山形・川西町では、縁起物としても人気の特産品「むくり鮒(ぶな)」の加工作業最盛期を迎えている。
むくり鮒は冬の貴重なタンパク源として、江戸時代に米沢藩主・上杉鷹山が推奨したと伝わる置賜の郷土料理。
フナの腹を取り除き、背中から「めくる」作業が、「むくる」と転じたことが名前の由来と言われ、背開きが「開運」を連想させるとして新年の縁起物としても人気。
フナの養殖から加工・販売までを行う川西町玉庭地区のグループでは、養殖技術の向上でフナの量を毎年安定的に確保できるようになったことで、数年前から年間を通じた生産態勢に変わった。
それでも12月から1月にかけて、年間の需要の約4割が集中するということで、加工場はいま連日フル稼働。
この日もフナを「むくる」ところから、油で2度揚げ、秘伝の甘辛いタレにからめるまでの一連の作業を手際よく進めていた。
(玉庭農産物加工センター・鈴木孝司さん)
「見た感じは甘露煮みたいだが、それとは違ってサクサクとした歯ざわりが命。できるだけ家族みんな集まったところで『来年の運が開けるように』と思いを込めながら食べてもらえたら」
むくり鮒は、置賜の産直施設や道の駅・県内のスーパーなどで販売されている。