北海道新幹線の札幌延伸が当初の2030年度末から大幅に遅れる見通しが出てから約9か月が経つ中、工事を進める鉄道・運輸機構が12月19日、事業費が現在の約2兆3159億円から最大1兆2000億円増える可能性があることを明らかにしました。


■えっ!本当?当初の事業費から1兆2000億円も激増

 鉄道・運輸機構によりますと、北海道新幹線・札幌延伸は当初2030年度末を予定していましたが、巨大な岩盤や軟弱な地盤が影響し、トンネル工事が難航。早くても2038年度末以降になる見通しが2025年3月の有識者会議で示されています。

 開業時期が大幅に遅れることを受けて、事業費の精査が進められていましたが、工事資材の価格高騰や想定外の自然条件への対応、工事で発生した土の受け入れ先の調整、作業員の労働時間規制への対応などで、最大1兆2000億増加し、現在のと合わせて3兆5000億円程度になる可能性があるということです。

 同機構は「国土交通省鉄道局の指導のもと、事業費の精査の深度化を進めていく」とし、「沿線の皆さまをはじめ、関係者にご理解とご協力をいただきながら、事業費の縮減に努める」などと話しています。


■3分の1を負担する自治体からは”嘆きの声”

 この事業費は3分の2を国、残り3分の1を北海道や札幌市、北斗市に加え、駅が設置される小樽市、倶知安町、長万部町、八雲町で負担する仕組みになっています。

 事業費が膨らむ可能性を受けて鈴木直道知事は「財政状況の厳しい道及び駅設置市長においてもさらなる地方負担が増額となる可能性が生じていることは、誠に遺憾であります」とコメント。国や同機構に対し、「この度の判断に至った理由等について、地元関係者への丁寧かつ分かりやすい説明を速やかに行うよう求める」などと述べています。


 また、札幌市の秋元克広市長は「地方負担が未だに示されておらず、新たな開業時期も示されていない」と指摘。経済波及効果が出る時期が先送りされること、自治体の負担がさらに増加することを理由に、「札幌市のまちづくりへの影響は極めて大きいと言わざるを得ません」と苦言を呈しています。

北海道文化放送
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