長崎の街の「幸福度ランキング」が発表された。このランキングは、住民がその街に住んで、どれほど幸福を感じているかを調査したものだ。
幸福度1位波佐見町「家族仲良く暮らしている人が多い」
調査は建物賃貸事業などを手がける大東建託が、2025年2月からインターネットで実施。
「いま住んでいる街で幸せですか」という質問に対し「非常に幸福」から「非常に不幸」までを10段階で評価した数値を集計している。
長崎県内で幸福度1位に選ばれたのは「東彼杵郡波佐見町」だ。2024年のランキング2位から順位を上げ、トップに躍り出た。2位とは9ポイント近くの差をつける圧倒的な結果となった。
麗澤大学教授で大東建託賃貸未来研究所の宗健氏は「伝統産業もあって安定した仕事もあって、佐世保市にも近いので生活利便性も悪くない、伝統的な産業に支えられて地域社会がきちんと残っていて、家族仲良く暮らしている方々が比較的多い」と分析している。
移住者「ずっとじんわりあったかい感じ」
波佐見町に魅力を感じ、移住する人も増加している。ここ5年で町外・県外から移住したのは64世帯118人に上る。
11年前に福岡から移住した福田奈都美さんは、いまは使われていない焼き物工房を再利用しようと、移住者向けに情報を発信している。福田さんは移住者にとっても居心地のよさが波佐見町の魅力だと語る。
「波佐見の人達は、雰囲気づくりが上手。お祭りに声をかけてもらったり、おしつけがましくなく受け入れてくれて、移住者がなかなか出ていかない感じ。移住者に抵抗がなく懐の深さがあって、受け入れてくれる。心配してくれる、かといって踏み込みすぎない。過ごしやすくて、長く住めそうだと思った」と話す。
幸せを感じるか?という質問に福田さんは「悲しいとか寂しいと思ったことはなくて、ずっとじんわりあったかい感じ」と答えてくれた。
住み続けたいランキング1位は「佐々町」
「この街に住み続けたいランキング」の結果も注目される。「幸福度ランキング」と同様に、上位3位は全て郡部が占める結果となった。
専門家は「ショッピングセンターなどがある郊外の利便性と、伝統文化を培ってきた街への誇りや愛着という2つの要素が背景にある」と分析している。
国際的な研究によると、人が幸福を感じる傾向として、男性より女性の方が幸福度が高く、既婚者で子供がいる人は幸福度が上がるという。このため、新興住宅地などファミリー層が住んでいる町は、幸福度が高くなる傾向にあるという。
幸福度高く、住み続けたい街「波佐見町」
2025年、町内に住む人が最も幸福度を感じた波佐見町は、九州・沖縄版でも2位にランクイン。2024年の18位から大幅に順位を上げた。
波佐見町の福田さんは、地域おこし協力隊の経験もある。「町の人が子供のことを気にかけてくれる、心配してくれる、地域で子どもを見てくれている感じがして、子育てもしやすい」と話す。
福田さんは、移住者にとって、ものづくりや商売のしやすさを感じる点にも大きな魅力を感じている。移住者には技術を持っていたり、起業する人が多いという。
波佐見町の居心地の良さの背景には、焼き物の街としての特徴もあるようだ。「波佐見焼が分業制で仕事をしているので、みんなで1つの仕事をすることがしみついているからこそ、自然と移住者を受け入れて一緒に何かをできるのかな」と福田さんは語っている。
(テレビ長崎)
