2026年で創業70年を迎える長野県諏訪発祥の人気ラーメンチェーン「みんなのテンホウ」。他では味わえないギョーザに辛みを抑えた食べやすいタンタンメンなど個性的なメニューがそろいます。県内全域に34店舗、親しまれる理由と人気メニューの誕生秘話を取材しました。

■「100年目指しています」

ラーメンに、ギョーザ。

客:
「いつも通りおいしい」

諏訪発祥のラーメンチェーン「みんなのテンホウ」です。

豊富なメニューで幅広い世代に親しまれる店。2026年で創業から70年を迎えます。

客:
「物心ついた頃から来たね。他のラーメン屋さんもあるけど、最終的にはどこがおいしいかというとテンホウが一番」
「やっぱりテンホウに行きたいなと月に1回は思う」

みんなのテンホウ・大石壮太郎社長:
「最近、テンホウのことを語ってくださるお客さんもすごく多い。そういうのが実はすごくうれしくて。まだまだこれからかなと思っています。われわれ、100年目指していますので」

■百代おばあちゃんが一念発起

「テンホウ」の創業者は「百代おばあちゃん」。現在の大石壮太郎社長の祖母です。

百代おばあちゃんは上諏訪の温泉街で「天宝 鶴の湯」という小さな温泉旅館を営んでいました。

戦後、高度経済成長期に入りつつあった1950年代。大型の旅館が周りにでき始めていました。

みんなのテンホウ・大石壮太郎社長:
「高度経済成長期を迎えて小さい旅館だったものですから、このままいっても商売ができなくなっちゃうなと思ったおばあちゃんが当時、東京に行きギョーザを生まれて初めて食べたときに『何、このギョーザっておいしい食べ物』と。諏訪にないから諏訪に持っていきたいと」

一念発起した百代おばあちゃん。当時50歳、新宿・歌舞伎町の中華料理店で単身、3カ月修業しました。

みんなのテンホウ・大石壮太郎社長:
「(歌舞伎町の店から)『信州から来てよく頑張っているね。全部レシピ教えてあげるから地元に戻って大事に商売しなさいよ』と」

■長野県No.1を目指す

地元に戻り、今から70年前の1956(昭和31)年、ギョーザ中心の「天宝 鶴の湯 餃子菜館」をオープンしました。

そして、1973(昭和48)年、百代おばあちゃんから引き継いだ先代の孝三郎さんが「より多くの人に味を届けたい」とチェーン店化。

名前もカタカナの「テンホウ」に変えました。

当初は、全国展開も考えていたそうですが―。

みんなのテンホウ・大石壮太郎社長:
「まだまだ県内で、自分たちの足元でやれることがいっぱいあるのではないか、地域限定にして、とりあえず長野県No.1になるところを目指すというふうに決めて」

現在、県内に34店舗まで拡大。諏訪地域だけでなく全県で親しまれるラーメンチェーンに成長しました。

■看板メニューは「ギョーザ」

「百代おばあちゃん」からの伝統を守りつつ時代に合わせて味を変化させてきた「テンホウ」。今は各店舗で40種類ほどのメニューを提供しています。

ただ、やはり一番人気なのが―。

スタッフ:
「ギョーザです」

創業当時のレシピを受け継いだ看板メニュー・ギョーザです。

年間1200万個を販売しています。

客:
「とてもおいしいです。シナモンが入っている。味がいつもの(他の)と違っておいしい」
「ギョーザは毎回来ても味が変わらなくて、おいしいまま」

ギョーザをテイクアウトした客:
「ほかの所では間違いなく買っていない。ギョーザは外せないかな」

特徴は他では味わえない独自の味付け!

テンホウでしか食べられないギョーザです。

■独特な味付け

その秘密を探りに工場へ。

テンホウは諏訪市の本部工場で一括して食材を仕入れ仕込みも行うことでどの店でも変わらない味を提供しています。

みんなのテンホウ・五味節二工場長:
「こちらがギョーザの香辛料になります」

餡に加えているのがギョーザには珍しい八角、シナモン、フェンネルなど6種類の香辛料。これが唯一無二の味を生み出しています。

『企業秘密』という配合割合の香辛料と豚ひき肉、キャベツ、ニンニクなどと一緒に混ぜ合わせ完成。

専用の機械で1時間に約8000個作ることができるということです。

なぜ、独特の香辛料を使うのか?

創業者・百代おばあちゃんの知恵が詰まっています。

みんなのテンホウ・五味節二工場長:
「昭和30年ごろ、まだ冷蔵庫とかない時代、(香辛料には)日を長く持たせるとか、食欲増進の効果がある。皆さん、独特な香りがすると話をしていただけるが、これが病みつきになる秘密」

■ターゲットは「家族3世代」

「テンホウ」のターゲットは「家族3世代」。幅広い世代に楽しんでもらうことをモットーに掲げています。

3世代で食事をした家族には、次の来店時に使用できる割引券をプレゼントするサービスも行っています。

みんなのテンホウ・大石壮太郎社長:
「毎日食べられるとか、飽きない。第二の食卓、そういったところが出せるような商品の作り方。これがテンホウらしさ」

その考え方を象徴する商品がギョーザに次いで人気2位の「タンタンメン」です。

特徴は辛さを抑えた味。子どもからお年寄りまで誰でも食べられる味にしようと先代の孝三郎さんが開発しました。

取材したこの日も―。

孫(20代):
「普通のタンタンメンは辛いと思うんですけど、このタンタンメンは辛くなくて、辛いの苦手なので、おいしく食べられます」

祖母(70代):
「私もタンタンメンが大好きです。家族で食べられるメニューがあるのはいいと思う。親子と孫とみんなで来るのが楽しみです」

■「麺」にも秘密

再び工場へ―。

幅広い世代に愛されるのは「味付け」だけではなく「麺」にも秘密があります。

4種類の小麦粉で作った生地は歯切れがよく、のびにくい麺となるように混ぜ合わせているということです。

みんなのテンホウ・五味節二工場長:
「幅広い世代の方に来ていただいているので、『食べやすさ』。硬すぎず、柔らかすぎず、かんだ時に歯切れはいいけど、のびてないのが食べやすいかな」


■難しすぎる!?「間違い探し」

そして、「テンホウ」といえば各テーブルに置いてある「間違い探し」も人気です。

前身の「鶴の湯」から生まれたキャラクター「テンツルくん」のイラストが描かれた「間違い探し」は料理を待つ間も楽しんでもらおうと始めましたが、最近は「難し過ぎる」と話題になっています。

具材が違う―。

壁の模様が違う―。

みんなのテンホウ・大石壮太郎社長:
「長年やっている中で、どんどん実は難しくなってきちゃって。最近は『食べ終わるまでに見つからない、ストレスがたまる』と言われるぐらい難しくなっちゃって。でもそういうことも含めて楽しんでくれるツールになればいいかなと思っているので、この難しさは維持できたらいいなと個人的には思っています」

■地域で引き継がれるお店に

70年前、一人の女性の挑戦から始まった「みんなのテンホウ」。

独特な味付けのギョーザ。家族3世代で楽しめるメニューや店づくり。

多くの県民に親しまれてきました。

今後もその考えを変えずにアットホームな店を提供し続けます。

みんなのテンホウ・大石壮太郎社長:
「自分が通っていたお店はテンホウなんだと言っていただけるような、それがずっと家族の間でも続いていってくださるような、そんなお店を目指したいなと思っている。この地域で引き継がれるお店。そういったところが願っているところですかね」

長野放送
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