駒ケ根工業高校の生徒が地球を守る「駒工ファイターズ」として「ヒーローショー」に挑戦しています。手作りの衣装や武器、そして迫真の演技。地域を盛り上げようと奮闘中です。

■園児も夢中!高校生ヒーローショー

地球の平和を守るヒーロー。その名も「駒工ファイターホウケン」。犬のキャラクター「疾風太郎」もサポートします。

園児:
「ヒーローがんばれ!ヒーローがんばれ!」

地球侵略を企むデビル星の宇宙人との戦いに、子どもたちも夢中です。

風船爆弾や華麗な手品も。見どころいっぱいのショーを演じるのは駒ケ根工業高校の3年生5人「駒工ファイターズ」です。

ヒーロー「ホウケン」役・板山正宗さん:
「小さい子が楽しんでもらえるように、そして夢を持ってもらえるようなショーにしたい」

■「課題研究」から生まれたヒーロー

12月4日、駒ケ根工業高校―。

生徒:
「モーターを使って磁石を回して、水を温めるということをやっていて」

駒ケ根工業高校電気科の3年生が取り組む「課題研究」。調理器具やロボットの開発、手作り電動自転車の製作などさまざまな課題に向き合います。

そんな中、異色の生徒たちが。「駒工ファイターズ」のメンバーです。この日はヒーローショーに向けて練習に励んでいました。

ヒーロー「ホウケン」役・板山正宗さん:
「最後の思い出になるし、それだったら面白いことをやろうとこの研究を選びました」

ヒーローの名前「ホウケン」は、学校から望める中央アルプス「宝剣岳」にあやかっています。

■3Dプリンタ活用!手作りヒーロー

台本はもちろん、普段の学習を生かして衣装、武器なども手作り。ホウケンの「マスク」は、パテを塗っては削り形を整えました。

ヒーローを助ける犬の「疾風太郎」は―。

「疾風太郎」役(リーダー)・山口興奇さん:
「毛皮(布)を一から貼り付けて、目玉もレーザーカッターを使って開けて」

飾りや変身ベルトなどは3Dプリンタを活用しています。

生徒:
「肉球をモチーフにしてまして」

この日は変身ベルトの付属品を印刷中。

夏休み返上で準備してきたメンバーたち。11月、地域の施設で「デビュー」しましたがまだ、納得のいくショーはできていませんでした。

■15年ぶり復活、受け継がれる伝統

12月は2つの保育園で公演があり練習は大詰めです。セリフは事前に録音し効果音やBGMを合わせて編集しています。「疾風太郎」は次々に手品を披露し、悪役を驚かせるのが見せ場。音と動きをきっちり合わせなければいけません。

「疾風太郎」役(リーダー)・山口興奇さん:
「ちょっと焦っちゃうときもあるけど緊張がすごいです」

4人で戦う一番の見せ場は―。

駒工ファイターズのメンバー:
「最終決戦だ!行くぞ!」
「ごめん間違えた!」

まだ息が合っていません。

生徒:
「やっぱり動き、みんなちゃんと確認しよう」
「それだね、一番は。動き、ガチで」

駒ケ根工業高校は以前も「コマレンジャー」など生徒がヒーローとして活動し、地域のイベントなどを盛り上げてきましたが、ここ15年ほどは休止状態でした。

かつて「コマレンジャー」を指導した西村武久教諭が今年、再び高校に赴任し、復活を提案したところ5人が手を挙げました。

駒ケ根工業高校・西村武久教諭:
「学校内だけでなく地域と関わることで、より深いことを学んでもらえると思います」

悪役・デビル星の「イナリ」役・安田亜久吏さん:
「慌てちゃったり、忘れちゃったってなった時でもいいチームワークができてる感じ。助け合いができてる感じがします」

「疾風太郎」役(リーダー)・山口興奇さん:
「一番は楽しんでもらう。子どもたちが楽しめるような劇にしたいと思います」

■いざ本番!高校生たちのヒーローショー

12月8日、いよいよ保育園での公演当日。

「疾風太郎」役(リーダー)・山口興奇さん:
「いやあー緊張しますよね。何回やっても慣れないので」

ステージの大きさに合わせ動きを確認します。司会の堀越涼平さんはインフルエンザでしばらく練習に参加できていませんでした。

司会役・堀越涼平さん:
「自宅療養していた中でもちゃんとショーの練習を行っていたので、今は万全に準備ができていると思っています」

本番が近づき緊張が高まっていきます。

「駒工ファイターズ」:
「今回は失敗せずに楽しんでいこうや!がんばろー!えいえいおー!」

■園児大歓声!迫力のヒーローショー

司会役・堀越涼平さん:
「みんなこんにちはー!もっと大きな声でいくよ、こんにちはー!。これから地球の平和を守るために戦いますので、みんなの応援お願いします!」

まず登場したのは「疾風太郎」。

「疾風太郎」役(リーダー)・山口興奇さん:
「やっと地球に到着したぞ。みんなこんにちは。僕の名前は疾風太郎っていうんだ」

園児:
「わんわん」

つかみは上々。そこに地球侵略を狙うデビル星の宇宙人、「ワルサー」と「イナリ」が現れ、疾風太郎を攻撃します。

イナリ役:
「準備運動ができたところで、さっそく地球を侵略開始だ!」

ワルサー役:
「ゲーム中毒になっている人間どもを風船爆弾で木っ端みじんにしてやる!」

「風船爆弾」は最初の見せ場。モーターから送られる空気で、会場に向けられた風船がどんどん大きくなります。

そして―。

「3,2,1爆破!」

園児たちが驚いたところで「駒工ファイター ホウケン」参上!

疾風太郎と共に悪役と戦い始めると―。

園児たち:
「ヒーローがんばれ!ヒーローがんばれ!」

次は、疾風太郎の見せ場の手品。

「疾風太郎」役:
「パラソルの登場です」

子どもたちも釘付けです。

この後、悪役の反撃で一度、ホウケンは力尽きますが…。

司会:
「このエネルギー充填装置を使って、みんなでホウケンにエネルギーを与えるんだ!いくよ、せーの!」

園児たち:
「がんばれー!がんばれーー!!」

声援を受けたホウケンは無事に復活。そして決め技へ!

「ホウケン」役:
「スーパーランチャーファイヤー!」

水素と酸素に火をつけて爆発を起こす「スーパーホウケンランチャー」で、宇宙人を撃退しました。

「ホウケン」役:
「コンプリート!」

■ショー成功に感無量「悔いはない」

園児:
「(ヒーローどうだった?)すごかった!」
「ちょっとびっくりした、風船、われるとき。ちょっと泣いちゃいそうだった笑」
「かっこよかった!」

駒工ファイターズの生徒にも達成感が―。

「疾風太郎」役(リーダー)・山口興奇さん:
「子どもたちの反応もすごくよかったし、今まで3回やってきた中で一番のショーだと思うので、今回のショーは悔いはないです」

悪役・デビル星の「イナリ」役・安田亜久吏さん:
「風船爆弾の叫び声とかすごくて、感無量といいますかね」

悪役・デビル星の「ワルサー」役・小出一歩さん:
「子どもたちに喜ばれて1年やってきたことが無駄じゃなかったんだなと」

ヒーロー「ホウケン」役・板山正宗さん:
「今のを終えて、(公演が)あと1回しかないなと感じて、あと1回全力を出し切れるように頑張りたい」

地域を盛り上げようという思いと工業高校ならではの衣装や仕掛け。

5人は今後も子どもたちを楽しませたいと意気込んでいます。

長野放送
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