今から約70年前、ハンセン病患者とされた男性が殺人などの罪に問われ、死刑となった『菊池事件』について、熊本地裁が裁判のやり直し、『再審』を認めるかどうか、28日に判断します。

再審請求のポイントを整理するとともに、菊池事件の背景にあるハンセン病に対する差別と偏見の問題にも迫ります。

『菊池事件』をめぐり、28日に熊本地裁が再審、裁判のやり直しを認めるかどうか注目の判断を下します。

『菊池事件』は、ハンセン病患者とされた男性が自身を「ハンセン病患者」と熊本県に通報した村役場の職員を逆恨みして殺害したなどとして、1953年に死刑判決を受け、無実を訴え続けるも死刑が執行された事件です。

男性は公開の法廷ではなく、菊池恵楓園や隔離先の旧菊池医療刑務支所に設置された『特別法廷』で裁かれました。

熊本地裁は2020年、この特別法廷での審理を『憲法違反』と断罪。これを受け、元患者や弁護団らによる再審請求に向けた動きが・・・。

検察官や有罪判決を受けた本人、その遺族などに限られる再審請求の壁に対し、弁護団らは憲法16条の請願権に基づく主権者である国民としての請求、『国民的再審請求』に踏み切りました。

【菊池事件再審弁護団 徳田 靖之 共同代表】
「憲法違反の審理で死刑判決にしたことをこのまま放置していいのか。その声を裁判所に届けたい。死刑となった男性の無念をしっかりと胸に刻み込み、歴史的な再審開始を求める戦いを皆さんとともに戦い抜きたい」

今なお残るハンセン病への差別や偏見に恐れていた遺族も弁護団らの熱意に後押しされるように、2021年、熊本地裁に『再審』を請求しました。

再審とは、裁判をやり直すこと。それが認められるためには「無罪である『明らかな証拠』を『新たに発見』する」必要があります。

弁護団は裁判所、検察との3者協議で、再審を開始すべき理由として、「当時の刑事裁判手続きの憲法違反が再審の理由になる」とする『憲法的再審事由』や新たな証拠として、凶器と親族の供述から男性の無罪を示す『実体的再審事由』を主張しました。

(尾谷キャスター)
取材を担当している前田記者です。『開かずの扉』ともいわれるほどハードルが高いとされる再審、どのような場合に認められるのでしょうか?

(前田 美沙希 記者)
刑事訴訟法では「有罪判決を受けた人が無罪である新たな証拠が見つかった場合」などと定められています。

それでは、この菊池事件において、弁護団は具体的にどのような理由から「再審を開始すべき」と主張しているのでしょうか。

(前田 美沙希 記者)
弁護団が挙げている再審を開始すべき理由は、大きく分けて2つです。

まず一つ目が憲法的再審事由です。憲法違反との判決が確定している『特別法廷』で男性が裁かれたことや一審できちんとした弁護がなされていないことなどから、当時の刑事手続きが憲法に違反しているとしています。

(郡司キャスター)
ただ、刑事訴訟法では、手続きが憲法違反であることを理由に再審を認めるべきとは明文化されていないと、検察は主張しているんですよね。

(前田 美沙希 記者)
そうです。弁護団は「憲法違反の審理が事実認定に影響していることなどから再審を開始すべきと」していますが、男性が無罪であることを示すための新証拠も提出しています。それが『実体的再審事由』と呼ばれるもので、被害者には事件の凶器とされた短刀では形成不可能な傷があったことや男性から自白されたという複数の親族の供述には矛盾があるという主張です。

(尾谷キャスター)
そして、この事件の背景には、当時のハンセン病に対する差別や偏見が影響していると考えられているんですよね。

(前田 美沙希 記者)
はい。当時は国がハンセン病患者に対して、「らい予防法」に基づく強制隔離政策を行っていました。関係者に話を聞いてきました。

(尾谷キャスター)
菊池事件の背景にある、ハンセン病問題に迫ります。

~後編に続く~

テレビ熊本
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