ついに広島の街を走り始めたメードイン広島の全く新しいモビリティです。
広島の自動車メーカーと言えば一番に思い浮かべるのは「マツダ」ですが、今回、全く別のスタートアップ企業が広島で車を開発しました。
その名は「ミボット」と言います。
前後対称のデザインで、1人移動の需要にマッチした「これから」のモビリティです。
つくったのは東広島市のスタートアップ企業KGモーターズです。
自動車メーカーとして本格的に歩み始めるまでの「道のり」とは!
TSS独占取材で広島生まれのモビリティを「サキドリ」します。

この年末…東広島市のKGモーターズでYouTube用の撮影が行われていました。

【KGモーターズ・楠一成CEO】
Q:どうですか、いまの心境は?
「本当にここまでよくやってこれたなと、皆さんのおかげですという気持ちと皆さんのおかげでした」

本社工場で製造した超小型EV「ミボット」を初めて予約客のもとへ届けます。

【KGモーターズ・楠一成CEO】
「1歩目を踏み出したといったところなので、ここから100台1000台1万台、10万台と増やしていきたい」

自分たちで設計・開発…試行錯誤の末に納車に至った、この3年間にカメラが密着しました。

2022年に設立されたスタートアップ企業・KGモーターズ。
すべての始まりは呉市出身のCEO楠一成さんの原体験でした。

【呉市出身 KGモーターズ・楠 一成CEO】
「細い道をおばちゃんが(車の)ミラーたたんでタイヤを半分を落としながら走ってるのを見て、もう明らかに車が大きすぎるというのはずっと漠然と考えていて、いつかなんか一人乗りの乗り物があったらいいなというのは漠然と考えていた」

元々、楠さんは自動車部品の販売会社を経営し、整備士の資格は持っていましたが、車づくりに関しては初期メンバーの4人全員が素人でした。

【KGモーターズ・楠 一成CEO】
「痛っ!」
Q:どこで打ったんですか?
「ここ」
「痛いそれは…」

最初は試行錯誤の日々…調達した部品が設計通りにはまらないこともしばしばでした。
それでも「社会を変えたい」一心で人々の心を動かしてきました。

【定年まで車部品の設計開発 KGモーターズに加入・氏本卓志さん】
「ここに来てこういう仕事ができるのは達成感というか満足感が強くて」

【KGモーターズ・楠 一成社長】
「YouTubeで発信し続けて自分たちのミッション、ビジョンに共感した人が集まっているので、思いに共感してくれているところが一番大きいかなと思います」

開発の様子をありのままYouTubeで発信。
地元企業や専門家も技術協力をしてくれるように…

そして…2024年9月、開発の原点である呉市両城地区で軽自動車も通れないような狭い坂道を走破しました。

【KGモーターズ・楠 一成CEO】
「スムーズに走れたかなという印象はあります。一発坂が登れたらどうかじゃなくて毎日使用してもらいたいので毎日使用しても壊れない、壊れにくいという信頼性の部分を極限まで磨いていきたい」

量産に向け、広大な本社工場に移転し、大手自動車メーカーの第一線で活躍してきた技術者も仲間に加わるように…

【マツダで25年以上勤務 KGモーターズ・上田貴之さん】
「YouTubeで見て応援するしかないなと思ったんですけど応援というか正直、悔しかった…やりたかったなと」

さらに、東京にもオフィスを開設しました。

【KGモーターズ・楠 一成CEO】
「特にソフトウェアだとかブランディングだとか、我々の組織の中でも東京近郊の人間がたくさんいるので」

最初は4人で始まった挑戦が、いつしか正社員およそ30人の組織に変わっていました。

【ホンダで勤務経験 KGモーターズ・中村奏太さん】
「まだつくったことがない未知のモビリティをつくっているところ、ソフトウェアをいちからつくれるところが非常に魅力的に感じました」

その超小型EVの「ミボット」は車検不要の原付ミニカー規格で最高時速は60キロ。
本体価格は110万円からで前後対称のデザインにすることで車体を組み立てやすく快適性と安全性、求めやすい価格を同時に可能にしました。
狭い道を走るためだけでなく、日頃、車移動をする人の多くが10km未満の短距離を1人で乗っているという国のデータを基に、新たなモビリティの需要を掘り起こそうとしています。
量産開始前にも関わらず、全国から2000件以上の予約が殺到しました。

