年末を迎え、正月の準備が進む中、物価高騰の波が年末年始の食卓を直撃している。特におせち料理に欠かせない食材の価格上昇が顕著だ。

「ふるさとの味」も価格高騰に苦慮

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富山の冬のご馳走「かぶら寿司」。切り込みを入れたカブにブリやサバなどを挟み、糀を使って発酵させた県西部の正月の郷土料理だ。

砺波市の紺田糀味噌醸造所では、自家製の糀をたっぷり使った自然な甘さが特徴の「かぶら寿司」を製造している。正月に向け県の内外から予約が入り、現在は製造のピークを迎えているという。

「12月に入って大きいカブがいっぱい入ってきたので、順調にみんなでがんばっています。北陸の味、富山の味。皆さん懐かしんで食べてほしい」と紺田眞紀子さんは話す。

しかし、そんな「ふるさとの味」も原材料の高騰に頭を抱えている状況だ。

「サバが特に高くなった気がする。糀のコメも高くなっているので、それでも去年と同じグラム数で(販売している)」と紺田さんは語る。

おせち料理の平均価格、前年比1054円上昇

帝国データバンクの調査によると、この冬のおせち料理の平均価格は3段重で2万9098円。前年と比較して1054円上昇している。この背景には水産物の高騰が大きく影響しているという。

「未だかつてない値段」の水産物

富山市で水産物などの卸や保管、加工を行う「富冷」。同社の冷蔵庫には、イクラや数の子など年末年始に向けた食材がぎっしりと保管されている。

「年末は繁忙期なので増えますね」と話す中橋一常務取締役だが、価格高騰については「むちゃくちゃ高い。未だかつてない値段」と表現する。

特に北海道産のイクラについては「今年、秋サケがかなり不漁ということで、去年に比べて2~2.5倍くらいの価格に」と説明する。今年は北海道の秋サケが不漁で、国産イクラの供給量も全国で去年に比べておよそ7割減っているため大きく値上がりしているのだ。

また数の子についても、去年と比べて1~2割高くなっているという。

企業も難しい判断に直面

価格高騰の中で、関連企業も難しい判断を迫られている。

「我々も価格転嫁して値段を上げていかなくてはいけないが、なかなか壁が高いというか上げにくい状況。がんばって安く提供するようにはしたいが…」と中橋常務は苦悩を語る。

年末の食料品の価格高騰は、消費者の食卓を直撃するだけでなく、関連する企業の経営にも大きな影響を与えている。今後も続く物価高の中、各家庭の年末年始の食卓がどのように変化していくのか、注目される。

(富山テレビ放送)

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