衆院選で争点の1つとなっているのが外国人をめぐる政策です。
人手不足が深刻な分野では貴重な労働力ともなる中、福岡の飲食店で働くネパール人はどのように受け止めているのでしょうか。
福岡市博多区の人気ラーメン店「元祖ラーメン長浜家」です。
この店の従業員はアルバイトを含め16人で、そのうち半数が日本語学校などに通う外国人です。
◆元祖ラーメン長浜家 手島敬詞 社長
「8人中7人がネパール人で、1人がベトナム人なんですよ。野心はありますよね。自分の国離れてわざわざ来ている人たちなので」
国内の在留外国人の数は、新型コロナの期間を除くと増加の一途をたどっていて、去年は395万6000人あまりとなっています。
日本で暮らす外国人は貴重な労働力にもなっていて、特に人手不足が深刻な介護や農業の分野などでは外国人に頼らざるを得ない実情もあります。
この状況は飲食業界でも同様で…。
◆元祖ラーメン長浜家 手島敬詞 社長
「(アルバイトの募集で)日本人も来るが1週間に1回とか。外国人は1日ですごい数が(電話を)かけてくる」
Q.外国人の存在は大きい?
「(日本人が)来なかったところに来てくれるわけで、助かる人たちではいる」
手際良く作業をこなすネパール人のゴレ・プラディップさん。
この店で唯一の外国人の正社員です。
◆ゴレ・プラディップさん
「(日本は)自分の国より発展しているので、1回行ってみたいなと思った。留学生として日本に来るのがビザ取りやすい」
ゴレさんは母国のネパールと同じく仏教の寺院が多い日本に親しみを感じ、今から13年前に26歳で来日。
当時、福岡市内にある日本語学校などに通いながら、この店で4年間アルバイトとして働いていました。
◆ゴレ・プラディップさん
「紅しょうがとか全然知らんかったし、『これお肉かな?』と最初は思ったんですよ。それでちょっと入れて食べたら『え、これ違う』と思ったんですよ」
日本語学校を卒業後に県内の大学に進み、就労ビザを取得して朝倉市のビジネスホテルに就職。
主にフロントで外国人観光客の対応を担いました。
ゴレさんは当初数年で帰国するつもりでしたが、結婚して長女が誕生したことでこのまま日本で暮らしたいと考えるようになり、永住権を取得しました。
そしてそのことを知ったラーメン店の社長から声がかかり、去年、かつてのアルバイト先に正社員として戻ったのです。
◆ゴレ・プラディップさん
「親からも『自分の人生だから自分で決めなさい』と言われた。『(社長から)また戻ってこい』と言われた時はうれしかった」
去年7月の参院選でにわかに争点となった「外国人政策」。
オーバーツーリズムの問題のほか、外国人労働者の受け入れや不動産投資への規制を強化すべきとの意見が噴出しました。
そうした中、福岡県朝倉市では主に中国人を対象としたいわゆる「外国人向けマンション」の建設計画が浮上し、住民たちが反発。
市には、1200件を超える苦情の電話やメールなどが相次ぎました。
◆朝倉市 人事秘書課 古賀博 課長
「多いのは、移民政策反対。『中国人が2万人来るがいいのか』と」
その後、市はマンション計画について白紙撤回される見通しになったことを明らかにしています。
◆ゴレ・プラディップさん
「去年7月の参院選のちょっと前ぐらいから。外国人ヘイトみたいなネット情報がけっこう上がってきている。『外国人出て行け』などのデモを見ると心配になる」
ゴレさんは外国人排除の動きが強まっているとした一方で、入国審査の厳格化も訴えます。
◆ゴレ・プラディップさん
「(外国人も)日本だからもちろん日本のルールは守らないといけない。外国人もけっこう増えてきていると思うが、1回は“選択”をしないといけない。悪い人はできれば入れないように」
政府は23日に新たな外国人政策の基本方針を決定。
永住権の審査や日本国籍取得の要件に加え、土地の取得ルールも厳しくするほか、強制退去となる犯罪の対象を拡大するなど「秩序ある共生社会」を目指すとしています。
「自国ファースト」の波が世界で広がりを見せる中、日本でも進む外国人への規制強化についてゴレさんは…。
◆ゴレ・プラディップさん
「いきなり何でも厳しくなっていくとちょっと『ん?』とはなる。外国人の中にも真面目に働いている人はたくさんいるから。一般の日本人の方にもちょっと分かってほしいなと思う」
与野党の公約は
外国人政策をめぐる各党の公約です。
○外国人政策 各党の公約
【自民】住宅や土地取得の法律・ルールの見直し
【維新】外国人比率の上限設定の検討、土地取得の規制強化
【中道】日本人と外国人が互いを尊重し多文化共生社会を目指す
【国民】不動産の投資規制、入国時の課税
【共産】極右・排外主義の政治に反対
【れいわ】低賃金目的の移民政策に反対、外国人労働者の待遇改善
【参政】移民の総量・運用の厳格化、不動産取得の規制強化
【減ゆ連】現時点で言及なし
【保守】移民政策の抜本的見直し、特定技能2号の家族帯同を大幅制限
【社民】包括的な差別禁止法の制定、政府から独立した人権救済策
【みらい】非居住外国人の固定資産税引き上げ、外国人旅行客の免税見直し
大きく分けると、外国人を巡るルールや法律を厳しくしたり規制したりすると訴えているのが、自民・維新・国民、・参政・保守・みらいで、不動産取得のルール見直しや入国時の課税などのオーバーツーリズム対策が目立ちます。
一方、外国人の権利を保護すると主張しているのが中道・共産・れいわ・社民で、共生社会の実現や排外主義への反対、外国人の待遇改善などを掲げています。