阿蘇中岳火口で遊覧ヘリが墜落したとみられる事故は、27日で発生から1週間。搭乗者の安否はいまだ分かっていません。
「前例がない」ともいわれる今回の事故。救助活動が難航している理由について火山の専門家に話を聞きました。
【阿蘇火山博物館 池辺 伸一郎 学術顧問】
「少なくとも私が知っている限りでは、こういう事故は初めて」
この事故は1月20日午前10時50分ごろ、阿蘇中岳付近に向かった遊覧ヘリが行方不明となり、その日の夕方、火口内の斜面で大破した状態で見つかったもので、国が『航空事故』に認定しています。
ヘリには、パイロットと台湾からの観光客2人の計3人が乗っているとみられていますが、いまだ安否は分かっていません。台湾の外交窓口によりますと、観光客の男女2人は夫婦だということです。
発生から27日で1週間。搭乗者の救助活動が難航しているのはなぜなのか? 阿蘇火山博物館の学術顧問・池辺 伸一郎さんは現場の状況について、「悪条件が積み重なっている」と指摘します。
【阿蘇火山博物館 池辺 伸一郎 学術顧問】
「第一火口の特に火口底の湯だまりからのガスや、南側の壁からのガスなどが火口の中を回っているので、そういったガスの影響も非常に大きいだろうし、いろいろな悪条件が積み重なって、非常に厳しいところかな」
池辺さんによりますと、阿蘇中岳第一火口は観光客なども多く訪れる火口見学エリアの北側にあり、直径は450メートルほど。
機体が見つかったのは、火口の縁から深さ約50メートルの場所で、ヘリやドローンを使って真上から見なければ、機体を確認できないほどの断崖絶壁です。
写真からはそこに引っかかっているような状態が確認できます。
過酷な状況の中、救助には二次災害への注意が必要です。
【阿蘇火山博物館、池辺 伸一郎 学術顧問】
「中岳の場合は二酸化硫黄の比率が高いので、そういったガスを直接吸ってしまうと、非常に危険な状態になったりするので、できるだけそういったものを吸わないような形を取っていかないと非常に厳しい。いろいろな意味で細心に注意を払っていかないと、2次遭難が起こったら大変なので」
また、縁の地盤は火山灰と火山礫が積み重なっていてもろく、警察などの関係機関は、現場に近づくためのルート確保を急いでいます。
一方、今回の事故について、警察は業務上過失致傷の疑いもあるとみて、関係者の捜査を進める方針です。
大破した機体の発見現場が火口内部の斜面という極めて危険性の高い場所だっただけに、事故から1週間がたっても近づくことすらできていません。
また、阿蘇中岳の噴火警戒レベルは1『活火山であることに留意』ですが、遊覧ヘリの事故を受けて、現在は火口見学はできない状態となっています。