新しい読書スタイルを発信

読書の秋。「文学のまち」愛媛県松山市に新しい読書スタイルを発信している人たちがいる。

デジタルな今だからこそ、遊び心ある仕掛けでアナログな本の魅力をアピールし、利用客の関心をひきつけている。

橋本利恵アナウンサー:
かなりの狭さなんですけど、所狭しと色んな本が並んでいます

松山市中心部の裏通りにあるのは、おしゃれでちょっと不思議な書店「本の轍」。本棚に並ぶのは古本や新刊の書籍。さらに国内外のレトロな雑貨だ。

この記事の画像(13枚)

この書店はコンセプトが「本と雑貨をハシゴして、コーヒーも飲める本屋さん」。3年前に越智政尚さん・千代さん夫妻がオープンした。

店主 越智政尚さん:
本って利益率が低いので、例えば何かとかけ合わせて本と雑貨、本とコーヒー、本とギャラリーとか。新しい本屋の形っはこうあるべきかな思ってやってる

「新しい本屋の形」。例えば本棚に並んでいるのは「マーマレード」や「ジャム」。実は店の奥にあるのは、越智さんの友人が営んでいるジャム工房。ここで作ったジャムやマーマレードを店頭で販売している。

また妻・千代さんは編み物作家。手作りの作品も並んでいる。
リンゴの形をしたのは…

妻 千代さん:
地球です。南極もあります

橋本利恵アナウンサー:
いろんな雑貨がありますね。レトロなものがたくさんあって、かわいい

店内に散りばめられた個性的な雑貨に目がとまり、本棚に吸い寄せられそうだ。読書離れが進む中、「本×雑貨」というスタイルが、思いがけない本との出会いにつながる。

店主 越智政尚さん:
目に飛び込んできた本がその時自分が求めてる1冊だったり…できるだけ色んな仕掛けを作るよう心掛けてる

店内ではコーヒも味わうことができ、ブックカフェとしても利用可能。お客さんは7割が女性だという。

この日は松山沖の興居島から訪れたという人も。

興居島から訪れた女性:
所狭しと本が並んでいて、カラフルでお店の方が優しくて、そういう雰囲気が好きです。紙の匂いとかインクの匂いとか、そういうのにふれてたら幸せ

店主 越智政尚さん:
(紙の本は)五感を刺激する。物が持つ力は電子書籍より重い

今、全国的に書店は、電子書籍の普及に加えコロナ不況による休業もあり、厳しい状況。そんな状況にあっても、越智さんは作品をテーマにしたワークショップの開催や、森に囲まれた場所で読書を楽しむBOOKキャンプなど、これまでにない新しい読書スタイルを提案し続けている。

店主 越智政尚さん:
松山は「文学のまち」ですから、本屋がなくなるのは寂しい。そういったつながりをずっともっていたいし、ここから文化を発信したという気持ちでやってます

子供が集まる図書館も!

「新しい読書のスタイル」。こんな試みも始まっている。10月2日、松山市内の住宅地に私設の子供図書館「書房ドミンゴ」がオープンした。

のれんをくぐった先にまず目に入るのは、「本」ではなく、昔懐かしい「駄菓子」。

書房ドミンゴ 清水淳子さん:
「図書館始めました」ってただ言っただけじゃ、ちょっとハードルが高いなと思う子供も正直多いと思う。なので駄菓子屋を併設してると、ちょっとでも本を見に来る言い訳になるかなと思って

「書房ドミンゴ」の館長は清水淳子さん。長年、ライターとして出版社などで雑誌の編集に携わってきた。

祖母の家で立ち上げたこの図書館には、漫画や絵本、エッセイに図録など様々な種類の本が並び、この日も幼稚園や学校を終えた子供たちが集まってきた。

子供と利用した母親:
近くにあるとうれしい

別の母親:
図書館が近くにないので。これを機会にもっと本を好きになってくれたらうれしい

さらに子供たちが喜ぶ仕掛けがスタンプカード。1回来店するごとに1つスタンプを押してもらえ、全部たまると好きなお菓子やグッズをもらえる。

保護者への説明:
子供がスタンプカードを理由にスタンプを集めて、本に親しむきっかけになってもらうアイテムの一つとして使っていただければ

この図書館がオープンして以来、開館日はほぼ毎日訪れている常連の小学生もいる。

常連の小学生:
うん好き!近いし、駄菓子はおいしいし、本は置いてあるし

書房ドミンゴ 清水淳子さん:
利益とか経営とか大きな意味では正直考えていなくて、自分のやりたいことを形にしたらこうなっちゃった。漫画でもいいし、図録でもいい。写真集でもいいので、本に触れてもらえるきっかけがあれば

書房ドミンゴが目指すのは、地域のコミュニティーとして人が集い、子供たちを育む「図書館」だ。

書房ドミンゴ 清水淳子さん:
顔が見えるっていうのは治安だと思っていて。それこそ「子供だけで出かけていいよ」っていう場所は今、ほとんどないと思う。子供もお母さんもちょっとホッとできる。そういうところになればいいかな

「新しい読書のスタイル」そこには本と地域を愛してやまない、経営者たちの情熱とやさしさがあふれている。

(テレビ愛媛)