2025年は生活の隅々までAI(人工知能)が入り込んだ1年でした。
様々な変化が起きていますが、精神障害がある人たちにも大きな可能性を生み出しています。
真剣にマウスやキーボードを操作する社員たち。
チームリーダー以外の全ての社員に障害があります。
東京・池袋にある「株式会社綜合キャリアトラスト」の事業所では精神障害がある人をエンジニアとして育成することに力を入れています。
主な業務は、企業へ提出する営業資料の作成や動画の作成、タスク管理などの社内用アプリの開発。
彼らの仕事を支えているのがAIです。
発達障害のある社員が入社わずか3カ月で完成させたのは、名刺の情報を登録する研修用の画面。
ここでは、障害のある社員全員が文章や音声、動画を自在に生み出す生成AIを使いこなします。
彼らをサポートするチームリーダー・進藤敦さんは「これまではデータ入力、データのチェックや郵便物の送付作業、補助的な業務に取り組んでもらうことが多かったが想定以上のパフォーマンスに大変驚いている」と話しました。
入社後3カ月の研修で生成AIを使いこなす力を磨きます。
精神障害のある30代の社員は、AIは働く自信を支える存在にもなっているといいます。
5月入社(30代):
AIに聞くことで筋道を立ててくれたり、いろんな案を出してくれたりして物事を整理して業務ができるのでとても頼りにしています。
9月入社(20代):
やりたいけどできなかったことが、AIのおかげでできるようになっているのが一番大きい。
経済産業省の試算によると、2040年にはAIやロボットの活用を担う人材が約326万人不足する見通しで、育成は目の前に迫る課題です。
株式会社綜合キャリアトラスト 代表取締役・伊藤努さん:
今の形がつくられたのは間違いなくAIがあったから。AIだからいいみたいなことではなく、いろいろなものを複合的に重ねていけるような形をつくっていくのがやっぱり一番大事かなと思う。
AIを味方に障害のある人が切り開く新しい働き方。
その一歩が社会にも可能性の扉を開いています。