里子として引き取った当時1歳の男の子を殴るなどして暴行の罪に問われている男の裁判が広島地裁福山支部で始まり、男は起訴内容を認めました。

起訴状によりますと、府中市中須町の無職工藤寿悦(くどう ひさのぶ)被告(31)は、今年9月、自宅で里子として引き取った当時1歳の男の子の顔を足蹴りし、踏みつけ、床にたたきつけたほか、頭を掃除機で殴打するなどの暴行を加えた罪に問われています。

23日の裁判で工藤被告は、「間違いないです」と起訴内容を認めました。
検察側は冒頭陳述で「自分が無職になり、将来への不安、育児や家事をやることのストレスがあった。
妻に掃除をするように言われて腹が立ち、男児にイライラをぶつけた」と指摘しました。

この事件では、工藤被告の妻も男の子に暴行を加えた疑いで逮捕・送検されていましたが、広島地検福山支部は処分保留で釈放しています。

次の裁判は来年2月3日に開かれ、別の罪についても追起訴審理が行われることになっています。

《スタジオ》
さて、里子として引き取った子どもへの暴行事件。
この夫婦は去年4月に東部こども家庭センターを訪れ、里親になりたいという意思を示しました。
その後研修を受けてから、夫婦ともに審査を経て「適格」という判断を受け、去年10月に里親に登録。


今年4月に今回の男児との交流を開始し、面会、3回の短期宿泊をして問題なかったため5月に里親委託が始まりました。
県が聞き取りをしたところ、夫婦は「虐待はしていない」という趣旨の説明をしていましたが…周りが異常を察知することはできなかったのか、自宅周辺の人は次のように話しています。

【近所の人は】
「(家が建ったのが)1年、2年ぐらい前ですかね。2人お住まいいうのは分かりましたけど」

Q:子どもがいるの知っていた?
「それはわからなかった。普段泣き声とか子どもの遊ぶ声とかそんなんは聞いたことない。「(夫婦を)見かけたらあいさつするぐらいでそれも1回か2回くらいで全然会ってない」

取材した毛利記者によりますと、他にも周辺を取材したそうですが、近所付き合いはほとんどなかったということです。

県内で里親に登録されているのは昨年度末時点で304世帯。
そのうち実際に子どもを引き取って育てているのは3分の1弱です。

里親に登録するには子どもへの豊かな愛情があることや経済的に困窮していないことといった要件があります。

今回は、きちんと審査を経て里親となっているわけですが、里親家族が孤立していないか、サポート体制など今一度考えていく必要があります。

テレビ新広島
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