少子高齢化などで墓じまいを検討する動きが広がっている中、自分のルーツはどこにあるのか、「家系図」を作りたいという人が増えているといいます。

 現場を取材しました。

 「どうしても家族の単位が希薄になっていく一方で、家系図への愛着は高まっていると思う」(行政書士 渡辺宗貴さん)

 11月、札幌で開かれた家系図作りを解説するセミナー。

 講師を務めるのは行政書士の渡辺宗貴さんです。

 「(一番古い)明治19年戸籍は150年前に作られたもの。この戸籍が順次破棄の時期を迎えています」(渡辺さん)

 家系図作りで要となるのが先祖の戸籍。

 現在取得できる最も古い戸籍は明治19年のもので、これを順調にたどることができれば江戸時代後期まで分かることもあるといいます。

 ただ戸籍の保管期限は150年です。

 「消えていく記憶を拾い集める作業が家系図作り。東京や広島、沖縄の戦争で全部(戸籍)がなくなってる場合もあれば再生されているものもある。諦めないで請求してみて」(渡辺さん)

 また先祖の墓がある菩提寺で過去帳を調べたり、郷土資料や家紋、苗字などでも先祖の手がかりはつかめるといいます。

 「おばあちゃんが『あんた(の先祖を)たどってたどっていったらすごい遠いところで北島三郎の親戚だよ』と言われたことがあります。たどったら分かるのかな」(セミナーに参加した女性)

 「墓じまいしちゃうともう先祖とつながりが切れちゃうんじゃないかと不安が残る。家系図、やってみようかなと」(セミナーに参加した男性)

 「こちら里塚霊園で墓じまいが増えています。空いている区画は墓じまいの跡だということです」(蒲生美緒記者)

 里塚霊園など市内3カ所の札幌市営霊園の墓じまいは2025年度、過去最多の587件にまで増えています。

 家系図が今注目されている背景には少子高齢化などによる墓の相続問題もありました。

 「(管理料の)負担で墓じまいするということでもない」

 「跡継ぎがいないことのほうが多い」

 「お子様の代に負担を残したくないと考える人もいるようです」(いずれも札幌市ウェルネス推進部 藤田賢一施設管理課長)

 札幌に住む阪本克彦さんです。

 専門業者に調査を依頼していた家系図が12月に届きました。

 「(留萌の)初山別村に墓があり今後それをどうするかが課題。息子は東京にいて、次の代、墓をどう守ってくか。(家系を)振り返るのも大事かなと」(阪本克彦さん)

 阪本さんの先祖は福島県で酒づくりをしていて、明治30年ごろに北海道に移住していました。

 「なぜ移住が初山別だったのか、おじやおばが少し知ってるかもしれないので、ゆっくり話したい」(阪本克彦さん)

 私も2023年に父が亡くなり先祖の墓をどうしようか今悩んでいます。

 9月に仏壇の奥から家系図が見つかり、先祖は福井県から後志の岩内町に来ていたことが分かりました。

 渡辺さんに見てもらうと…

 「北海道開拓としてはやや後期のほうですね」(渡辺さん)

 「家は祖父の代までは漁業をやっていた。ニシン漁をやっていた」(蒲生記者)

 「日本海側の江戸時代からある商船、北前船の寄港地として、福井県の人たちがニシン漁最盛期の北海道に渡った時期と一致している」(渡辺さん)

 「こういうことまで分かるんだなということがびっくりした」(蒲生美緒記者)

 家系図をひもとくと「誰もが誰かの子孫」であると実感します。

 私は少し温かい気持ちになりました。

 自分の先祖がどこから来たのか、家系図をつくって調べる人が増えています。今回は北海道余市町出身の蒲生記者が、自身のルーツをたどりました。

 蒲生記者は珍しい苗字だったことから以前よりルーツが気になっていましたが、9月に仏壇から家系図を発見。調べてみると、先祖は福井県出身であることが判明しました。

 さらに家の宗派が浄土真宗とわかったため、福井県内の浄土真宗の寺に手紙を送ったところ、父方の遠い親族を紹介されます。家系図発見から約1か月後、初めて遠い親族と対面を果たしました。

 家系図や家紋を調べていくと、5代前の先祖がニシンを求めて北海道岩内町へ移住していたことも判明。その後、何代かを経て余市町で蒲生記者が生まれたことまでたどることができました。

 北海道には開拓のために本州から移住した人の子孫が多く、先祖の歴史を知らないという人も少なくありません。苗字や家系図のほかに、着物の家紋やお寺の記録などからも先祖をたどることができるそうです。

 今回自身のルーツを探った蒲生記者は「(親族との出会いによって)新たな心のよりどころができた」と話します。自分のルーツがどこにあるのか、調べてみるのもいいかもしれません。

北海道文化放送
北海道文化放送

北海道の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。