俗スカウト”はなくなると思いますか?)
【風俗スカウトをしていた男性】「いやぁ、なくならないと思います。誰でもできる仕事なんで」
(Q:スカウトは稼げるのですか?)
【風俗スカウトをしていた男性】「いや、必ずしも稼げるとは限らないです。学のない人間でもできる仕事なんで、なくならないと思います」
甘い誘惑の裏にある闇は、いつまで続くのでしょうか。
■「法改正で一定の効果はあるも、水面下の規制は難しい」元大阪地検検事の亀井弁護士
立命館大学産業社会学部の武岡准教授は、「風俗スカウトの取り締まりが強化されても、今後も“イタチごっこ”が続く可能性がある」と指摘します。また、「スカウトされた女性が無許可・無届けの風俗店に派遣されるリスク」についても懸念を示しました。
元大阪地検検事の亀井正貴弁護士は「もともと風俗店がスカウトを要求する需要は昔からあった。この需要はなくならないと思います」と述べます。
【亀井正貴弁護士】「これを規制するために有害な風俗の斡旋についての職安法違反とか、売春防止法違反でスカウトする側は摘発できたのですが、これも“イタチごっこ”になるんですね」
法改正によって「スカウトバックを払った店側を処罰することで、根元の資金を絶つので一定の効果はある」としながらも、「完全に水面下に潜ったところは規制しようがない。非常に難しい」と課題を指摘しています。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年1月30日放送)