寒さが一層深まってきたこの季節。身体の芯まで温めてくれる一杯を求めて、今月の情報誌Taktの特集から富山県内の「しみる麺」を提供する名店を訪ねた。富山市と射水市、2つの店舗で味わえる絶品の麺料理を紹介する。
「焼かない焼うどん」で温まる富山市の隠れ家

やってきたのは富山市大島。市街地から車で15分程の郊外だ。体が芯から冷えるような厳しい寒さだったこの日、身体も心も温めに店へと向かう。
訪れたのは「なか道」。入口に大きな字で書かれている「焼うどん」が名物の店だ。


店内に漂う出汁の香り。このお店を切り盛りするのは、岩本奈美子さん。全国のうどん店を食べ歩き、自分なりの味を追求した自慢の一杯を提供している。
さて、名物の焼きうどんとは何か。

「こちらが、焼かない『焼うどん』です」と岩本さんが運んできたのは、驚くほど大きなうどん。

「焼うどんなのに焼かない?」と疑問に思ったが、岩本さんは「讃岐の方は、いわゆる『焼うどん』のことを『うどん焼き』と言って、このタイプのうどんを『焼うどん』って言う」と説明する。四国の焼うどんを富山で再現しているのだ。
その大きさは直径およそ30センチと大きい。

口に運ぶと、身体に染み渡る温かさと、同時に噛み応えのあるうどんの食感が楽しめる。

岩本さんによると、焼きうどんの場合、茹で時間を通常の半分にし、食べ進める間にシコシコからモチモチに食感が変わるよう工夫しているという。さらに素材にもこだわりがある。
「麺には小麦粉だけを使う、自然なうどんを作りたくて。小麦粉100%で作っています」

量が多くても飽きないよう、調味料としてすりごまや自家製のニンニク唐辛子味噌などを無料で提供するサービスも。最後には残った餡にご飯を入れて食べる「強者」もいるそうだ。

「私にとってもこの焼うどんは忘れられない味。その味を地元富山のみなさんに知ってもらいたい、食べてもらいたい。そういう思いでお店を始めたので忘れられない味と言ってもらうのはとても嬉しい」と岩本さんは語る。
日本一の実力が光る酸辣湯麺

続いて訪れたのは、射水市役所の目の前にある「中国四川料理熊猫PANDA(パンダ)」。大人から子どもまで、地元の人に愛される店である。昨年は中華料理のコンテストで日本一にも輝いた実力派だ。

そんな実績を持つ店主の東賢治さんが腕を振るう、熊猫(パンダ)でいただけるしみる一杯とは?
「酸辣湯麺です」

出てきたのは、ピリ辛の香りが漂う鮮やかな一杯。

最初に程よい酸味があり、その後にピリ辛を感じる本格的な味だ。
東さんは「特に気を付けているのは、味のバランス。ひとつ崩れると全く別物になってしまう。このバランスが他店とは格段に違う」と語る。さらに、油にネギの香りをしっかりつけるなど、細かな味付けにも気を配っている。

地元客を意識した工夫もあるという。
「地元のお客さんに合わせた味を意識。射水の地元の方に合わせた味付け」
甘さも加えているか問うと、「まろみなども加えている」と東さんは答えてくれた。
こうした工夫が実を結び、熊猫(パンダ)のしみる一杯はリピーターを増やしている。

「オープンの時は、コロナ真っ最中。とても苦労した部分もあった。常連客に支えられて、ここまでやってきた。全国中華組合の料理コンクールで厚生労働賞取れましたのでそれをきっかけに新規のお客さんも満足して帰ってもらえるように日々頑張っている」と東さんは語る。
寒い冬に訪れたい2つの名店
今回は、「冬に食べたいしみる麺」の特集で2店舗を紹介した。
最初に訪れた富山市の「なか道」では、名物の焼うどんに加え、もう一つの人気メニューである鍋焼きうどんも見逃せない。グツグツに煮えたぎった麺とスープは、最後まで身体にしみる熱々の一杯だ。
また「熊猫PANDA」では、ランチタイムに一品料理と麺の中華料理がそれぞれ週替わりで登場している。取材時はレバチリとゴマ味噌担々麺を提供中だった。ランチとディナーそれぞれの本格中華を楽しめる店だ。
寒い冬、身体の芯から温まる「しみる麺」を味わいに出かけてみてはいかがだろうか。
