2022年に安倍晋三元総理を銃撃し殺害した罪などに問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判はきょう=1月21日に判決が言い渡されます。
山上被告は起訴内容について「全て事実です。間違いありません」と認めています。
裁判で最大の争点は、「山上被告にどのような刑を科すか」で、弁護側が母親の旧統一教会の信仰による献金など、さまざまな苦境による「宗教被害」を主張し、刑を軽くするよう求めたのに対し、検察側は「生い立ちは被害者に関係ない」として無期懲役を求刑しました。
それとともに弁護側は、銃刀法違反と武器等製造法違反を巡って、山上被告が製造した銃はこれらの法で処罰される「拳銃」や「砲」に当たらないとして、成立を争っています。
■検察側は銃を裁判員に持たせ「片手で持てる」ことなどから「拳銃に当たる」
山上被告は延べ約10丁の手製銃を製造し、事件で発射したり、山中で試射したりした、「武器等製造法違反」と銃刀法違反の「発射罪」などに問われています。
裁判で弁護側が主張したのは、これらの「手製の銃」が銃刀法や武器等製造法で処罰される対象である「拳銃」や「砲」に当たらないということです。
まず検察は事件に使った「手製のパイプ銃」について、「拳銃」に当たるとして起訴しています。
「拳銃」の定義については、「金属製の弾丸を発射し、肩付けをせず、片手で持って照準を合わせ、弾丸を発射することができる装薬銃で人の殺傷を目的としているもの」で、これについては弁護側も争っていません。
そのうえで、検察側は事件に用いられた銃を法廷で実際に示し、裁判員の手に持ってもらい「片手で持てる」ことなどから「拳銃に当たる」ことを主張しました。
また科捜研の研究員の証人尋問により、人を殺傷する基準を大きく上回る威力があったことなどを立証しました。
■弁護側「撃った時の反動力が相当大きい」「片手で照準合わせ発射できるか疑問」
一方、弁護側はこの銃を含めて、山上被告が製造した「手製銃」を打った時の「反動力」などから、「片手で持ち、照準を合わせて弾丸を発射できる」かは「疑問」と主張。
科捜研の研究員が手製銃を再現して発射した実験動画が法廷で再生されたものの、その実験では人が手で持つのではなく、万力で固定されていたとして、「発射後に銃口が上向きに動いてしまっていることから銃を撃った時の反動力が相当大きい」と述べました。
そして「事件で用いられた銃、あるいは同じように作った銃を片手で撃つ実験は行っていない」として「有罪の立証は不十分」と罪が成立しないことを訴えました。
■「口径20ミリ以上」は「砲」に当たるか
また山上被告が製造した事件で用いられた以外の手製銃については、口径が「20ミリ」を超えることが、武器等製造法の定義から「砲」に当たると、検察は起訴しています。
これについて弁護側は「手製の銃は直径9ミリ程度の弾丸を1度の発射動作で6発発射できる散弾銃のような銃に過ぎない」と指摘。
「威力を増すことを目的に口径を20ミリ以上にしたのではなく、材料となった水道用のパイプ等が口径20ミリ以上だったという偶然的な事情で、本来の『砲』のような殺傷能力が著しく高い大きな弾丸を発射する機能はない」などとして「砲」には当たらないことを主張しました。
こうした主張は裁判員にどのように受け止められたのか。
無罪か有罪かの判断は、山上被告の刑の重さに影響するとみられます。