【ミボット予約 神奈川県から】
「そこまで長距離に乗ることもないので、普段の買い物に行ったりとかちょっとした場所に移動するのにはとてもいい」

2025年は車体の試作と走行テストを繰り返し、ついにYouTuberの夢が現実になろうとしていました。
高いハードルだったのは設備投資のための資金調達でした。

【KGモーターズ・楠一成CEO】
《岡山スタートアップスクラムで》
【楠 一成CEO】
「大成功した経験がない限りは形にして見せるのが一番早いんですよ。一番苦労するのは絵しかないときで絵しかないときに共感を集めないと形さえもつくれずに終わってしまうというところがあって」

自動車メーカーとして実績も、経験もない分、実際に展示・試乗してもらうことで「信頼」と「共感」を勝ち取っていくしかありませんでした。

【KGモーターズに出資 ちゅうぎんキャピタルパートナーズ・石元玲取締役】
「もう3回出資しています。一人乗りのEVカーっていう日本でチャレンジして成功している会社はないじゃないですか。そこに果敢に挑むこの姿勢、これがすべてですね。本当に尊敬に値するというか、歴史に残ってほしいなと思って」

一歩一歩の積み重ねで全国の投資家や企業からも注目されるようになり、資金調達の金額は累計20億円を超えました。

本格的な量産体制の立ち上げは半年ほど遅らせ今年4月以降としましたが、何より大事にしてきたのは安全性と確かなものづくりです。

【KGモーターズ・楠一成CEO】
「本当に短い期間で自分たちの理想により近づけるということをとにかく徹底してやってきたので、途中までやってきたことでも捨てて軌道修正したりとか…自分たちが目指しているのは本当に日常に溶け込んでずっと使い続けてもらうところを目指している。飽きずに乗ってもらえるかどうかというのが一つの勝負になるかなと思います」

会社の立ち上げから3年…

Q:ここで完成?
「ここで完成です。ガラスをつけて…外装もつけて完成です」


初期段階は主に手作業で車体を組み立て1台目の「納車」のときを迎えました。

【KGモーターズ・楠一成CEO】
「いよいよだなと思って」
Q:やっぱり感慨深いんですか?
「そうですね。今から子どもが旅立っていくみたいな大丈夫かみたいな…頑張れよみたいな。いつまでも抱えておくわけにはいかないし、送り出さないととけないし、いきますか!」

【KGモーターズ 製造担当・松井康真さん】
「緊張しますね。緊張の反面、お客さんがどんな反応をするか…」

緊張と喜びが混じりながら最初のユーザーの家に到着しました。

【メンバー】
「緊張しているかもしれん」
「それはわかる…晴れてよかったですね」

家へと続く狭い坂をスイスイと登り、軒下の車庫に入ります!

【KGモーターズ・楠一成CEO】
「一旦鍵を贈呈しますので」
「ありがとうございます」
「無事納車1台目でありがとうございます。乗ってもらいましょうか。せっかくなんで」

実際に公道に出て一般ユーザーが「ミボット」のハンドルを握りました!

【KGモーターズ・楠一成CEO】
「未知の乗り物なので初めはね、ちょっと緊張もするし慣れてくると普通に乗れるようになってくると思います」

静かな加速で、軽やかに住宅街を駆け抜けます。

【KGモーターズ 楠一成CEO・ユーザー】
「いいですか?」
「いいです。いいです」

「ミボット」が初めて商品として世に出た瞬間であり、KGモーターズが「自動車メーカー」としてスタートラインに立った瞬間でもありました。

【初のユーザーは】
「車ですね、普通に十分な性能があると思います。普段使いで1人で気軽に乗れる…ちょっとした買い物もできますし、ドライブがより楽しくなるのではないか」

道なき道をひたむきに突き進んできたKGモーターズ。
2026年は東広島から全国展開を見据えます。

【KGモーターズ・横山文洋さん】
「世の中の移動、オーバースペックになっている移動を最適にして、持続可能なものを楽しく作っていくことがやりたいことなので、そういった意味でいくとまだまだ今からと思います」

【KGモーターズ・楠一成CEO】
「本当に第1歩ほっとしたっていうところですね。基本、やはり大きなことに挑戦しているので困難はもう絶対訪れると思う。何かしら。我々は強力なチームなのでチーム一丸となってその困難を打ちまかして、飛躍していければと思っています」

【スタジオ】
ちなみに、この注目の会社去年の夏、アメリカの経済誌フォーブスが発表したアジア太平洋地域で注目すべき新興企業100社にも選出されました。

KGモーターズによると、2026年4月以降に本格的に量産体制をスタートしたいとしています。

今後広島だけでなく、東京にも出荷先を広げ、一気に街で見かける機会が増えそうです。
予約はKGモーターズの公式ホームページで受け付けていまして、現在、納車は早くても1年以上先となっています。

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。