災害時などに、首都機能をバックアップする「副首都構想」。大阪は早くも副首都に向けて動き出していますが、それ以外の都市も続々と名乗りを上げている。

23日に開かれた大阪府と大阪市による副首都推進本部会議。

吉村洋文知事:政治行政だけじゃなく経済についてのバックアップ、そしてけん引をしていくことが非常に重要。

大阪市・横山英幸市長:多くの国民がやはり副首都は必要と言えるような議論にもっていったあとに、おろずと『大阪だよね』というほうが伝わりやすい。

「副首都」は、災害時などに、首都機能をバックアップする地方都市で、日本維新の会が連立入りの条件として合意書に盛り込み、政府与党は来年度の関連法案の成立を目指している。

■維新は「副首都」の要件として、大都市法に基づく特別区の設置を求めている

今月19日に公表された首都直下地震の新たな被害想定によると、最悪の場合、死者は1万8000人で、災害関連死は4万1000人、経済的な被害は83兆円に及ぶ。

首都機能の停止に備え、東京一極集中から多極化に転換するため「副首都」が必要だとしている。

23日の会議では、府庁のそばに非常時に国会での使用も想定した副首都庁舎の新設を検討するほか、首都圏が被災した際の救援体制の整備など国への要望をまとめた。

吉村知事:大都市法に基づいた強力な広域自治体を作っていく。大阪で言うと、府市一本化して強力な行政機構を作っていく、司令塔を一本化していく、これが副首都に絡む重要な論点なんだろうと。

日本維新の会は、副首都の要件として、大都市法に基づく特別区の設置を求めている。

しかし、特別区があるのは現状、東京都のみで、指定されるには、政令指定市を廃止して特別区に再編する必要がある。

首都直下地震の新たな被害想定
首都直下地震の新たな被害想定
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■「福岡市は適地だ」福岡も副首都構想に意欲

この副首都構想に意欲を示すのは大阪だけではない。

ことし10月、福岡県の服部知事は…

福岡県・服部誠太郎知事:福岡県が首都中枢機能のバックアップ拠点、その候補地になり得る。

鉄道や空港などの交通インフラがあり、首都直下地震による同時被災のリスクが低いことなどから福岡も副首都の候補地になり得るとアピールした。

また、福岡市の高島市長も災害時のバックアップ機能として「福岡市は適地だ」と意欲を示した。

福岡市・高島宗一郎市長:災害が起きたときにはここを拠点にしてこのような動きをとろうということは、各企業考えているように国家としてもこれは当然考えるべきこと。大いに議論が盛り上がることを期待。

福岡市・高島宗一郎市長
福岡市・高島宗一郎市長

■名古屋の広沢市長は「危機管理の議論と特別区という地方自治体の議論は別」

そして、22日、名古屋市の広沢市長も…

名古屋市・広沢一郎市長:名古屋におきましては都市基盤は十分に整備されていて、地盤が強固な三の丸地区にコンパクトなエリアが数多く集積していて、相対的に見ればコストかけずに霞が関に匹敵する機能性を発揮可能では。

災害時に麻痺した首都機能を代替できることや高速道路や空港が使える利便性などを挙げ、副首都構想に積極的な姿勢を示した。

しかし、その一方で…

名古屋市・広沢一郎市長:特別区前提というのはちょっとおかしいんじゃないのかなと。首都のバックアップという危機管理の議論と特別区という地方自治体の議論は別でございますのでここは切り分けて考えるべき。

名古屋市・広沢一郎市長
名古屋市・広沢一郎市長

■「どういう行政体、体制がふさわしいのか検討を深めることはやっておくべき」吉村知事

名古屋市の広沢市長は、特別区設置の議論は、切り離して考えるべきと主張しているが、大阪府市は、広域行政を一元化した新たな形の地方政府が必要だとしている。

吉村知事:大阪が副首都を目指すのであれば、大阪市が目指すのか、大阪府が目指すのか、これに我々、正面から答えられないのが現状。どういう行政体、体制がふさわしいのか検討を深めることはやっておくべきだと考えます。

大阪府と大阪市は、新たな協議体を立ち上げ、年明けにも、どういった行政体が副首都にふさわしいのか、議論を進めるとしている。

吉村知事
吉村知事

■「最初から大阪ありきで議論してはいけない」AERA元編集長

元AERA編集長の浜田敬子さんは「副首都構想」について、「最初から大阪ありきで議論してはいけない」と指摘し、「どこが適してるかをきちんと議論していく必要がある」と述べた。

浜田敬子さん:副首都構想は40年ぐらい前から首都機能の一部移転をすべきじゃないかっていう議論はあったんですけど、全然進んでこなかったんですよね。

もちろん首都直下地震のこともありますけども、ある程度東京一極集中を分散化させるという意味でも、私は副首都構想が必要だと思う。

今、議論が盛り上がってるきっかけは自民・維新の連立政権の合意文書に入ったことが大きいと思っていて、最初から大阪ありきで議論してはいけないなと思っています。

(福岡や名古屋も)名乗りを上げているので、どこが一番ふさわしいのか、コストもあまりかけずに、機能としてどこが適してるかをきちんと議論していく必要があるかなと思います。

また、名古屋の広沢市長が「危機管理と地方自治は分けて考えるべき」という意見に対しては同意だとし、「人口の集中も含めて分散を考えたほうがいい」と述べた。

浜田敬子さん:首都直下地震のこともあるのでできるだけスピード感を持って決めていく必要もあると思ってますし、もっと言えば、今、東京に税収なども全部集まっていて、首都圏の他の県の知事からは、格差も問題とされてるんですよね。

首都機能だけじゃなくて例えば企業の本社機能とか、人口の集中とかそういうことも含めてどうやって分散していくのかも考えたほうがいいかなと思います。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年12月23日放送)

大阪以外で「副首都」に名乗り上げる自治体
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関西テレビ
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