広島県警密着24時シリーズ第11弾、「通信指令室」に密着です。
緊迫したSOSの一方で頭を悩ませる通報もあるようで・・・
“110番通報の舞台裏”に迫ります。
■通信指令室は“初動捜査の要”
広島県警の「通信指令室」に110番のコール音が響く、そして、受話器を取る通信員
【通信指令室】
「わかりました。すぐ行きますので…盗撮ですか? 犯人確保中です?
相手は、暴れていますか?」
午後6時商業施設内の店舗から、「盗撮事件」の110番通報。
女性客のスカートの中を盗撮している男を店の関係者が取り押さえたといいます。
【通信指令室】
「人目の気にならないところで被害者の方を確保して、お話を聞けるようにしておいてください。もう警察官着きましたからね」
通報から5分後に警察官が現場に到着。
容疑者の男は現行犯逮捕されました。
【通信指令室】
「110番警察です。事件ですか?事故ですか?」
昼夜問わず寄せられる県民からの「SOS」 通信指令室では県内すべての110番通報を、24時間365日体制で受け付けています。
通報を受けるだけでなく、聞きとった情報をもとに現場の警察官に指令を出す役割も担うことから、“初動捜査の要”とも呼ばれています。
■重傷ひき逃げ “緊急配備”
【広島県警 通信指令課 藤澤剛介 警部補(50)】
「物損?あなたは運転手の方ですか?」
藤澤剛介警部補。豊富な知識や経験を生かし、あらゆる情報を精査して現場に的確な指示を出す通信指令歴12年のベテランです。
【通信指令歴2年 森本祐輔 巡査部長】
「難しいような事件とかでも、藤澤さんの中で、かみ砕いて相手(現場の警察官)に伝えている感じがするので、はたから聞いてもわかりやすいので、現場の方も理解しやすいのかなと思います」
通信指令室 午後6時10分
「重ひき(重傷ひき逃げ)容疑です!」
「救急車まだ?じゃあこっち呼びますね」
「相手バイク、特徴全くわからない?」
自転車と衝突したバイクがそのまま走り去ったー「ひき逃げ事件」の一報。
指令室の空気が一気に張りつめます。
【藤澤 警部補】
「バイクと自転車の接触で自転車(の運転手)が骨折ありということで、重傷ひき逃げになるんで“緊急配備”ですね」
“緊急配備”逃走した容疑者を捕まえるために、現場周辺に警察官を集中的に動員して検問などにあたるもので、その実施の指示は通信指令室が行います。
緊急配備がかかると、通信網を駆使して、容疑者の特徴や逃走経路の情報を現場の警察官に細かく伝えていきます。
【藤澤 警部補】
「あとは防カメやね」
【亀竹 巡査部長】
「防カメですね。発生時間を特定しないと」
【藤澤 警部補】
「特定して防カメですね。それにしましょう。防犯カメラの確認ですね。通報者と面接して、発生時間を聞いて(現場の近くの)防犯カメラに写っているんじゃないかなって、いまそれを確認指示中ですね」
Q:その辺の指示も?こちらで・・・
【藤澤 警部補】
「そうですね」
緊急配備からおよそ40分、動きが…
「解除させてもらおうと思うんですけど、よろしいですかね」
【藤澤 警部補】
(Q:どうなったんですか?)
「結局、骨折疑いで重傷ひき逃げと判断してたんですけど、続報で軽傷見込みと入ったんです。緊急配備は解除」
緊急配備は解除ー容疑者を捕まえるため捜査は引き続き行われます。
■緊急性のない通報が全体の3割
県警によると、1日に寄せられる通報は平均でおよそ810件。
1分40秒に1件のペースでかかってくるといいますが、そのすべてが緊急の“SOS”というわけではありません。
【通信指令室】
「もしもし、もしもしもしもーし」
無言電話…間違いや、いたずらの電話、不要不急の相談など、緊急性のない通報が全体の3割を占めるといいます。
【広島県警 通信指令課 水上陽介 巡査部長】
「救急車と間違われる人がいます。あとは、落とし物とか酔っ払いで『パトカーで送ってくれ』とかあります」
■急を要しない相談は、警察相談専用電話「#9110」に
緊急ではない通報で業務がひっ迫する状況に現場は頭を悩ませています。
今すぐ現場に警察官に来てほしい時は110番。
急を要しない相談は、警察相談専用電話、「#9110」にかけるよう呼びかけています。
午後8時20分
【亀竹 巡査部長】
「どういう経緯で通帳を渡すようになったの?電話かかってきたの?」
息子をかたる詐欺にあったという通報。
【亀竹 巡査部長】
「大丈夫ですよ●●さん。悪くないですから」
被害者を落ち着かせながら経緯を確認し、自宅に警察官を向かわせます。
■相手の気持ちに立ち、そして、正確な受理
【通信指令室】
「安全ですか、あなた安全な場所にいます?」
午後9時45分 斜面崩落
家の裏の斜面が崩れたという災害の通報には、身の安全を最優先に行動するよう何度も伝えます。
午前0時前、夜が更けるにつれて増えてくるのが、「もめごと」の通報です。
【通信指令課 森本祐輔 巡査部長】
「いろんな方からの通報があるので、思ったことを言わない方とかも、いらっしゃたりするとやっぱり難しいなと。どういう言葉を選んだらいいのかなというのは、いつも悩むところです」
【通信指令課 森本祐輔 巡査部長】
「“受理3年、指令一生”でしたっけ?」
【広島県警 通信指令課 藤澤剛介 警部補】
「違う違う、“指令3年 受理一生”」
【通信指令課 森本祐輔 巡査部長】
「指令するのは、3年やればなんとか一人前になるんですけど、『受理は一生かかっても難しいよ』というくらいの話らしいんで、日々勉強です」
【広島県警 通信指令課 藤澤剛介 警部補】
「引き出しがいりますね。こう言って理解してもらえんかったら、違う言い方をするとか、相手によって、なんとなくわかるんですよ。自分が説明してもちょっと伝わってないないというのがわかる。そしたら、今度は違う聞き方をするとか」
100人から通報があれば、必要とされる対応も100通り。
通信指令の現場で後進の指導にもあたる藤澤警部補が、次の世代に最も伝えたいことはー
【広島県警 通信指令課 藤澤剛介 警部補】
「やっぱり受理ですね。相手の気持ちに立った、そして、正確な受理。自分も今まで先輩方に教えていただいたんでね。すべて伝えられるようにできればと思います」
この日寄せられた通報は900件近くに上りました。
そして、翌日もまた、県民のSOSに応え続ける通信指令室に、休みはありません。