私たちの身近な海では、漂着するゴミの問題や海水温の上昇など、様々な課題に直面しています。その解決の糸口を探ろうと高校生が奮闘しています。

広島市西区の草津港を訪れたのは、県立広島井口高校に通う1・2年生、38人。

【広島井口高校 2年生 男子生徒】
「瀬戸内海で、どういうゴミが具体的に海に散らばっていたり、どう回収するのか。きょうは回収方法やどこに分布しているのか考えていきたい」

これまで「海洋ごみ」について学びを深めてきたという生徒たち…。
県内の水産業の現状や身近な海の変化について、担当者の話に真剣に耳を傾けます。

【県漁連の担当者】
「カキパイプについては、いま、海洋生分解性プラスチック素材への転換に向けた実証実験も行っている。木からできているのでプラスチックからできているわけではない」
【広島井口高校の生徒】
「酢酸セルロース樹脂と元々使っているプラスチックの価格の差はどれくらい?」
【県漁連の担当者】
「だいたい10倍~15倍くらいの値段の差がある。生産者もいいのがわかっていてもなかなかすごい量を使うので、導入の足かせになっているのは事実」

続いて訪れたのは牡蠣養殖の現場…。

【野川諭生アナウンサー】
「船にのってカキ筏間近まで近づきます」
「船がカキ筏に横付けされました生徒たちは船の中、この視点から生産者からレクチャーを受ける中で間近で状況を確認します」

【島田水産 島田 俊介 会長】
「実際のところなぜ死んだのか私たちもわからない。来年以降それも課題だし、いろいろなことをやってみて、どういう養殖がいいかやってみないといけない」

一方、こちらでは…。

「発泡スチロールの小さいやつ…」

カキ筏周辺の状況を空から確認。
実はこのドローン、生徒の要望を受けて高校が購入したもので温度の計測も可能。
様々な視点から知識を深めます。

最後に廿日市市にある国の研究機関を訪ねた生徒たち…。
人間の生活から生まれる5ミリ未満のマイクロプラスチックによる影響について、研究者に鋭い質問をぶつけます。

【生徒】
「マイクロプラスチックが排出されないまま業者が収獲し、それを人間が食べたらどうなるのか?」
【水産研究・教育機構水産技術研究所 河野 久美子 主幹研究員】
「現時点においては、明確な影響は報告されていないのでそこは心配ないと思うが、(マイクロプラスチックが)どんどん増えていったら、もしかしたら影響が出てくるかもしれないということで、いま何か自分たちでできることをやっていかないといけないんじゃないかと今回考えてもらいたい」
【1年生女子生徒】
「(海ゴミは)砂浜に打ち上げられる目に見えるゴミという印象があったが、自分が見ていた一面がすごく狭かったなと改めて実感した」

スタジオ解説

【野川 諭生 アナウンサー】
高校生が日頃からこの問題について、よく考えていることが分かりましたし、深い洞察力が垣間見える場面もたくさんありました。

生徒たちは「今日学んだことを、これからの自分たちの学習にいかしていきたい」と話していました。

プラスチックによる環境汚染への対策として、自分にできること、例えば、3Rという言葉がありますが、「リデュース」「リユース」「リサイクル」こういった身近にできることから、私たちも瀬戸内海という綺麗な海が、広島県にはあるので、我々も自分ごととして考えていかなければいけないと強く感じます。

また、今回は廿日市市のカキ筏を訪ねたんですが、取材した島田水産では、今年、カキの7割が死滅しているということなんですが、3割はしっかりとれていると。旬の時期を盛り上げていきたいと話していました。ただ、島田水産では「カキはある」のに「ない」という風評被害が起きているということを悩んでいます。この問題については本質を正しく理解することが大事だと感じました。

テレビ新広島
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