鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの「てつたま」です。
野川さんお願いします。

【野川キャスター】
前回に引き続き、惜しくも時間の都合で放送できなかったこぼれ話の第2弾です。
まだまだありますよ!それでは…


【阪急電車館 館長・野川キャスター】
「失礼します」
「あー、こんにちは。どうもどうも」
「館長!」
「どうもどうも」
「ほんまに来てくれはったんですね。ありがとうございます」
「そりゃあ…ありがとうございます。あ、ハグ」

未公開編第2弾は今年3月に放送した阪急電鉄編から。
阪急は神戸や大阪、京都を結ぶ関西の大手私鉄のひとつで、京都線の正雀車庫を取材しました。

当時はまだ1編成しかなかった最新鋭の2300系に…


【阪急電車館 館長・野川キャスター】
「見てください」
「いかにも京都って感じの…」
「電車の車内ですよ、皆さん。枯山水ですね」
「枯山水!」


日本的なデザインに引き付けられる観光列車、雅洛。
さらに車庫奥深くに眠る、阪急の礎を築いた名車たちを取材しましたが、これにはまだ続きがあったのです。


【阪急電車館 館長・野川キャスター】
「まあこちら、向かって右手側は俗にいう『P-6』新京阪、京都線の元祖になる車両ということで保存しています」

阪急100系電車、通称『P-6』は、まぎれもなく阪急で活躍した車両のひとつなんですが、厳密にいうと阪急京都線の前身、新京阪鉄道が発注した電車なんです。
昭和初期は私鉄の統廃合が激しかったそうで、阪急も御多分に漏れず…その『P-6』ですが、戦前の車両にもかかわらず最高速度は時速100キロ越え。
国鉄の超特急『燕』をぶち抜いた…なんて伝説もあるそうです。

【阪急電車館 館長・野川キャスター】
「さあ、館長!やってきました。こちら、いわゆる『P-6』ですね」
『P-6』
「重たいと聞きましたね、さっきね」
「そう、そうそう。阪急電車の中で…なんか聞くところによる50トン近い車なんで、かなり重い車両ではありますね。大型でありますし」
「大きくて重たいのに、それだけスピード出してね、走ったっていうのは凄い迫力だったんでしょうね」
「この車は実は19mありまして、今の阪急電車の基礎19m。電車の基礎になった車両というかね、長さもね」
「車内を見るとクロスシートになってますけど、これは?」
「固定のクロスシートですね」
「転換しないタイプですね?こうやっても」
「十三から大宮の間を走っていたんですけど、やっぱり走行時間が長いですからね。その辺はクロスシートでゆったりと座ってという思想なんでしょうね」
「快適に過ごせるようにということですね」
「まあ高速で走る電車なんで、ガチっとして、神戸線や宝塚線の電車と違った迫力ありますね」

『P-6』はもともと新京阪の車両ということで、阪急オリジナルの車両とは異なる特徴がありました。
当時、阪急の車両は窓を押し下げると開き、日よけに鎧戸がつくのが開業以来の阪急テイストでしたが…

【阪急電車館 館長・野川キャスター】
「ここ2段窓になっている。で、昔の国鉄、JRさんが使ってるような窓になって、下降窓ではないんですね。そして、これが、こういう感じのロールカーテン」
「なるほど。鎧戸ではなくて」
「鎧戸じゃなかった。こういうところが阪急との違いというか。新京阪ならではの…」「そういった細かな違いが見えると楽しいですね」
「そうですね」

続いては、戦前の伝説の高性能電車の運転台へ…

【阪急電車館 館長・野川キャスター】
「こういうところが新京阪の特徴というか…扉」
「先程の2つの車両にはなかったですね」
「違うんですよね。おしゃれな…」
「確かに」
「近代的な要素が取り入れられて…と、どうぞ!」
「失礼します。館長、運転席に椅子があります」
「そう、椅子がありますね。長距離を走ることで椅子が必要だったのか、ちょっと僕も定かではないんですけど。座ってよろしいですか?」

「はい」
「同じくメーターは無いんですけどね」
「本当だ。スピードメーターはないですけど、ただ椅子がついて、運転手さんにとって嬉しい」

昭和3年、1928年に製造された車両の運転台は、スピードメーターも無く、計器はブレーキの圧力計のみと非常にシンプル…

さらに当時は窓のワイパーも手動でした。

【阪急電車館 館長・野川キャスター】
「これ、車内に取っ手があってですね、車外にワイパーがついてる。お!」
「おもしろいでしょ?」
「おもしろい!」
「これは大変だったと思いますよ、運転しながら」
「そうですね、こっちでこうやりながら。止まった時にやったかもしれないですけど」「邪魔になってきたら、雨粒がいっぱいになった時にバーッてやっていたんでしょうね。その辺、器用に運転しはったと思います」
「だから本当にやることがたくさんありますよね」

「そうそう。この幌が特徴なんですね、新京阪の車のね」
「確かに、ちょっと存在感ありますよね」
「ドーンとした構えがね」
「出っ張っている感じのね」
「これが男前でかっこいいなあと、いかついなあっていう感じが魅力というか」
「なんか車体の大きさ、ゴツさと言ってもいいですけど、やっぱりこう武骨な感じが」
「ここは今の阪急電車にはない特徴というかね」
「確かにそうですね」
「それを愛する人が多かったっていうのは、なんか分らんでもないかなって」
「すごい。『P-6』に乗れました!」
「夢かないましたか?」
「叶いましたよ、幸せですよ。そして、つながった線路から今、7300系が出庫して行くわけじゃないですか」
「この出庫の風景もいいでしょ?」
「スーッと遠ざかっていく感じ。いいですねー」


【阪急電車館 館長・野川キャスター】< 11月23日 ひろでんの日  広島>
「ということで、阪急電車の『P-6』の物語をご覧頂きました。いま初めて『P-6』のエピソードを目にして、すごい電車が走ったんだなと思った方、たくさんいらっしゃると思います」
「こんな重たい電車がよく走っていたなと思います。今の電車軽くなっていますからね」
「それだけ重たい車両だったのに、ものすごいスピードで走っていたというね」
「旧型の電車、神戸線を走っていた電車も40tぐらいありましたし、ダイヤモンドクロスって昔あったんですけど」
「西宮北口に」
「そこを渡る電車の音が全然違いました。古い電車は『ダッダ、ダッダン!ダッダ、ダッダン!』って響くのですが、新しい電車は『テッ、テッテテン!テッ、テッテテン!』と。この響きの音が全然違う」
「軽さですね。そういったところでお伝えしてきましたが、今年の早いうちに正雀車庫へ伺って館長には本当に丁寧に色んな所を案内してもらって、もはや私共の名誉顧問と…」
「そんな!おこがましいです」

「何をおっしゃいますか。名誉顧問兼任でぜひお願いできればと思います。さあ館長、色んな意味でお世話になった2025年ですが、この放送を持って、『てつたま』年内最後の放送ということに」
「はいはい、〆ていいんですか」
「もちろんですよ!本当にお世話になりました。ありがとうございます。
名誉顧問から節目のご挨拶をいただいてもよろしいでしょうか?」
「では…2026年に向かって出発進行!」

テレビ新広島
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