4期目の任期が残り1年を切った福岡市の高島宗一郎市長がTNCの単独インタビューに応じました。話は「副首都構想」に名乗りを上げた理由や未来の福岡の街のあり方まで広がりました。噂が絶えない「国政転身」についても直撃しています。(前編からのつづき。聞き手はTNC報道センターの川崎健太記者)
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「“第2副首都”の位置づけがいいのでは」
--副首都構想に名乗りを上げていますが、その狙いと市民へのメリットはどのようなものでしょうか。
高島市長:
正直我々は副首都なんて全然議論もしていなかったし突然降ってわいた話ですよ。ただ、日本にとって首都直下型地震、富士山の噴火、南海トラフの三連動の地震などのリスクに対する危機感が非常に高まっている中で、首都をどうバックアップするのか、万が一の際に事業をどう継続するのかという計画を企業が作っているのは当たり前だし、政府の機能についてもそういうことを考えるのは当然のこと。その時にどこがいいかのというのは本来「うちが欲しい」「いやこっちのほうがいい」とか奪い合いをする話ではなくて、日本にとってどこがいいか冷静に決めるべき話ではあります。
そう考えたときに、福岡市はこれまで経済同友会を中心に首都機能のバックアップということを東日本大震災以降ずっと国に訴え続けてきました。福岡にも災害のリスクはあるが、首都圏に災害があったときにすぐに副首都としての機能できる都市機能をどれだけ持っているかが大事であって、その意味では同時被災のリスクが最も小さいのは福岡だと思います。
「政府として首都機能を維持する」「経済的に東京とダブルエンジンで日本を引っ張る」という2つを並立するなら、規模的には大阪が大きいと思うので特に異論をさしはさむつもりはないですが、やはり南海トラフ同時被災のリスクを考えると、ハード整備は東京・大阪中心でやっていいと思いますが、大阪も同時被災となった時には「福岡でこういう場所を使ってこういう形でやっていく」という計画を作っておくという意味で「第2副首都」という位置づけがいいのかなと思っています。ただ今は「第2副首都」という考え方もないし、一方で副首都を複数作るという考え方もあるかもしれないし、今後の政府の議論を見守りたいと思います。
福岡にいながら就職し、戻って来られる場所に
高島市長:
福岡市民ないしは福岡県民にとってのメリットは、国の位置づけとして「副首都」となれば企業誘致も含めて大きな強みになると思いますし、東京一極集中をどう打破していくのかは日本全体にとって大事な課題です。福岡で育った優秀な人が東京や海外に行かないと自己実現できない、というのではなく、福岡にいながら就職をし、転勤でいろんなところにいっても最終的には福岡に戻って来られるというような場所にしていくことは、子供たち世代が住み続けるためにも大事だと思います。九州全体にとっても、九州に子供たちが残っていれば万が一の時も車や電車、高速バスなどで帰れるんで、そういう点でもメリットがあると思っています。
-- 10年ほど前に市長が言っていた「福岡を日本のシリコンバレーに」という話ともつながりそうですね。
高島市長:
そうした大きな将来ビジョンにつながるセンタービンにして、これを端緒にいろんな物事を動かしていけるんじゃないか。これまでずっと変わらなかった国のガバナンス秩序というものを少し変えていって、東京一極集中から「これは地方に」というところにシフトしていく。そういうきっかけになるんじゃないかという望みはあります。
主導権を持って福岡にとってどう良い位置を取るかということは、私もこの十数年の市長の間に横のネットワークも、政治のネットワークも一生懸命に作って個人的にも相当活動してきているので、福岡の未来にとって強みになるような行動していきたいと思っています。
突然の“解散風”「自治体よろしく」はなかなか大変
--衆議院解散の話が突然浮上しました。予算編成など自治体としては大きく影響すると思いますが、いかがですか。
高島市長:
解散の話はちょっとびっくりしたというか、去年の補正の経済対策を年度内にしてねということがあったので、職員は議会に通した内容をを今年度中に実行しないといけなくて、けっこう忙しいんですよね。これに選挙事務も加わるとなるとなかなか大変です。とはいえ総理の専権事項だし安定政権のほうがいいので、国が決めたならしっかり対応はしますが自治体はなかなか大変ですよ。
--解散には「大義がない」などという批判もありますが。
高島市長:
正直、制度自体がそうなっていますから。もし本当に大義がないと言うのなら、もうそういう専権事項をやめて、衆議院も4年に1回の解散にすればいいって話になる。そこは制度で決まってる限りそれを行使するわけなので、そこに対して言うつもりはないし、「不安定な中で行くよりも…」という選択を総理がするならば自治体は従いますが、ただ石破政権の時も短期で変わったり、選挙の前に急に経済対策ということで「自治体よろしく」というのはなかなか自治体としては大変ではあります。
「日本は経済が大変、物価高が大変」と最近ずっと言い続けてる気がします。根本療法が必要だと思うし、円安が続く限りこういう状況は続くと思うんですよ。さらに高齢化が進む、人手不足になる。それを今の制度や仕組みのまま続けようと言ったらそれは大変な負担になるので、国のあり方として少子高齢になっても、しっかりみんなが豊かであり続けられるように。インバウンド頼みとか海外からの労働力頼みではなく、日本の中でしっかりやっていけるような構造に大きく改革することが求められているんじゃないかなと強く思います。
「もし自分が国会議員だったら」と想像することも
--そうなると市長自身が国政に出て、政策を唱えるのがいいんじゃないか思えますがいかがですか。
高島市長:
私自身はやはり現場の市民の皆さんの課題をどう解決するのかということにとても興味があるし、どうすれば市民や企業がもっと自由に動けるようになるのかということにやりがいを感じます。これまでやっていく中で、これはもともと国の法律が絡んでいるから国の法律を変えないといけないところもたくさん見つけているし、こういう課題があって法を変えなきゃどうしようもないのに国会議員が全然動かないという腹立たしいことも本当にたくさんあります。もし自分が国会議員だったらと想像することもあります。
ただ、市民の声っていうのが本当に国に届いてないんじゃないかとか、自治体は基本的には国に対して強く言えないという中で、首長として現場を預かってきて、国に対してもしっかり物が言えるようにネットワークや人脈など信頼関係もできてきているので、こういう立場で国を変えていくような動きをしていくっていうことも私の今の役割だと思います。
あとは福岡市だけじゃなくて九州全体をどう良くしていくかというように、自分の視座が変わってきているところもあるので、そういうその自治体の首長たちと一緒にまとめていきながら、国自体も変えていけるように行動するということもあるのかなと思っています。
--ありがとうございました。