「あのニュースの今」4回目は県内のスポーツ。私たちに感動を与えてくれるスポーツだが、試合会場の確保という新たな課題が浮上した1年でもあった。
11月に行われた聴覚に障害があるアスリートの国際大会・東京デフリンピック。
県出身の選手たちが大活躍した。
女子バスケットボール日本代表として出場した鶴岡市出身の小鷹実春選手。
決勝戦でチーム最多の24得点を挙げ、女子バスケでは日本初の金メダル獲得に大きく貢献した。
（女子バスケットボール代表・小鷹実春選手）
「日本のバスケットは強い・やってきたことは間違ってなかったことを証明できたのですごくうれしい。自国開催でしか味わえない雰囲気の中、試合できたのはすごく光栄」
サッカーJ2・モンテディオ山形。
1月の必勝祈願で、当時の渡邉晋監督は「優勝・昇格」を願った。
（渡邉晋前監督）
「勝ちにこだわること。特にホームゲームでは去年6つも負けているので、ホームでは全部勝つ。自分たちの強い意志と最大限のエネルギーを発揮して挑戦していきたい」
J2優勝を掲げて挑んだ今シーズン。
しかし、待ち受けていたのは「開幕3連敗」。
6月のベガルタ仙台戦では、一時リードしたにも関わらず、結局逆転負けを喫した。
（渡邉晋前監督）
「負けです。我々の負けです」
仙台との敗戦から3日後、渡邉監督は監督を解任された。
その後を引き継いだのは、横内昭展新監督。
（横内昭展監督）
「際どいところで勝ち点を拾えなくなっている。失点数を減らすことで、それが勝ち点1になったり、勝ち点3になった試合もたくさんあった」
渡邉監督が積み上げてきた良い部分はそのままに。
横内監督は課題となっていた「失点の多さ」をいかに減らすか、選手と一緒になって修正を試みた。
その結果、10勝3分5敗と見事チームを立て直し、リーグ10位でシーズンを終了。
2026年も指揮を執ることが決まった。
（横内昭展監督）
「ファンサポータには満足したシーズンではなかったと思うが、最後まで戦ってくれた選手・支えたクラブスタッフのみなさんに感謝している」
男子バスケB2・山形ワイヴァンズ。
現在6勝18敗で、B2東地区の7チーム中6位と苦しい戦いが続いている。
しかし12月7日のゲームでは、18連勝中だった福島ファイヤーボンズに競り勝つなど底力も見せつけた。
けがで出られなかった選手も復帰し、今後の巻き返しに期待したい。
バレーボールSVリーグ女子・アランマーレ山形は開幕から9連敗。
12月9日のホーム・岡山シーガルズ戦で今シーズン初勝利を挙げるも、18試合を戦い1勝17敗。14チーム中最下位。
（アランマーレ事業部・米田大介事業部長）
「本拠地・活動拠点を山形から秋田に移転する旨をSVリーグに申請し、理事会において承認されたことを報告する」
アランマーレは酒田市を拠点として2015年に設立。
チャレンジリーグを経て、昨シーズンから国内トップのSVリーグに参戦している。
しかしSVリーグでは2030年以降、「5000人以上が収容できるアリーナの整備」がライセンス取得の条件の1つとなっていて、県内ではそこまでのアリーナは確保できなかった。
（アランマーレ山形・西尾博樹GM）
「山形でこのまま継続してやるとなると、リーグを降格して残るしかない。ここまで本当に苦労して勝ち取ったSVのライセンスを絶対に捨てられない」
秋田では、建設費260億円をかけて新たな県立体育館の整備が進んでいる。
プロバスケをはじめ、コンサート・スポーツ大会などの誘致も計画されている。
観客席は6030席とSVリーグの規定を満たす。利用開始時期は2028年。
アランマーレは新たな秋田県立体育館を本拠地として使用し、山形から離れることを決断した。
（モンテディオ山形・相田健太郎社長）
「11月・12月できれば年内には決着させて前に進めたい。何かが決まったわけではない、考えなくてはいけないのはリスク。両方にらみながら動いている」
一方、天童市にサッカー専用の新スタジアムを158億円かけて建設中のモンテディオ。
2028年4月の完成を目指している。
11月、スポンサーのSCOグループとの関係解消が発表され、スタジアム建設をめぐり予定していた50億円の支援が立ち消えとなった。
モンテディオは国の内外を問わず新たなスポンサーを探している。
（モンテディオ山形・相田健太郎社長）
「このプロジェクトは絶対前に進めないといけないと思う。山形のみなさんが誇るべきものを作らないといけない。しっかり実現させたい」
山形ワイヴァンズにも新アリーナの構想がある。
（パスラボ・吉村和文社長）
「条件を満たすことで永久にトップリーグにいられることになる。どれほど街の代名詞になるか。是が非でもそこはとりに行きたい」
ワイヴァンズは来シーズン、現在のB2に相当するB.LEAGUE ONEへの参入が見込まれる。
トップリーグのB.LEAGUE PREMIERに参入するためには、5000席以上のアリーナの確保が条件の1つとなっている。
（パスラボ・渡邉聡常務）
「今後は一定のレギュレーションをクリアできればトップリーグに行ける。その条件として5000人以上のアリーナを所有しなくてはならない。クラブとして2年間くらいで新アリーナ構想をまとめたい」
ワイヴァンズは自前でのアリーナ建設を目指しているが、立ちはだかるのはやはり建設費用。
（パスラボ・渡邉聡常務）
「各地域のクラブからどのくらい建築費がかかったか話を聞くと、5000席クラスで150億は最低でもかかる。年々部材が高騰しているので、設備内容によって新築の場合200億は突破する。新築を含め、既存の体育館の改修も含め検討している」
ワイヴァンズは、山形市を中心に天童市・上山市などで新アリーナの建設を検討している。
新アリーナはバスケだけでなく、さまざまな目的に使いたいと考えている。
（パスラボ・渡邉聡常務）
「各都道府県に1つは最低でも作らなくてはいけない。バスケのみならず、文化的要
素の高い施設なのでバスケ以外でも世界規模の大会なども開催できる。何とか実現させたい」
全国的に、スタジアムやアリーナはスポーツイベント以外でも“稼ぐ”施設への転換が求められている。
スタジアムやアリーナの整備は、地域活性化にもつながるとして期待が大きい一方、高額の費用が壁となりそれぞれのチームは頭を悩ませている。
※映像の権利の関係で一部編集して公開しています
